英語ライティングの勉強方法・独学方法 第二言語習得研究に基づく英語学習方法や最新の研究も紹介 

はじめに

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今回は第二言語習得研究に基づく正しい英語ライティングの勉強方法について解説していきます。初心者の方でも分かりやすく丁寧に解説しているのでぜひ参考にしてみてください。プロセスライティングの学習効果など、最新の研究も紹介しています。まず、英語ライティングの種類や効果的なライティング指導を解説し、英語ライティングの添削や学習のポイントをまとめています。さらに英語パラグラフライティングを解説し、最後に独学方法を考えてみました。

 

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主な参考文献

 

「日本人のための英語ライティング講座」

 

「英語論文・レポートの書き方」

 

「パラグラフ・ライティング指導入門」

 

アメリカの小学校に学ぶ英語の書き方」

 

「英語エッセイ・ライティング」

 

英語ライティングとは

ライティングとは

第二言語習得研究におけるライティングとは

第二言語習得研究おけるライティングは下記のようなライティングモデルを指すことが多いようです。1996年にkelloggが提案したのもので、主に4つのプロセスから構成されています。まずは書く内容を考えるために主張を提示(Proposer)します。その次に、考えたアイデアを言語に変換(Translator)、頭に浮かんだ文を評価・修正しながら(Evaluator/Reviser)、文字化します(Transcriber)。スピーキングプロセスと基本的に同じですが、ライティングモデルには調音化が必要はありません。 

 

ライティングモデル

引用:Cognitive Models of Writing

ライティング産出の認知プロセスモデル

文章がどのように生み出されていくのかという認知プロセスは、認知心理学の分野で盛んに議論されています。ここでは、実際にライティング指導に応用された2つの理論を紹介します。一つ目は下記の認知プロセスモデル(Flower &Hayes, 1981)で、右下のライティング処理過程に対して、課題環境(Task Environment)や書き手の長期記憶が影響を及ぼすと唱えています。推敲を繰り返すことの重要性を説いたことから、現在主流となっているプロセスアプローチの論理的背景ともなっています。

 

認知プロセスモデル

引用:Research gate | New Directions in Writing Theory

 

もう一つは、Bereiter & Scardamalia (1987)によって提唱された知識変容モデルで、彼らはライティングプロセスは皆が同じようか形をとらないと主張しました。また、計画や目標設定を必要とし、ライティングそれ自体が思考プロセスの発展に重要な役割を担うと唱えています。

 

知識変容モデル

引用:「知識伝達モデル」から「知識変形モデル」への 発展を志向するアカデミック・ライティング指導

 

英語ライティングの種類

ライティングの種類

ダイアリーライティング(学ぶために書く)

ダイアリーライティングとは学ぶために書くことを指し、日々の出来事や日常のことを書く日記と同じです。毎日決まった時間に書くことで習慣化できます。学ぶために書くので、自分の書きたいことを書くのがおすすめです。毎日続けるためには、難しい英文を書くのではなく、短い簡単な英文をこころがけましょう。

 

eikaiwa.weblio.jp

 

但し、化石化(間違った表現を使い続ける)が起こっている可能性がありますので、フィードバックをもらえる環境を整える必要があります。「これ英語で言えない」という気づきを得たら、そのままほったらかしにしないことが大切です。

 

↓↓化石化についてはこちらで解説

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アカデミックライティング(書くために書く)

書くために書くの代表的なものは、アカデミックライティングです。ライティングそれ自体が執筆文となるので、綿密な構成や推敲が求められます。自分の主張を不特定多数の人に伝えるように工夫することで、英語ライティング力が付きます。主にアカデミックライティグは大学で学術的な文章を書く時に要求され、TOEFLやIELTSなどのライティング試験でも問われます。

 

アカデミックライティングの種類

  • ナラティブ(narrative writing)
  • 描写(description)
  • 分類(classfication)
  • 類似点・相違点(similarities and differences)
  • 原因と結果(cause and effect)
  • 問題解決(problem-solbing)
  • 説得(argumentative writing)

引用:英語の学び方入門 p167

 

アカデミックライティングのおいては客観的な文章を書くことが求められます。自分の意見が単なる思いつきだけではないことを証明する必要があります。日本語は「気分性」が特徴とも指摘されているので、自分の主張を不特定多数の人に伝える「論理性」を意識することが大切です。

 

効果的な英語ライティング指導とは

ライティング指導

欧米文化との対比を意識

日本と欧米文化の違いに関する研究は、1970年代から活発に行われ、特に文化的対称性に焦点が当てられています。Damenの研究によれば、日本は単一国家による単一言語の使用で同質性を好み、対人関係に対しても補助的で形式を重んじる傾向があるとされています。

 

関係する価値観 アメリ 日本
社会と文化の本質

異種混合(Heterogeneity)

水平の社会(Horizontal society)

行動(Doing)

押し(Pushing)

同質(Homogeneity)

垂直性(Verticality)

存在(Being)

引き(Pulling)

対人関係

独立(Independence)

対称的関係(Symmetrical)

形式ばらない(Informality)

個人より全体(We over I)

補助的関係(Complementary)

形式(Formality)

引用:日本人のための英語ライティング講座 p17

 

さらにレトリック(修辞法)という観点では、日本語は言わずともわかると聞き手や読み手に理解を求める傾向があり、アメリカの相手を説得するための無駄のない直線的ロジックとは真っ向から対立しています。

 

引用:Kaplan's (1966) diagram presenting cross-cultural differences in paragraph organization in the study on cultural thought patterns in intercultural education

 

英語ライティング指導においては、日本語学習者の根強い日本文化を自覚させて、英語らしい英語を書かせるために、英語の直線的ロジックに慣れさせる必要があります。

日本人英語の誤り

次は日本人が書く英語の誤りの例をみていきましょう。柏木氏が書いた「日本人のための英語ライティング講座」の中から、主語と動詞に関する誤りをいくつか紹介します。

 

日本人の主語+動詞の誤り

  • I am walk every morning.(be動詞と一般動詞の併用)
  • I walking now.(be動詞がない進行形)
  • Let's discuss about the issue.(他動詞を自動詞のように使う)

引用:「日本人のための英語ライティング講座

 

本書では最近では英語でのプレゼンテーションが定着して、パワーポイント用シートに初略した英語を混用するケースが多くなったとも指摘しています。省略可能な部分(be動詞や冠詞)と、そうでない語句を理解する必要があります。

 

学習者コーパスを使って、東京外国語大学の学生111人を対象に前置詞の誤用に対する研究が実施されました。使用型誤用で最も誤用率が高かったのは「in」(inを使うべきではないのに使ってしまったケース)、非用型誤用のトップは「during」(duringを使うべきなのに、別の前置詞を使用したケース)という結果となりました。

日本人の前置詞の誤り

引用:学習者コーパスを用いた日本人英語学習者の前置詞誤用パタンの抽出

 

フルーツイングリッシュは英作文添削サービスを提供しているサイトで、これまでの50万件以上の添削実績があり、統計的に日本人が苦手な文法を把握しています。下記がワーストランキングで、特に冠詞、時制、前置詞の間違いが多くなっています。日本人英語の典型的な誤りを意識することで、今後のライティング学習に活かすことができます。

 

日本人が苦手な文法ランキング

  • ワースト1位 冠詞
  • ワースト2位 時制
  • ワースト3位 前置詞
  • ワースト4位 関係代名詞
  • ワースト5位 助動詞

引用:フルーツイングリッシュより引用

 

アメリカの小学校でのライティング指導

リーパーすみ子氏は日本の小学校にあたる幼稚園〜小学5年の6年間に渡り、一人の少年のライティングの成長過程を追跡しました。その成長日記によると、アメリカの小学校では下記のステップで英文ライティング力をつけていくとされています。

 

小学校のライティング授業

  • 幼稚園:書くことに慣れる・楽しむ
  • 1年生:4スクエア
  • 2年生:単語のスペリングに気をつける
  • 3年生:ウェップを活用して文章を書く
  • 4年生:インバーテッド・トライアングルで内容を深める
  • 5年生:書く前に綿密に計画を立てる

引用:アメリカの小学校に学ぶ英語の書き方

 

小学校のライティング指導の中核を担うのが、フォー・スクエア・ライティング・メソッド(Four Square Writing Method)で、教育学者のJudith Gould氏が考案したメソッドで、書くという作業に四角のVisual Organaizer(ビュジュアル・オーガナイザー)を取り入れたとして注目を集めました。

 

four square method

引用:Slidetodoc | Four Square Writing Method Right click to view

 

上記のように長方形を4つに分けて中央に主張を書きます。主張の理由や詳細情報を左下、右上、左下に記入していきます。再度にまとめの文を右下に書いたら完了です。主張の展開方法を視覚的に整理することで、書く行為をより楽しくさせることができます。

 

↓↓簡易的なFour Square Writing Method

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4、5年生になると4スクエアで整理した内容をさらに発展させるため、Inverted Triangle(インバーテッド・トライアングル)が取り入れることで、複数のパラグラフから構成させるエッセイの作成を目指していきます。 メインアイデアを広義的→具体的に展開させることがポイントです。

 

インバーテッド・トライアングル

引用:アメリカの小学校に学ぶ英語の書き方 p60

 

ライティング補助タスク

センテンスコンバイニング

センテンスコンバイニング(Sentence-Combining)とは英語の短文を学習者が繋ぎ合わせる訓練法で、元々は母語教育のために考案されたものです。1960年代からアメリカでライティングのカリキュラムに導入され、母語教育でも一定の成果を得ました。

 

センテンスコンバイニングの種類

  • Basic Pattern Exercise(2つの文を接続詞等を使ってつなげる)
  • Creative Pattern Exercise(2つの文の因果関係を考えてつなげる)
  • Story making Exercise(複数の短文を並び変える)

引用:ライティング指導における Sentence− Combiningに関してより一部編集

 

センテンスコンバイニングのねらい

  • 構造的に複雑な文を産出
  • 文章全体の質を高める
  • 読解力を高める
  • 作業に意欲的に取り組ませる
  • 自分で使ったことのない文法構造になれる

引用:ライティング指導における Sentence− Combiningに関してより一部編集

 

ESL(英語を第二言語として勉強する生徒)生徒を対象にした研究においても、使用する文の語・節の数が増えより複雑な文をかけるようになり、作文の質が高まったという研究も数多くあるようです。

ディクトグロス

ディクトグロス(Dictogloss)とはWajnryb (1990)が考案した英語学習のメソッドで、リスニングを頼りに英文を復元させていきます。クラスルームディクテーションと定義されているように、複数の学習者が協力してトレーニングするのも特徴です。

 

Dictogloss is a classroom dictation activity where learners are required to reconstruct a short text by listening and noting down key words, which are then used as a base for reconstruction.

引用:British council|Dictogloss

 

ポイントは英文の知識と聞こえた音声を総動員して英文を復元させていくことです。個人でも実践できますが、ペアやグループでトレーニングした方が自分では気づかない英語の穴に気づくことができるので、より効果が高まると言われています。

 

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英語ライティングの添削

英語ライティングの添削

ライティングの誤り訂正の種類

英文中の誤りを教師などの第三者が訂正することを「筆記訂正フィードバック」(written corrective feedback )と呼びます。ライティングの誤り訂正は、次の3つに分類されます。メタ言語訂正とは誤りの種類ごとにコードや印を決める手法で、間接訂正を発展したものです。

 

ライティングにおける誤り訂正

  • 直接訂正(direct corrective feedback)
  • 間接訂正(dindirect corrective feedback)
  • メタ言語訂正(metalinguiistic feedback)

引用:英語学習の科学 p139

 

先生や指導者からフィードバックをもらったら、「なぜこの英文は間違いか」「なぜ先生はこの項目を指導したか」を意識することで、より正しい英文が書けるようになるという研究も報告されています。

 

プロセスライティング

プロセスライティングとは

プロセスライティングとは1980年代にアメリカで広まったライティングトレーニングの一つで、1つの課題に対して添削と修正を繰り返しながら、英文の構成や文章表現を学ぶ英語学習法です。書くプロセス(過程)を重視し、英語学習者(生徒)と講師が協同して文章を作り上げる指導法です。講師は添削時に間違っている箇所を書き直したり、どう直せばよいかを明示したりはせず、修正が必要な箇所を記号などで簡単に指示するのが特徴です。

 

プロセスライティングでは自分で書いた英文を何度も読み返しながら改善していくことで、英文の論理展開の仕方や単語力、表現力等を総合的に学ぶことができます。

プロセスライティングの効果

ある研究で、EFL(英語を外国語として学ぶ生徒)を対象にプロセスライティングの学習成果を検証しました。エッセイ全体を導入文、展開文、結論文に分けて検証し、プロセスライティング前に行った事前テスト、指導に実施された事後テストの平均点を比較しました。結果は全てのパラグラフで事後テストの点数が高くなりました。特に展開文(Content of Development Paragrahs)においては高い成果がありました。

 

プロセスライティングの学習効果

引用:The Effect of Process Writing Activities on the Writing Skills of Prospective Turkish Teachers.

 

英語ライティング学習のポイント

ライティング学習のポイント

ライティング活動と文法学習のタイミング

ライティング力を向上させるためには文法の力を伸ばすことが必要ですが、どのタイミングで学習をするのか悩むところです。文法とライティング力の組み合わせについて、一つの研究が行われました。(Shintani,2017):英語学習の科学 p143〜

 

まず、習熟度の低い学習者は最初に文法項目を学び知識を得てから、それをライティング活動に活かすことが効果的だと報告されています。これは当然と言える結果で、文法の体系的な知識がないと正しい英文が書けないということでしょう。

 

一方で、習熟度の高い学習者には文法説明などの外部情報を活用して文法をチェックする(途中学習)ことや、書き終わった後に自ら校正を行った(事後学習)プロセスが有効に働くと報告されています。学習の上級者は文法知識を主体的に活用する姿勢が求められます。

 

文法学習のタイミング

  • 習熟度の低い学習者:最初に文法項目を学ぶのが効果的
  • 習熟度の高い学習者:書きながら文法をチェック

英語コーパスの活用

コーパスを英語学習に活用することで、様々な効果があることが実証されています。日本では英作文の精度を上げる効果(単語の正しいコロケーションや、前置詞の選択など、より正しい英語を書くことができる)が期待され、英作文の指導にも応用されているようです。アメリカのコロンビア大学が実施した研究では、CI(コーパスが導入されいている文法書)を使ったEFL生徒(英語を外国語としている生徒)の成績(文法テストのスコア)が向上するという結果が出ました。

 

EFL 効果

引用:Exploring the effect of corpus-informed and conventional homework materials on fostering EFL students’ grammatical construction learning,2022

 

また、corpusの研究によって学習者のレベルごとに異なったライティング文指導が必要だという議論もなされています。下記のチャートで示す通り、英語初級者(A1A2)は、動詞+名詞の文を作る際に、名詞の語彙数が少ないという結果が出ています。つまり、英作文指導では、学習者のレベルごとに別々の指導が必要で、英語学習者自身も初学段階では背伸びせずにシンプル英語を心がけるべきだとも言えるでしょう。

 

corpus レベルによる名詞の長さ

 

コーパスについて丁寧に解説しています↓↓

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チャンク・ディスコーコースマーカーの活用

英作文でチャンクを使うと、考える際の負担を軽くすることができます。つまり言語を産出する際にかかる認知的負荷(cognitive burden)が軽減されて、その他の処理(書く内容を考えるなど)に認知資源(cognitive resources)を割くことができます。

 

認知負荷

 

ディスコースマーカーはライティングでも非常に役立ちます。効果的に使うことで、説得力のある英文が書けるようになるからです。何かを主張したい時、相手に納得してもらうには論理的に伝えることが重要。ディスコースマーカーを使えば、結論・理由・具体例など各文の役割がクリアになるため、効果的に相手に伝わる文章が書けます。

 

↓↓種類別に解説されています

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英語パラグラフライティング

英語パラグラフライティング

パラグラフライティングとは

パラグラフライティングとは文章のまとまりを作るルールと,各まとまりの中での文の配置のルールにしたがって文章を書くテクニックです。整合性とまとまりのある英文を書くためには、パラグラフ(paragraph)を意識したライティングが有効です。多少英文それぞれがぎこちなくても、パラグラフ全体の幹がしっかりしていれば相手に伝わります。

 

日本の段落は文章を読みやすいところで一字下げて区切ったものですが、英語のパラグラフはトピック(アイデア)の単位です。パラグラフ全体で一つの考えでまとまっている必要があります。

英語パラグラフの構成要素と構造

日本語と英語の対照レトリック(contrastive rhetoric)を専門としたJohn HInds氏は日本語は読み手が責任をもつ(reader-responsible)であるのに対して、英語の文章は書き手が責任をもつ(writer-responsible)と唱えています。

 

Tell them what you are going to tell them. Tell them. And tell them what you have told them.

引用:パラグラフ・ライティング指導入門 p21

 

英語パラグラフを使って不特定多数の人に伝えるためには、下記の3つの要素が必要不可欠です。主に冒頭で書かれるトピックセンテンスは、そのパラグラフのテーマを述べる文です。そのテーマを支えるのが支持文で主にパラグラフの中程で展開されます。最後に結論文を述べます。

 

英語パラグラフを構成する3つの要素

  • 1. トピックセンテンス(topic sentence)
  • 2. 支持文(supporting sentence)
  • 3. 結論文(concluding sentence)

引用:パラグラフ・ライティング指導入門 p.24

 

英語パラグラフの特色

接続関係(conjunction)

パラグラフの結束生を体系的にまとめたのがHaliday and Hasan氏で、彼らの著書である「Cohesion in English」で指示、代用、省略、接続関係、語彙の関連が重要だと唱えています。特に接続表現を正しく使い分ける事が結束生を守る上で大切だと言われています。

 

代表的な接続表現

  1. 追加(additive):and, moreover, also, additonally
  2. 逆説(adversative):but, however, yet, on the other hand
  3. 因果関係(casual):because, as a result
  4. 時間・順序(temporal):first, finally, then
  5. その他(other):after all. now, well

引用:パラグラフ・ライティング指導入門 p35

 

これらの「つなぎことば」の有効活用により学習者の作文の質が高まるという研究は数多くあり、読み手にとってわかりやすいだけではなく書き手自身も考えや内容をより深めることができるとも報告されています。

語彙の連関(lexical chain)

ここでは関連する語彙がチェーンのように意味の連想を形成していくことを連関していると言います。日本語では同じ語句の使い回しは許されますが、英語では好ましくないと言われています。

 

語の言い換えの例

  • 類義語(synonym)
  • 包摂関係(hyponymy)
  • 換喩(metonymy)
  • 対立後(antonym)

 

同じ語句を使い回すよりも、様々な類義で表すと英語話者にとってより好まれる文章となります。英文を書く際に似たような意味の英単語が思い浮かんだら類義語辞典などを使ってニュアンスの違いを確認する必要があります。

上位概念と下位概念

英語の文章をより論理的に展開するためには、文章の抽象度を調整する必要があります。文頭に来るトピックセンテンスは基本的に抽象度が高くなっているため、その後のサポートセンテンスでより具体的に説明する必要があります。

 

下位概念→上位概念の例

  • さつまいも、柿、栗→食べ物:(food)
  • 秋祭り、運動会、遠足→行事:(activities)
  • 紅葉、澄み切った青空→景色:(scenery)

 

サポートセンテンスが決まってアイデアの形成ができたら、上記のようにカテゴリーごとにグループ化することで下位概念と上位概念を整理しやすくなります。

英語パラグラフの作成過程

ここからは英語パラグラフの特徴を踏まえて、実際の作成過程について解説します。英語パラグラフは基本的に3つのステップで作成されます。

 

英語パラグラフの作成過程

  • Step1:アイデアの発見
  • Step2:アウトライン作り
  • Step3:結束生を高める活動

 

最初のステップでは、書くべき内容を見つけるための活動をします。代表的なものは、mind-map、clustering、listingなどがあります。マインドマップが最も使用されるケースが多く、簡単にアイデアを抽出できます。マインドマップを使ったアイデアの発見は、ブレインストーミングとも言われます。

 

マインドマップ

 

イデアの問いかけ(heuristic questions)も重要で、事前に質問事項を準備することで、必要なサポート文が浮かび上がってきます。もう一つ体系的なアイデア発見法としてキュービングもあります。6つの側面から書くべきテーマを分析することで、より内容が充実します。

 

キュービング

 

英語ライティングの独学方法

英語ライティング独学

Step1 英語の枠組みで明確に伝える

ディノテーションとコノテーション

同じものを指している2つの単語でも、それぞれ語感やニュアンスが実際に違う場合があります。辞書レベルでの意味を「ディノテーション(denotation)」、微妙な感じを含む意味を「コノテーション(conotation)」と呼びます。

 

  Unfavorable Neutral Faborable
安楽死 Legal murder enthansia Mercy killling
避妊 Birth control Contraception Family planning
諜報 Spying Surveilance Inteligence
商売 peddling Selling marketing
放尿 Farting Flatulation Breaking wind
精神異常の Crazy psychotic Mentally unbalanced
Cancer carcinoma Lingering illness
雨の Soggy(day) Rainy(day) misty(day)

引用:英語論文・レポートの書き方 p15 ~16を参考に作成

 

日頃から自分が使う英語のディノテーションとコノテーションを意識することで、英語の枠組み中で正しく相手に伝えることができるようになります。

 

↓↓英語らしさを身につけるためにはどうすれば良いか解説してます。

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コロケーション

日本語の帽子をかぶる、靴をはくのように同じような動作であっても、対象が異なると別の動詞を使うように、英語でもdrink milk(牛乳を飲む)、take medicine(薬を飲む)のように使い分けます。

 

  Ploblem Amount shame man
Large ✖️
Great
big ✖️
Major ✖️ ✖️

引用:英語論文・レポートの書き方 p17

 

日頃の英語学習においてもコロケーションを意識することで、より自然な英文を書くことができます

Step2 情報を整理

パラグラフリーディグを心がける

日頃からパラグラフ単位で筆者の言いたいことを考えるパラグラフリーディングを意識することで、パラグラフを書く力の向上にもつながります。パラグラフリーディングを解説した教材は数多くありますが、シグナル(テキストマーカー)に意識的に着目するトレーニングとしては「パラグラフリーディングのストラテジー読み方・解き方編」がおすすめです。パラグラフリーディングを活かした、英文の読み方を丁寧に解説しているだけではなく、徹底的にテキストマーカーを意識させる内容となっています。

 パラグラフリーディングのストラテジー

 

パラグラフの冒頭や結論を重視しながら、メリハリをもって読解する習慣が身につきます。なんとなく漠然と英文を読むということがなくなっていきます。

 

 

評論文頻出の論理展開パターンを理解

  • 論理マーカーに注目
  • 筆者のイイタイコトの出現パターンを知る
  • 反復回避の3パターンを意識して英文を読む
  • 未知語の正しい類推方法を知る

引用:パラグラフリーディングのストラテジー読み方・解き方編

 

解説では実際のパラグラフ単位で読解のイメージを論理マーカーに着目して振り返ってくれるので、自分の読みを検証することができます。

パラフレージング

パラフレージングとは文の語彙や表現、文法構造などを別のものに書き換えることです。その主要な目的は読み手にとって、さらにわかりやすくすることです。下記の表のように可能な限り、誰にでも伝わる表現を使う事が大切です。※難しい表現を使って、読み手を惹きつける場合は除く。

 

パラフレーズ パラフレーズ 意味
Vacate leave 立ち退く
Reveal show 表す
acquire get 手に入れる
eventuate Happen 起こる
In the commencement At first 最初は
feasible possilble 可能な
aptimum best 最高の
Give assistance to assitst 援助する
Reach a decsion Decide 決める
Have a preference to prefer 好む
In the course of time Soon やがて
According to the law Legally 合法的に
In advance of before 先立って、前に
A sufficient amount of enough 十分な
Give an account of describe 説明する

引用:英語エッセイ・ライティング p143

 

Step3 リライトとレビュー

パラグラフは書きっぱなしではなく、勉強仲間と互いの作文を読み合う(peer review)や英語ネイティブにフィードバックをもられることで新たな気づきが生まれ、スムーズな書き直し(rewrite)につなげることができます。パラグラフの一貫性、つなぎ言葉、パラグラフの構成要素を満たしているかチェック項目を設けて、採点をもらうのも良いかもしれません。客観的な文章を書いたはずでも、読み手に評価してもらうことでパラグラフライティングの穴に気づくことができます。

 

www.grammarly.com

 

レビューをもらえない環境でもWEB上で相互に添削し合うサービスや無料の添削ツールもあります。パラグラフ全体の評価は難しくても、文法の誤りや適切ではない語彙を確認できるサービスもあります。

 

参考

Gfl-journal | Cognitive Models of Writing

Research gate | New Directions in Writing Theory

千葉大学教育学部研究紀要 | 「知識伝達モデル」から「知識変形モデル」への 発展を志向するアカデミック・ライティング指導

ResearchGate |  Kaplan's (1966) diagram presenting cross-cultural differences in paragraph organization in the study on cultural thought patterns in intercultural education

神戸大学リポジトリ | 学習者コーパスを用いた日本人英語学習者の前置詞誤用パタンの抽出

FRUITFUL ENGLISH | 日本人が苦手な文法ランキング

ResearchGate |  The Effect of Process Writing Activities on the Writing Skills of Prospective Turkish Teachers.

中国地区英語教 育学会研究紀要』Na25 | ライティング指導における Sentence− Combiningに関して

Semanticscholar|Assessing the Effect of Direct and Indirect Corrective Feedback in Process-based vs Product-based Instruction on Learners’ Writing

SemanticscholarThe Effect of Process Writing Activities on the Writing Skills of Prospective Turkish Teachers.

ScienceDirect | Exploring the effect of corpus-informed and conventional homework materials on fostering EFL students’ grammatical construction learning

CiNii | 英語ライティングプロセス・モデルの一提案 : 初級・中級英語学習者に焦点を合わせて (井狩幸男教授退任記念)

コーパスとは? 使い方をわかりやすく解説 無料英語学習最ツール coca corpus・SKELLも紹介

はじめに

コーパスとは?今回は英語学習無料ツールであるコーパスの使い方をわかりやすく解説します。コーパスとは膨大の言語データベースで言語学の研究のために使用されています。まず始めに、コーパスの意味や活用方法、無料で利用できるcoca corpusを紹介します。英語学習への効果やコロケーションについても解説します。実際にSKELLというサービスを使って、頻出動詞のコロケーションも完全整理したので、ぜひチェックしてみてください。コーパスを活用すれば、頻出の動詞やコロケーションを知ることができます。英語話者が実際に使用している語句を網羅すれば、効率よく英語学習を進めることができます。

 

↓↓こちらの動画でも解説してます

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英単語の覚え方はこちら↓↓

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英語脳についてはこちらで解説↓↓

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主な参考文献

「英語コロケーション研究入門」

 

コーパス超入門」

 

 

コーパスとは?

コーパスとは

コーパスの意味

コーパスcorpus)とは言語学において自然言語処理研究に用いるため、文章を構造化し大規模に集積したものです。言語使用に関する特定の目的をもって収集されたテキストの集合体で、例えば「頻出の表現」や「よく使う言い回し」などをテキスト全体から見つけることができます。ちなみに、「corpus」は「身体」を意味するラテン語に由来しているようです。

 

世界で初めてCorpusが公開されたのは1964年のBrown Corpusで、50年以上の歴史があります。日本でコーパスを普及させたのは英語学者の投野由紀夫氏です。2003年にNHK100語でスタート!英会話』で、英語コーパスを教材に活用した放送授業を展開し、それまで専門家しか知らなかったコーパスを一般的な存在へと変えました。

 

covid-19 コーパス

引用:Corpus analysis of the language of Covid-19

 

Oxford english dictionaryの編集者は80億語を超えるWEBページを基に、coronavirusとCovid-19が特定の時期にどれぐらい使用されているかを調査しました。coronavirusの使用は3月から爆発的に増え、特にCovid-19はやや遅れて3月から使われ出したことがわかります。

 

coronavirusと一緒には「outbreak」や「pandemic」という言葉がよく使われていたようです。このようにコーパスは特定の情勢に反映されて、言葉の使用が変化したかどうかも調べることができます。

 

covid-19 コロケーション

引用:Corpus analysis of the language of Covid-19

 

コーパスの条件

自然言語処理研究に用いるため、下記の3つの条件が必要になります。前述の例では、WEBページという実際に書かれたり、書き込まれたページを基にCovid-19の使用状況の変化をコンピューター処理できるように数値化されていました。3つの状況を満たすことで、よく使う言葉や言葉の繋がり等を分析できるようになります。

 

コーパスの3つの条件

  • 条件1:ある目的をもって集められたテキスト
  • 条件2:実際に使われた言葉である
  • 条件3:コンピューター処理できる

引用:コーパス超入門 投野由紀夫

 

コーパスの活用方法

コーパスを活用することで、英語の基本的構造や特徴を知ることができます。例えば、英語の最頻出の単語10を見てみると、「The」がトップとなります。「The」が多いということは、名詞が多いということです。英語は基本的に、主語と述語で構成されているので、必ず主語に名詞が使われます。このように最頻出の単語を抽出すると、言語の特徴が現れてきます。これもコーパスの良いところです。

 

英語で最頻出の単語10

  1. the
  2. be
  3. of
  4. and
  5. to
  6. in
  7. have
  8. it
  9. he

参考:BNC(British National Corpus)より

 

コーパスは特定の単語との相性(頻出度の高い単語)も教えてくれます。例えば、「I am」の後ろには、高確率で「Sure」が来ることがわかっています。単語との相性を知っていれば効率的に英単語を覚えることができます。

 

I am +形容詞のトップ10

  1. Sure
  2. Sorry
  3. Afraid
  4. Glad
  5. Surprised
  6. Happy
  7. Concerned
  8. Able
  9. Pleased
  10. Delighted

参考:BNC(British National Corpus)より

 

無料で利用できるコーパス

Weblio

weblio(ウェブリオ)はGRASグループ株式会社が運営する、日本語圏向けの統合型オンライン百科事典サイトです。550以上の様々な辞書・事典・用語集などを対象に一括検索することができます。

 

ejje.weblio.jp

 

おすすめの使い方は、まずは調べたい単語を入力して「項目を検索」をクリックします。すると下のバーに意味、例文、類語、共起表現と表示されるので、共起表現を選択します。最後に「隣り合う単語の集計結果を見る」を選択すると下のように分析結果が表示されます。

 

weblio

 

「get」の場合は、その後に続く単語(1語右の単語)で一番多いのは、「a」、その次は「the」、3番目に多いのは「to」という結果でした。このツールを使うことで、前後にどのような語がくっつきやすいかを一目で見渡すことができます。

 

英辞郎

英辞郎』(えいじろう)は、翻訳家・通訳者集団EDPElectronic Dictionary Project)が編集している辞書です。英辞郎』のデータには通常の英語辞書にない新しい語彙や複雑な言い回しも含まれ、最新の語彙が必要な研究者や翻訳者などによく利用されているようですが、膨大なデータの中には誤訳が含まれている可能性もあると指摘もされています。

 

eow.alc.co.jp

 

まずは、HPにアクセスをして「get」を検索します。すぐに「get」の基本的な意味や、使い方の解説を見ることができます。【もっとイディオムを見る】をクリックすると、その他のイディオムを全て見ることができます。

 

英辞郎

 

クリックすると、その他のイディオムの一覧が表示されます。さらに詳しく知りたいイディオムをクリックすると、いくつかの例文が表示されます。どのような言葉と実際に使われているのかがわかります。

 

英辞郎のイディオム

ロングマン英英辞典

ロングマン英英辞典は、オックスフォード(Oxford)やケンブリッジ(Cambridge)などと並ぶ英語学習者向けの英英辞典の定番のひとつで、基本語句 2000語を用いた明瞭な説明とわかりやすい例文が人気の英英辞典です。使い方はすごく簡単で、語句入力欄に調べたい単語を入れて、横の検索アイコンをクリックするだけです。

 

www.ldoceonline.com

 

Longman の特徴のは重要基本語彙を表す表示として、書き言葉・話し言葉の用途別で使用頻度の高い3000語にそれぞれ3段階のレベル表示がついていることです。例えば、動詞(verb)の get なら右横に S1、W1 というアイコンがついていて、これは get の使用される頻度が、書き言葉及び話し言葉で1000位以内であるということを表しています。

longman 例文

 

COCA 

COCACorpus of Contemporary American English:現代アメリカ英語のコーパス)は、現代のアメリカで新聞やニュース、映画、ドラマなどで使われている言葉を10億語収録(2021年11月現在)したデータベースです。ブリガムヤング大学(BYU)元教授であるMarkDavies氏によって作成されています。

 

www.english-corpora.org

 

COCAの収録データ

  • 話し言葉:約150の異なるテレビおよびラジオ番組から(8500万語)
  • フィクション:1990年以降の短編小説と演劇、映画の脚本など(8100万語)
  • 雑誌:ニュースやスポーツなど様々な分野の100以上の雑誌(8600万語)
  • 新聞:米国全土10社(8100万語)
  • 学術雑誌:米国議会図書館に貯蔵されている雑誌(8100万語)

 

「英会話最強の動詞30」(投野由紀夫氏が執筆)も実は、COCAのビックデータを基に作成されています。本書では「最も使われている動詞」の上位30個を選び、会話に頻繁に登場する用例とともに、出る順ランキング形式で紹介しています。

 

 

COCAを使用するには無料のログイン登録が必要ですが、メールアドレスや使用目的などを入力するだけで簡単にできます。今回は、weblioで調べて「get」のコロケーションを参考に、「get to」の実際の用例を膨大なデータベースを使ってもう少し詳しく調べてみましょう。登録を終えたら下記のボックスに入力して、Find matchingボタンをクリックします。

 

COCA get to


そうすると、膨大なデータベースから「 get to 」の実際の用例を一覧することができます。実際の使われ方だけではなく、左側の項目にはどの年代に、どのジャンルで使用されていたかが分かります。「get to」の後ろには場所が来るというイメージを持っていたかもしれませんが、get to V(動詞)の使用例が多いことも分かります。

 

cocaの例文

 

SKELL

SKELL(Sketch Engine for Language Learning) は言語学習者向けのコーパスで、Wikipediaの記事やウェブサイトなどの文章。5,700万文以上、10億語以上を収録しています。とても使いやすく一番おすすめのコーパスです。

 

www.sketchengine.eu

 

SKELLを使うと「この語と相性の良い形容詞は何かな?」「この名詞の類語は何な?」「この言いまわしは自然かな?」などの疑問を手軽に調べることができます。詳しい使い方は後ほど紹介します。

 

なぜ英語学習にコーパス

英語学習 コーパス

英語学習への効果

コーパスを英語学習に活用することで、様々な効果があることが実証されています。日本では英作文の精度を上げる効果(単語の正しいコロケーションや、前置詞の選択など、より正しい英語を書くことができる)が期待され、英作文の指導にも応用されているようです。アメリカのコロンビア大学が実施した研究では、CI(コーパスが導入されいている文法書)を使ったEFL生徒(英語を外国語としている生徒)の成績(文法テストのスコア)が向上するという結果が出ました。

 

EFL 効果

引用:Exploring the effect of corpus-informed and conventional homework materials on fostering EFL students’ grammatical construction learning,2022

 

また、corpusの研究によって学習者のレベルごとに異なった英作文指導が必要だという議論もなされています。下記のチャートで示す通り、英語初級者(A1、A2)は、動詞+名詞の文を作る際に、名詞の語彙数が少ないという結果が出ています。つまり、英作文指導では、学習者のレベルごとに別々の指導が必要で、英語学習者自身も初学段階では背伸びせずにシンプル英語を心がけるべきだとも言えるでしょう。

 

corpus レベルによる名詞の長さ

 

↓↓こちらの動画も参考になります

www.youtube.com

コロケーションを整理

コロケーションとは

コロケーションとは語と語の結びつきの強さで名詞、形容詞、動詞、前置詞など、全てのレベルで存在し、コロケーションが弱くなっていけばいくほど、その表現が受け入れられにくくなります(容認度 (acceptability)が下がる)。コロケーションは一般的に「語彙コロケーション」と「文法的コロケーション」に分類することができます。have a dream, great influence, absolutely right, openly discuss(率直に議論する)のような「動詞+名詞」「形容詞+名詞」、「副詞+形容詞」、「副詞+動詞」などの語と語の語彙的な関係は語彙コロケーションと呼ばれています。

 

コロケーションの種類

  • 語彙コロケーション:語と語の語彙的なコロケーション
  • 文法的コロケーション:文法構造を従える結びつくがあるコロケーション

 

一方、enjoy talking のような enjoy の後に動名詞がくるような結びつき、certain that... 、damage to「…の破損」のように動詞、形容詞、名詞が前置詞、不定詞、動名詞、節など文法構造を従える結びつきを文法的コロケーションと言っています。

語彙コロケーション

語彙コロケーションを学習することで、英作文を作成する際に自然な表現を見つけることができたり、副詞のニュアンスを知ることができます。

 

語彙コロケーションのメリット

  • 自然な表現が見つかる
  • 副詞のニュアンスを知ることができる

例えば、「強い」という日本語を気象表現ではどう使われるのか考えます。日本語の「強風」はstrong wind で良いですが、強い雨は「strong rain」とは言わず、heavy rain と一般的に言います。もう一つ、例えば「高い可能性」は a strong possibility と言いますが、a high possibility とは言わないようです。

 

「値段が高い」(expensive)にどのような程度を表す副詞が一般的に使われるのか、例文を確認することでそれぞれの副詞のもつニュアンスを感じることができます。いくつか例を挙げると、extremely(すごく)、ridiculously(法外に)、relatively(比較的)などがあります。

文法コロケーション

文法構造を従える結びつきである文法的コロケーション、動詞の使い方がメインテーマになります。例えば、believeという動詞は高頻度でbelieve thatが続きます。その他にも、「believe in+名詞」、believe to be のように to 不定詞を取る型、 believe it, believe you のように物事や人を表す目的語との連結が起こる場合もあります。英語を受信するだけではなく、正しく発信するためには文法コロケーションを意識して、英作文を学ぶべきです。

 

母語干渉を防ぐ

私達は第二言語を習得する際に、母国語に少なからず影響を受けます。母語の特性が第二言語習得の妨げになっている場合は母語からの負の移転(negative transfer)が働いているとか、母語からの干渉(interference)が起こっていると言われています。

 

発音の違い

引用:エースプロについての資料

 

母語干渉の例(負の移転)

  • Teach=教えるの図式を行き先を教えるにも適用※正しくはtell(語彙レベル)
  • スマート=ほっそりの図式を英語に適用(外来語)
  • I was cried by my girlfriend(被害受け身)※彼女に泣かれたとは表現できない

 

負の移転(negative transfer)に対して、実は正の移転(positive transfer)もあります。例えば日本語の所有格の知識が、英語のTom's(トムの)の理解を速めていると言われています。「トムの本」と「Tom's book」が統語的に類似しているので、正の移転が発生すると言われています。

 

「改善の余地」(room for improvement)、「車の損傷」(damage to the car)のように、「・・の~」と言いたいとき、日本人学習者は「の」に当たる英語として of を思い浮かべがる傾向があります。「名詞+の+名詞」を英語で表現する時は前置詞の後にどのような前置詞を伴うかに注意させることが大切です。

 

日本人学習者が間違いやすい前置詞の例をまとめておきます。

  • the key to success 「成功の鍵」
  • a ticket for the concert 「コンサートのチケット」
  • an expert in [on] economics 「経済学の専門家」

引用:授業に役立てるコーパス

 

SKELLで頻出動詞を完全整理

SKELL

SKELLの使い方

ここからはSKELLの使い方を解説していきます。まずは、SKELLでできることを下記に整理します。登録なども必要なく、調べたい単語を入力してクリックするだけです。今回は試しに「get」の使い方を調べます。

 

SKELLの機能

  • 例文検索
  • コロケーションの確認
  • 類義語・同義語検索

 

skell.sketchengine.eu

 

上記のサイトをクリックすると下記の画面が出てきますので、調べたい単語を入力してEnterボタンを押します。そうすると「get」を使った例文の一覧が表示されます。これでも十分用法がわかるのですが、今回は「exmaples」隣の「Word Sketch」をクリックします。

 

SKELL 例文

 

「Word Sketch」を選択すると、下記の画面が出てきます。「get」の前後のコロケーションを一覧することができます。「get」を使う場合はどのような主語がよく使われるのか、頻出のフレーズをチェックすることができます。

 

Word sketchの機能

  • subject of get:getの主語になりやすい単語
  • object of get:getの目的語になりやすい単語
  • pharsal:getを使うフレーズ
  • pharasl with objet:フレーズ+目的語

 

get の例文

その他にも、隣の「Similar words」をクリックすると「get」の意味に類似することが出てきます。視覚的に、「get」の類義語がわかるようになっています。中心に配置されているのが最も意味が類似しているhaveという結果になりました。

 

get の類義語

頻出動詞のコロケーションマップ

Have

ここからはSKELLの「Word Sketch」の機能を使って頻出動詞のコロケーションを整理していきたいと思います。subject of 〜(〜の主語になりやすい単語)とobject of 〜(〜の目的語になりやすい単語)の上位3位をマッピングしてみました。目的語で一番用例が多かったのが、「have an effect」(〜に影響をもたらす)というイディオムでした。主語で多かったのは、peopleとgovernmentという結果になりました。

 

haveの用法

Get

getのコロケーションマップでは、頻出の目的語はget a job(仕事を得る)、get a chance(チャンスをつかむ)という結果になりました。主語のトップだったのがthingsというのが特徴的と言えるでしょう。

get skell

Make

makeのコロケーションマップでは、頻出の目的語はmake decisions(決定をする)、make sense(意味がわかる)、make use of(活用する)という結果になりました。主語で上位に来たのは、peopleとcompanyでした。 

make skell

 

Take

takeのコロケーションマップでは、頻出の目的語はtake place( 起こる)、to take advantage of (利用する)、took part in(参加する)という結果になりました。主語で上位に来たのは、目的語と関係があるevent、studentでした。

 

take xmind

※上記4つの動詞は、「コーパス超入門」で紹介された頻出10動詞から、汎用性の高い4つの動詞を抽出。

 

参考

Wikipedia |  コーパス

Shogakukan Corpus Network |  コーパスとは

Researchgate | The Effects of Corpus-Based Activities on EFL University Students' Grammar and Vocabulary and Their Attitudes toward Corpus

今井むつみ研究所 | 英語教育 連載 20184月―9月(6回)高校生のライティング上達のためのコーパス利用の試み

Oxford University Press | The Effects of Corpus Use on Second Language Vocabulary Learning: A Multilevel Meta-analysis

NetAdvance Inc | 授業に役立てるコーパス

CORE |  語彙習得におけるコロケーションの重要性

Frontiers | Collocation Use in EFL Learners’ Writing Across Multiple Language Proficiencies: A Corpus-Driven Study

Springer |A thematic corpus-based study of idioms in the Corpus of Contemporary American English

Semantic Scholar | A Corpus-based Analysis of TESOL EFL Students ’ Use of Logical Connectors in Spoken English

ScienceDirect | Exploring the effect of corpus-informed and conventional homework materials on fostering EFL students’ grammatical construction learning

Cambridge University Press ELT | Corpus linguistics: how can it help with English language teaching and learning? With Niall Curry

英語脳とは? 作り方・大人も実践できる東大式 英語思考ができない原因とは?

はじめに

英語脳とは?どのような感覚でしょうか。今回は英語脳の作り方と鍛え方をは解説していきます。日本語と異なる英語脳とは存在するのか?英語思考ができない原因とは?言語習得プロセスの位置付けと英語思考ができない原因を東大の研究を交え解説しながら、最後に大人でも実践できる英語脳の作り方をステップごとに解説していきます。

 

「ポリィの英語講義」というYoutubeチャンネルも開設致しましたので、ぜひこちらもチェックしみてください。こちらのチャンネルでは第二言語習得研究や英語学習についての動画を公開しています。動画作成に励みになりますので、チャンネル登録していただければ嬉しいです。

 

www.youtube.com

 

↓↓英語学習の全体像についてはこちらで解説

www.sunafuki.com

 

主な参考文献

 

「はじめての英語学」

 

「英語学入門」

 

「英語学を学ぼう」

 

「一億人の英文法」

 

 

英語脳とは?

英語脳とは

英語脳は存在する?

そもそも英語脳とは存在するのでしょうか? 日本の脳神経外科医 植村研一さんの論文「脳科学から見た効果的多言語習得のコツ」では、日本語脳や英語脳が存在し、それぞれ脳の活動が違うと説明されています。実際にバイリンガルの方の脳活動を見てみると、確かに英語と日本語では、活動している場所が異なるようです。

英語脳

引用:脳科学から見た効果的多言語学習のコツ

 

幼少期に外国語を習得した人は、第一言語第二言語も同じ脳の分野を使うという研究結果もあるようですが、大人になってから習得した人の脳を観察すると、下記のように違う箇所が活発に動いているようです。英語脳が存在するかどうかは、科学的には確証がないようで、引き続き議論されているようです。

 

脳科学

引用:Distinct cortical areas associated with native and second languages

 

ユニバーサル文法の存在

英語脳の存在を断定するのは難しいので、言語の共通のルールについて考えていきたいと思います。もし、言語の共通ルールがあるとすれば、英語脳も日本語脳も同じ思考で良いということになります。言語には共通のルール(普遍文法)があると最初に主張したのは言語学者ソシュールです。彼は個別かつ例外だらけの言語をどうにか帰納的に説明しよう普遍文法という概念を打ち出しました。

 

生成文法とは、様々な仮説群とレキシコン(辞書)を演算して生成された文全体と、言語における文法全体が完全に一致するという理論です。生成文法は主観が入らずに誰がやっても同じ理論・結論になります。私達が使用している個別かつ例外だらけの言語それぞれが、一つのきちんと生成できるルールに基づいていると主張しました。

 

引用:言語の文法処理を支える3つの神経回路を発見

 

脳の話に戻ると、人間の脳には元々文法能力を操る文法中枢があると考えられおり、文法処理を支える回路も発見されています。特に言葉を発する機能を担っている領域は「ブローカ野」と呼ばれ、ここが損傷されてしまうと相手の話は理解できるのに、自分ではうまく話せなくなります。

 

東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉助教授らは、脳の活動を外部から計測できる装置を用い、英語の文法の学習が進むと日本語の文法を処理する脳の部位と同じ部位が活発になることを突き止めました。脳には、文法を処理する中枢が存在し、その部位は言語によらず共通、というわけです。

引用:日本語も英語も活発になる部位は同じ

 

実は、文法処理する中枢は、外国語を習得する際も日本語と同じようにこの中枢を使うということが明らかになっています。ある被験者のグループに文法問題を課し、その時の脳の活動を映像化して調べたところ、文法を使う言語理解の際に、特異的に活動する部位が見つかりました。(さきほど説明したブローカ野)

 

そして、次は英語を習い始めた中学生を対象に、機能的MRIを用いた実験を行いました。「現在形」を「過去形」に変える(正しい「過去形」を選ぶ)という文法課題を与え、学習前後の脳の活動変化を調べたところ、学習の向上に比例して先ほどの文法実験で見出された活動部位(ブローカ野)と同じ部位に活動の増加が見られました。

 

カミンズの言語共有論

言語中枢という考え方は、カミンズ氏の言語共有論にも近く、彼はカミンズ氏は第一言語第二言語の間には共有できるCommon Underlying proficiencyCUP)があると主張しています。第一言語能力(母国語)と第二言語は独立しておらず、相互に依存しているという理論です。(二言語共有説)

 

CALP

引用:Teaching for Cross-Language Transfer in Dual Language Education: Possibilities and Pitfalls Jim Cummins,2005

 

カミンズ氏は、「二言語共有説」を立証するために言語能力をBasic Interpersonal Communicative Skills(対人伝達言語能力)とCognitive Academic Language Proficiency(認知・学習言語能力)に整理しました。

 

Basic Interpersonal Communicative SkillsBICS)は、日常の場面に密着した(context-embedded)言語使用が特徴で、日常会話能力と言って良いでしょう。一方、Cognitive Academic Language ProficiencyCALP)は、学問的な思考をするときに必要な言語能力のことです。抽象的な事柄などを考える(context-reduced)言語使用が特徴で、認知的な負荷が高くなるようです。

 

BICSとCALP

引用:bestofbilash|BICS/CALP:Basic Interpersonal Communicative Skills vs. Cognitive             Academic Language Proficiency

 

この二つの言語能力(BICSとCALP)は第一言語第二言語両方に当てはまります。 言語形成の土台にあたるのが、CALPで能力形成まで長い時間がかかります。私たちはすでにこのCALPという論理的思考能力をもっており、日本語だろうと英語だろうと共通の土台の上で、言語を操るということです。

 

↓↓こちらも参考にしてください

www.sunafuki.com

 

日本語と英語の論理形式の違い

つながり(cohesion)

では、英語も日本語も共通のCALPがあるということは分かりましたが、実は日本語と英語では論理の手続きの踏み方が少し異なります。英語の論理の基本は「つながり」と「まとまり」です。

 

英語の論理の基本

  • つながり(cohesion):各センテンスが前後のセンテンスと意味上および形式上かかわりがあり、直線的に言葉が流れている
  • まとまり(coherence):すべてのセンテンスが明確に1つの話題について述べていて、全体として1つのメッセージを成している

引用:論理力を学び論理力を養う 英語スピーキングルールブック

 

つながり(結束性)の研究は英語学習の中でも活発に議論されているようで、結束性を初期に体系的に研究したハリデーとハッサン(M.A.K Haliday and R. Hasan)は、結束性を5つの概念を使って解説しました。

 

英語の結束性の5つの要素

  1. 指示(Reference)
  2. 代用(Substitution)
  3. 省略(ellipsis)
  4. 接続語(conjunction)
  5. 語彙(lexical chain)

引用:Cohesion in English(1976)

 

日本語の文章では、文全体における起承転結が重視されます。一方で、英語は語句→パラグラフ→文全体が有機的に連動し、全体としてのつながり(結束性)が求められます。下記の文章ではいかに一つの文章が恣意的ではなく、意図をもって構成されているかが分かります。

 

英語の結束性

引用:はじめての英語学 P144

 

例文で見られる結束性

  • 同義性:particular-specificなど
  • 反義性:general-specificなど
  • 比較語:the best move-the best or even a good move
  • 接続後:for, thereforeなど
  • 語の関連:answer、respondなど

 

旧情報から新情報

英語では文章を作る際に、すでに述べられた、相手が「知っている」情報(Known)で始めて、聞き手がまだ「知らない情報」(New)はセンテンスの後ろのほうにもっていきます。代名詞などを主語にして文を始めるのも「つながり」を出すためのテクニックです。これららは全て聞き手が大切な情報を聞き逃さないために行われています。

 

新情報から旧情報

抽象→具体と一般→具体の原則

もう一つ、「抽象」→「具体」と「一般」→「具体」の原則を守ることです。英語では抽象的・一般的なことを述べてから、具体的・個別的のことを述べるのが鉄則です。

抽象と具体

抽象と具体の関係を明白にするには、「a kind of〜」という言葉を入れることで確かめることができます。例えば、「Sushi is a kind of Japanese food」(寿司は日本食の一種)というように、抽象度を表すことができます。

 

まとまり(coherence

英語には目的によって4つの形式(discourse)という、それぞれ決まった型(model)が存在します。それぞれの型どおりに話す(書く)ことで全体のまとまりが生まれます。これらの型は英語圏の学校教育で小学校から指導されているので、ネイティブスピーカーは自然と型通りに話すことができます。まさに英語ロジックの根幹の部分です。

 

4つの形式(Discourse)

  1. 出来事・ストーリーを語る文章(Narrative)
  2. 人物や場所を描写する文章(Descriptive)
  3. ものごとを説明・定義する文章(Expository)
  4. 理解してもらうために議論・説得する文章(Persuasive)

 

今回は出来事の語り方(Narrative)を見ていきましょう。人間のコミュニケーションの原型に当たり、英語圏では最も初期に学習していきます。基本的には、場面設定→話の流れ→一般化/考察の流れとなります。

 

英語のコミュニケーション

概要となるポイントを示し、そこから枝分かれに詳細を述べていきます。出来事などを語る時は、自分が思い浮かんだ順番に話してしまいがちです。相手とイメージを共有するためには、ポイントを絞って的確に説明することが大切です。

 

ネイティブ感覚を身につける

論理の手続の方法に加え、日本語と英語では物事を捉える視点が異なります。日本語は下記のように、状況だけを視点で捉えます。一方で、英語は「動作主」と「受け手」が作用を及ぼしているという状況を踏まえ、全体を俯瞰して見ます。英語は日本語よりも、物事を俯瞰して捉える言語だとも言われています。無生物主語構文など英語特有の構文にも慣れる必要があります。

 

自動詞・他動詞と日英の視点05

引用:もっと自然な英語が使えるようになる。「自動詞と他動詞」本質的な違いはこれだ!

 

感情表現の視点においても、日本語では人の感情が重要視されます。「嬉しい」とか「悲しい」などの気持ちだけを捉える傾向があります。一方で、英語はその気持ちを引き起こした原因も同列に扱われます。

 

自動詞・他動詞と日英の視点07

引用:もっと自然な英語が使えるようになる。「自動詞と他動詞」本質的な違いはこれだ!

 

今自分がいる状況を客観的に見てみて、動作主と受けてを明確にしながら英語で整理してみる。あるいは、「嬉しい」とか「寂しい」感情の原因をつきとめて、英語に思いを乗せてみる。日々の生活の中で今まで気にしなかった事柄を英文に落とし込むことで、少しずつネイティブ感覚が養われていきます。

 

英語思考ができない原因

英語の思考ができない

単語・動詞のコアイメージの欠如

さきほどの英語の視点や、感情表現の違いの由来はどこから来るのでしょうか?英語の視点の根幹には英語を構成する一つ一つの単語があるはずです。日本語の意味を常に変換する作業をしていては、英語の視点も獲得できませんし英語思考をすることもできません。

 

英語スキーマ

 

英語スキーマ(ネイティブが持つ構造化された知識)↓↓

www.sunafuki.com

 

英単語を覚えるときに、走る=runというように覚えてしまうと、日本語の意味を常に変換するという工程が必要になってしまいます。run= to move fastというコアの意味を覚えることで、そこから他の意味も類推することができるようになります。コアイメージを覚えることで、単語が本来持っている作用や動きを理解することができます。

英文の構造的特徴を知らない

英語と日本語は下記のようにミラー言語と呼ばれ、修飾のされ方や構造が異なります。日本語と英語では、様々な要素が全く逆の語順で現れています。

 

ミラー言語

引用:英語学入門 P244

 

英語の視点や動きの根幹にあるのは、英単語一つ一つの意味の連なりでした。但し、英語特有の構築のされ方を知らないと、正しい視点を理解することができません。その構築のされ方の根底にあるのが英語の基本文型になります。

 

英語の基本文型

  • 他動型:主語+動詞+目的語
  • 自動型:主語+動詞
  • 説明型:主語+動詞+説明語句
  • 授与型:主語+動詞+目的語+目的語

引用:一億人の英文法 P20

 

英語は文型によって意味が異なる他、修飾語(語句)を前に置くか、後ろに置くかによって意味が変わってきます。「That is a red sweater. 」ように前に置く修飾語は限定の働き(青でも白でもない)をしている一方で、「That sweater is red.」は説明(あのセーターは赤い)の働きをしています。英語は文の配置によって品詞の役割が異なってきます。

 

文の配置転換による品詞役割の変化

  • Red is the color of passion. (名詞)
  • I love that red dress. (限定)
  • That dress is red. (説明)

 

修飾のされ方や配置によって品詞の役割も変化し、文型それ自体の構造の変化によっても文全体の意味が変わってきます。英語の構造的特徴を知らないと、英語思考を受け取ることも、伝えることもできません。

 

英語の構造

 

↓↓英文法の勉強法はこちら↓↓

www.sunafuki.com

 

 

パラグラフ構築方法の文化的違い

パラグラフの作成方法が文化によって異なるという研究結果があります。Kaplan (1966) はアジア圏の言語は中心に向かう渦巻状と示し、英語の論理展開を直線の下向き矢印で示しました。

 

論理と文化の違い

引用:Kaplan's (1966) diagram presenting cross-cultural differences in paragraph organization in the study on cultural thought patterns in intercultural education 

 

三重大学では、学習者コーパス「ICNALE」を用いて日本人学習者に特徴的な結束語句の使用に関する調査を行い、以下3つの日本人学習者による英語ライティングの特徴が明らかにしました。

 

日本人学習者による英語ライティングの特徴

  • 定冠詞、不定冠詞を用いたエッセイ内の名詞の展開が少ない。
  • 前述の内容を示すitの使用が少ない。
  • 同じ語の繰り返しが多い。

引用:A Study of English Writing by Asian Learners

 

これらの特徴から、「英語的論文展開で書くための結束語句の使用に不慣れである」、「実用的な語彙が十分に習得できていない」という2点が、日本人学習者の英語ライティングにおける問題点として指摘されています。

 

言語習得プロセスへの位置付け

言語習得プロセス

↓↓言語習得のプロセスはこちらで解説

www.sunafuki.com

英語の深い理解

単語の実際の使い方や熟語も一緒に覚えることで忘れにくくなるだけではなく、より実践的な英語力を身につけることができます。ここでの英単語の使われ方とは日本語の形式という意味ではなく、英語の形式におけるという意味です。英語の形式は、下記のように語順と文型が中心となり、意味を決定づけます。さらに、文の中で中心的な役割を果たす動詞のコアイメージを意識しながら、アウトプットしていきます。

 

英語の深い理解

名詞などの個々の単語については、先ほど説明した「具体」⇄「抽象」や「一般」⇄「個別」というように整理しておくことが大切です。英語論理の形式で説明する際に、効果的にピースにはめることができます。

 

英語の深い理解 単語

英語らしさを検証する内在化

英語らしさを検証する、ネイティブの思考の人は実際にどのようにこの動詞を使うのか?ネイティブの人との単語の使い方や、実際の語法を学ぶ・真似る事で、英語脳そのものを形成することができます。ここでは、英語らしさ=英語脳と考えます。

英語らしさの内在化

 

大人も実践・英語脳の作り方

英語脳の作り方

Step1 英語のコアイメージをつかむ

英単語を覚えるときは単語のコアイメージをつかみ、自分で英語のスキーマを作れるように意識する。英語と日本語の言葉の定義は異なることが多く、言葉で説明しても限界があるので、視覚的に捉えるのもおすすめです。

 

単語や文法をイメージで説明するテキストもおすすめ

表現英文法

 

「イメージでわかる表現英文法」

 

 

✔️英単語のコアイメージをつかむ

✔️英語スキーマを作り上げる

 

Step2 文型を意識して基本動詞を使う

基本動詞は英語のコアイメージが集約されていることが多く、前置詞を組み合わせることで様々な意味を生み出してくれます。句動詞(動詞+前置詞)をマスターすれば、英語の感覚をつかめる他、感覚的に英語を操ることができるようになります。余裕があれば、無生物主語構文などを積極的に使ってみましょう。

 

基本動詞の使い方を説明したテキストもおすすめ

句動詞を使いこなす

 

「英語は2語で何でも言える」

 

✔️「get」や「give」などの基本動詞のコアイメージをつかむ

✔️文型を意識しながら基本動詞+前置詞(句動詞)

✔️無生物主語構文などを積極的に使って英語の視点を獲得

 

Step3 英語の論理を意識したスピーキング

ネイティブの動詞感覚やコアイメージが掴めてきたら、次は実際に英語らしさが伝わる英語の論理を意識したトレーニングを実践していきます。先ほどを説明したつながり・まとまりを意識してスピーキング練習をしていきます。

 

英語スピーキングの方法を図式化したテキストもおすすめ

英語の論理を意識したスピーキング

 

「英語スピーキングルールブック」

 

✔️つながり・まとまりを意識してスピーキング

✔️M(Main idea)P(Point)D(Detail)を意識

 

参考

認知神経科学 vol. 11 No1 2009 | 脳科学から見た効果的多言語学習のコツ

Nature | Distinct cortical areas associated with native and second languages

科学技術振興機構報 第21 | 外国語習得も同じ「文法中枢」

科学技術振興機構報 第240 | 「言語は特別-文法を担う大脳の部位を発見」

東京大学プレス | 言語の文法処理を支える3つの神経回路を発見

STUDY HACKER|もっと自然な英語が使えるようになる。「自動詞と他動詞」本質的な違いはこれだ!

The University of Auckland Essay writingEssay writing, Achieving coherence

Bestofbilash | BICS/CALP:Basic Interpersonal Communicative Skills vs. Cognitive Academic Language Proficiency

Sakai Lab, The University of Tokyo | 日本語も英語も活発になる部位は同じ

ResearchGate |  Kaplan's (1966) diagram presenting cross-cultural differences in paragraph organization in the study on cultural thought patterns in intercultural education 

Department of English, Mie University | A Study of English Writing by Asian Learners

(アジア圏英語学習者による英語ライティングの研究)

【英会話独学】英語学習ロードマップ 第二言語習得研究と行動科学に基づく英語を話す方法

はじめに

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今回は英語を話す方法の完全英語学習ロードマップを丁寧に解説していきます。私の第二言語習得研究の知見と行動科学(私自身の語学学習の経験を観察して得られた実証結果・多言語話者に取材をして気づいた彼らに共通した行動の特徴)に基づく学習マップを始めから丁寧に解説していきます。英会話の完全独学ができますので、今回のブログをしっかり理解して英語を話せるようになりましょう。

 

「ポリィの英語講義」というYoutubeチャンネルも開設致しましたので、ぜひこちらもチェックしみてください。こちらのチャンネルでは、今後英語学習ロードマップの実践動画をアップしていきたいと思います。

 

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英語学習ロードマップ

  • Phase1 学習方略に基づく学習計画(公開済み)
  • Phase2 発音と単語で気づきを促す(公開済み)
  • Phase3 浅い理解を深い理解に転換(公開済み)
  • Phase4 英語の化石化を防ぐ内在化(公開済み)
  • Phase5 英語の自動化で統合を刺激(公開済み)

 

チャンネル登録していただければ励みになります。よろしくお願いいたします。

 

 

第二言語習得研究でもう英語学習は挫折しない

第二言語習得研究

挫折をしてしまう英語学習者

最初から英会話を始める

英語が話せない理由は練習が足りないからと思って、英会話の練習を最初から始めてしまうとどうなるでしょう。経験がある人なら分かりますが、全く会話が続きません。やっぱり自分には英会話ができないと、自暴自棄になってしまいます。現在の自分を責める必要はなく、単純に英語を話せないのは話すための文法・語彙知識が不足しているからです。

 

実は英語を話すためには、語彙や文法の知識に加えリスニングの力やリーディングの力も必要です。そもそも英語を話すという行為(英会話)は、相手の話を聞いて、それを理解して自分の考えを伝えることです。まずは相手の英語の音声を聞いて瞬時に理解できる力が必要です。

 

第二言語習得研究においては、英語習得はインプット(知識を得る行為)の際に起こると考えられています。アウトプットは気づきや仮説検証(この表現で合ってるのかな?と確かめる事)の役割が多いとも言われているので文法・語彙知識が足りないと、アウトプットの期待される効果も薄れてしまいます。

英語学習者の成功体験を追随

書籍やインターネットで見つけることができる英語学習の多くは、個人の経験に基づく独自の英語学習メソッドです。その多くは経験則によるもので、デメリットもあります。英語に触れる環境などが特殊で、本人以外には通用しない可能性もあります。そもそも英語を話すようになるためには、学習のフェーズによって最適な学習方法が存在します。

 

その学習方法に根拠はあるのか?再現性のない学習方法は採用するべきではなく、ある程度客観的に科学的研究に基づいてトレーニングをするべきです。さらに、科学的学習効果を安易に採用するのではなく、自分に合った生活習慣、認知スタイルを見つけ、いつ・どこで何をやるのか落とし込む必要があります。

英語学習の最短ロードを示す科学的研究

第二言語習得研究を活用することで、学習の課題をダイレクトに解決することができます。膨大な教材を読み漁って、闇雲に様々なトレーニングを繰り返すということから解放されます。第二言語習得研究は私たち学習者に安心感を与えるだけではなく、効率的な解決策を提供してくれます。

 

第二言語習得研究

第二言語習得研究について解説しています↓↓

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次はもう少しだけ、第二言語習得研究の中身を見ていきましょう。

英語習得の仕組み

英語習得の4つのプロセス

第二言語習得研究においては、言語は4つのプロセスを通じて習得されると考えられています。インプットされたものが4つの段階を踏んでアウトプットされるという理論です。気づき→理解→内在化→統合を経て自動化された知識が英会話には必要です。

英語習得の4つのプロセス

全ての学習者が上手に4つのプロセスを経てアウトプットできているかは怪しく、大部分の人は理解の途中の段階にいます。浅い理解で止まっていると、英語を話すことができません。これまで学習してきた浅い理解を深い理解に引き上げて、内在化していく必要があります。深く理解された文法や語彙の知識は運用能力が高く、英会話で実践的な知識となります。

 

英語知識の自動化

内在化された知識は、いよいよ最後の統合化のステップに入ります。知識が統合化されるためには、英語知識の自動化が必要だと言われています。知識の自動化には様々な定義がなされていますが、私は下記のようなイメージで捉えています。シンプルですが、概念から形式への話すためのトレーニング、音声から意味理解への聞くためのトレーニングを繰り返すだけです。

英語知識の自動化

上記のサイクルを何度も回すことで、冒頭でお伝えした相手の英語の音声を聞いて瞬時に理解できる力が身に付き、相手の話を聞いて、それを理解して自分の考えを伝えることができるようになります。具体的な方法は次章以降で丁寧に説明していきます。

英語が話せない最大の原因は内在化の欠如

英語が話せないのは内在化が起こっていないことが考えられます。内在化の段階では、すでに形成された仮説が検証されます。「この表現で合っていたのか?」とか、「この表現で伝わるのか?」と相手にぶつけます。もし、伝わらなかったり誤解が生じたら、その仮説は修正されるべきです。

 化石化

ある特定の言語項目や規則が誤って習得され、その誤用がそのまま定着してしまうと化石化(fossilization)が起こってしまいます。例えば、英語が得意ではない状態で、カタコトの英語を話して相手が理解してしまったら、その表現をずっと使ってしまう恐れがあります。

 

行動科学で英語学習の習慣化

行動科学

いつ・どこで・何を迷わない

ここからは私の語学学習の経験と行動科学の研究を基に、英語学習を習慣化するコツをご紹介していきます。できるだけモチベーションに頼らず英語学習をするためには、いつ・どこで・何をするかをあらかじめ決めることが大切です。朝起きて鏡の前で歯磨きをするように、そこに行くと自然と身体が動くような感じです。

行動科学

例えば、「通勤中に単語帳をカバンから出して日本語の訳を隠して言えるかどうかチェックする」、「お昼休みは携帯のポッドキャストを聞いて公園で歩きながらシャドーイングする」、「お風呂でkindleのgraded readersを読む」というように具体的に何を使って学習するかを決めることがポイントです。毎日何を使って勉強しようかなと考えていると習慣化になりません。

 

スモールステップの原則

英語学習の最も重要な原則の一つは簡単すぎるぐらいのスモールステップを貫くことです。「これって簡単すぎるかな?」と思うような教材やテキストを選ぶことが大切です。背伸びしてしまったり、なんとなく理解してしまうのは良くありません。簡単なタスクを一つ一つクリアしていく事で達成感が得ることができます。

スモールステップ

そもそも言語習得は、理解可能(comprehensible)なインプットによって起こると言われています。言語学者のクラッシェン氏は現在の能力よりほんの少しだけ難しめ(1+i)のインプットが望ましいと主張しています。インプットが難しすぎると、第二言語習得のプロセスを促進できなかったり、気づきが生まれません。

 

語彙学習

語彙学習

記憶のメカニズム

遅延効果

エビングハウス忘却曲線によると、人の記憶は時間が経つごとにどんどん忘れていってしまいます。但し、遅延効果を活用すると記憶を忘れにくくすることができます。遅延効果とは復習の間隔をあけることでより長い間記憶に残しやすくするテクニックです。つまり、ある単語に出会った後に、その単語のもう一度出会うまでの時間を長くすると記憶が定着しやすくなります。

エビングハウスの忘却曲線

悪い例を挙げると、30個の単語を1日で覚えるために、何がなんでも短期間で繰り返し覚えようすると長期的な記憶になりません。記憶が鮮明に残っている段階で、同じ語をふたたび目にしてしまうと遅延効果は働きません。ある程度、多めの単語をまとめて学習し、一定の間隔を空けて繰り返し学習する事で記憶は定着します。

テスト効果

アメリカの大学生に、英文を見ずに10分間で英文の内容をできるだけ思い出し、紙に書き出すというテストを受けさせる調査をした研究があります。複数の学習条件を提示したところ、「英文を繰り返し読む」(= 繰り返し学習)よりも、「英文の内容を繰り返し思い出す」(= 繰り返しテスト)方が効果的であることが明らかになりました。

 

遅延効果とテスト効果

 

つまり単語帳で英単語とその和訳をただ眺めているのは、効果的な学習法であるとは言えません。和訳の部分を隠して英単語からその意味を思い出したり、英単語の部分を隠して和訳から英単語を思い出すなど、テストの要素を持たせることで、記憶への定着が高まることが期待されるということです。

 

英単語帳の中には赤字の部分を隠せるようになっているものがあります。シートを使用した学習法は記憶研究に基づいた効果的な学習法であると言えます。和訳から英単語を思い出せば、自分でテスト効果を取り入れた効果的な学習を行うこともできます。

英単語を深く理解

ラベリング・ネットワーキング

単語を深く理解するためには単語の発音や意味だけを覚えるのは不十分で、それだけでは浅い理解になってしまいます。実際の使われ方やコロケーションも同時に理解することで受容的な知識(receptive knoledge)から発信できる知識(productive knowledge)に変化していきます。

 

英単語の覚え方はこちらで解説↓↓

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単語を記憶する最初のステップはラベリング(Labeling)です。発音やスペルに対して、意味というラベルを付与していきます。ラベリングの次は、ネットワーキング(networking)です。ネットワーキングは、語と語の関連情報を見つけて、語彙のネットワークを広げていくプロセスです。語彙が有機的につながっていれば、効率的にラベリングされた単語が発信できる知識に変容されていきます。

 

ネットワーキング

 

単語の基礎知識をおさえ単語を深く理解することで、スムーズに文章を読めるようになったり、アウトプットする際にも的確な語彙を選択できるようになります。

スキーマ単語学習

スキーマとは認知心理学の概念で、ある事柄についての枠組みとなる知識です。母語についてもっている知識もスキーマの一つで、子供や外国語話者が話した日本語が瞬間的に変だと感じるのは、母語スキーマがあるからです。ことばについてのスキーマは、言語化できず無意識にアクセスされるもので、英語を学習する際には身体の一部となっている母語スキーマと格闘しないといけません。

 

氷山

 

今井氏によれば英語スキーマは氷山の水面にあるように見えにくく、以下の6つの要素を地道に調べる必要があると主張しています。

 

英語スキーマをつくる6つの要素

  1. その単語が使われる構文
  2. その単語と共起する単語
  3. その単語の頻度
  4. その単語の使われる文脈(フォーマリティの情報を含む)
  5. その単語の多義の構造(単語の意味の広がり)
  6. その単語の属する概念の意味ネットワークの知識

引用:英語独習法(今井むつみ)p79

 

スキーマについてはこちらで解説↓↓

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英語スキーマを身につけるためには、地道に辞書やコーパスを使って日本語と英語の意味範囲などを比較して、日本語スキーマとのずれを探すことが大切です。

 

発音学習

発音学習

英語の発音

英語には数多くの母音と子音が存在します。英語の発音トレーニングは口の運動のように一つ一つの音を出せるようにすることが大切です。ただし、すぐに全ての音を出せるようになるは難しいので、まずはミニマル・ペアを使って似ている音を区別して整理していきましょう。

 

ミニマル・ペアとは1カ所の音の違いだけで意味を区別する単語の組み合わせで、例えば、light[lait]とright[rait]がそれにあたります。この2つの単語を正しく発音できるようになるには日本人が苦手なLとRの発音を区別する必要があります。

 

英語が聞き取れない原因はこちらで解説↓↓

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英語の音節

音節とは母音ひとつを中心とした音の単位を示します。日本語の一文字を分解してみると、「1子音+1母音」となります。例えば、「n a」 (な)「z e」(ぜ)というように、「子音 母音 子音 母音・・」と規則的に並ぶことが多くなっています。一方で英語は、母音一つ、その母音の前後に合計1~7つの子音がくっつき、一音節を形成していきます。

英語の音節

 

英語の音節

  • 子音+母音:go [gou]
  • 子音+子音+母音:play [plei]
  • 子音+子音+母音+子音:great [greit]
  • 子音+子音+子音+母音+子音+子音:strict [strikt]

 

上記の4つは全部母音がひとつしか入っていないので、1音節の単語となります。ネイティブスピーカーにとっては一つの音と感じているようで、ポン・ポンとリズムよく発話するのがポイントです。

 

文法学習

文法学習

語順を意識して学習

言語を形態論的に分類すると、孤立語屈折語膠着語に分類されます。英語やラテン語孤立語と同様に、語順が大切になります。日本語で言う「は」や「を」などの対象を決める助詞がないからです。

 

英文法の勉強法はこちらで解説↓↓

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形態論的分類

  • 孤立語:単語の形は変化せず、語順で文章が決まる(中国語、ベトナム語)
  • 屈折語:単語の語形を変化させて文章を組み立てる(英語、ラテン語)
  • 膠着語:「が」や「は」などをくっつけて文章を組み立てる(日本語、韓国語)

 

孤立語屈折語は語順が変わると別の意味になってしまうので注意が必要になります。日本語は助詞で意味が変わってしまいますが、英語は下記のように語順で意味が変化していきます。

 

英語の語順

動詞を中心に学習

英語の5つの文型を整理してみると、全てに共通している要素がSVであることがわかります。英語の文ではSV(主語+動詞)が不可欠で、それ以外は付随的な要素となっています。英文法を学ぶ際には、主語と動詞を中心に学ぶことが大切です。

 

英語の文型

  • 第1文型:SV(主語+動詞)
  • 第2文型:SVO(主語+動詞+目的語)
  • 第3文型:SVC(主語+動詞+補語)
  • 第4文型:SVOO(主語+動詞+目的語+目的語)
  • 第5文型:SVOC(主語+動詞+目的語+補語)

 

SVの後ろの要素を決めるのは動詞です。動詞を学習する際には、例文や実際に使われ方を確認することが大切です。英文を読む時にも動詞部分を意識するために印を付けて読み進めることもおすすめします。

イメージスキーマ

イメージ・スキーマとは、身近な身体経験(自分自身を中心とした空間的位置の経験や、モノをつかんで位置を移動させるなどの身を持って経験できること)の中で、一定のパターンを認識し、心の中に貯えたものです。イメージ・スキーマを使えば、英語の前置詞や時間の用法を自然と理解することができます。

 

スキーマについてはこちらで解説↓↓

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イメージ・スキーマは国籍や文化によって若干の違いはありますが、言語を跨いだ共通の概念となっています。例えば「in」というイメージ・スキーマは、多くの人が箱の中に何かがあるという図を想像することができます。私達は身近な身体経験を通して、対象となるモノの性質やサイズを乗り越えて、それらに共通する位置関係の概略のみを抽出する傾向があります。

 

イメージスキーマの例

参考:Image Schemas: The Physics of Cultural Knowledge?

 

時間の用法を表す「in」をイメージ・スキーマを使う例を考えて見ましょう。「the hottest in five years.」の5年間という容器の中に、「一番暑い日」があるという空間的イメージを捉えることができます。「In watching the TV, I received a phone call from John.」では、テレビを見ている時間という容器の中に、「電話に出る」という空間があると視覚的に捉えることができます。

 

イメージスキーマ

パターンプラクティス

パターンプラクティスとは、日本では別名で文型学習などと呼ばれ、文の型(パターン)の知識を活かして、文を少しずつ変化させるトレーニングです。パターンプラクティスを何度も繰り返すことで「わかった」文法の知識が頭の中で想像したイメージと結びついて、「つかえる」運用可能な知識へと転換されていきます。

 

パターンプラクティスについてはこちらで解説↓↓

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但し、パターンプラクティスを実践するに当たって3つの注意点があります。

 

注意点

  • 文型学習(文法学習)を無視する
  • 置換・転換・拡張トレーニングをしないで満足する
  • パターンプラクティスだけで話せるようになる

 

1つ目は、テキストの一文目から闇雲に英文を暗証して、文型を意識しないでトレーニングをしてしまうことです。5文型を理解をしていないのに5文型を使ったパターンプラクティスを実践しても効果がありません。

 

2つ目は、パターンプラクティスは、単純に日本語を見て英語を発話するトレーニングではありません。5文型を土台にして、単語を「転換」したり「拡張」するトレーニングも大切な要素です。自分で0から文章を組み立てるわけではありませんが、文を自分なりに転換するのがパターンプラクティスです。

 

3つ目は、パターンプラクティスの肝は、英文を訳さずに読めるようになることです。文法の知識が「わかる」から「使える」知識に変換されます。英文を見て、即座に意味をつかむことができるようになります。但し、5文型の英文を組み立てるようになったからと言って、創造的に話せるようになるわけではありません。 

 

英語を聞くためのトレーニン

英語を聞く

英語のリズムと音声変化のルール

イントネーション

英語のリズムと強弱が分からないと、後述する細かい音声変化についていけません。英語の音声に対しては、マクロ的な視点(強弱のリズム)とミクロ的な視点(後述する連結、同化、脱落)などの両面から音声に立ち向かっていくことが必要になってきます。

 

英語のリズム

日本語のリズムは一般的には一定のリズムが続きます。一方で、英語には必ず強弱のリズムがあります。英語の大きな音のカーブに慣れる必要があります。

4つの音声変化

一つ目は連結です。連結とは単語と単語の音がつながる現象のことです。英語話者は単語を一つ一つはっきりと発音しているのではなく、実はつなげて発音しています。単語を一つ一つ単独で発音していていると、流暢に話すことができません。主な連結は下の3つです。

 

連結のパターン

  • 子音+母音:take up[téikʌ́p]→「テイク アップ → テイカップ」
  • 母音+母音:go ahead[góuwəhéd]→「ゴゥ アヘッド → ゴゥワヘッド」
  • 子音+子音:take you[téik j júː]→「テイク ユー → テイキュー」

リスニングで英語を聞き取れない時は、単語が連結されていないか疑う癖をつけましょう。法則を見つける際はカタカナ発音で良いですが、発話する時はフォニックスなどでしっかり練習しましょう。

 

次は音の消失です。音の消失は「破裂音(p,b,k,g,t,d)+子音」で破裂音が消える現象です。全ての単語をきっちり発音していたら、早く話せないため起こります。文末の破裂音自体が消滅することもあります。

 

音の消失の例

  • 破裂音+ 子音:good time[gú(d)táim]「グッドゥ タィム → グッタィム」
  • 文末の破裂音:did it.[dídí(t)]「ディドゥ イットゥ → ディディッ」

 

3つ目はフラップ化です。tが母音で挟まれていると、ラ行のように音が変化する現象です。最初は下記のように思い切って日本語のカタカナにすると、音を認識できるようになります。

 

フラップ化の例

  • watter→ウォラ
  • letter→レラ

 

最後は弱形で、機能語が非常に弱く発音される現象です。実は英語の品詞は「内容語」と「機能語」に分かれています。内容語は文字通り文の中で大切な内容を伝える単語となっています。一般的に内容語は大きく、はっきりと長く発音され、機能語は小さく、速く、短く発音される特徴があります。

 

  • 内容語:名詞、動詞、形容詞、副詞、指示・所有代名詞、疑問詞、再帰代名詞
  • 機能語:人称代名詞、助動詞、前置詞、冠詞、接続詞、関係代名詞

 

但し、上記の機能語も文脈によって強く発音される場合もあります。例えば、機能語の人称代名詞のhimを例文を使って考えてみましょう。弱形になる場合のhimは、Yesで相手に内容が伝わっているので、himは機能的な役割しか担っていません。一方で、強形のhimは、まさに誰が好きなのかを示す内容的な役割を担っているので、強く発話されます。

 

弱形になる場合

  • Do you like your teacher?
  • Yes, I like him.

 

強形になる場合

  • Who do you like?
  • I like him.

 

学校の英語教育では中々弱形を学習する機会がなく、弱形のルールを習得すればヒアリングの力が大きく向上すると言われています。

 

音声変化のルール

 

シャドーイング

シャドーイングとは

シャドーイング(Shadowing)とは英語の音声を聞きながら、その音を真似して発音するトレーニングです。同時通訳の訓練にもよく使われているメソッドです。シャドーイングのポイントは、聞こえてくる音声のすぐ後ろを影(shadow)のように追いかけることです。

シャドーイングとは

シャドーイングは、第二言語習得研究の立場からも高い評価を得ています。特に、言語知識の自動化を促進する効果があると言われています。それだけではなく、短期記憶の定着を促す効果も期待できるようです。第二言語習得研究などでその高い効果が認められ、一般の英語学習者にも急速に広がっています。

 

 シャドーイングの目的

シャドーイングの目的は音声知覚のために使用されるリソースをできるだけ減らして、意味理解をさせる余裕を増やしてあげることです。そのために以下のステップで徐々に脳への負荷を高めるトレーニングを実践しましょう。

 

シャドーイングの実践方法

  1. コンテンツ音読
  2. スラッシュ・リーディング
  3. コンテンツ・シャドーイング
  4. プロソディ・音読
  5. プロソディ・シャドーイング
  6. 仕上げのシャドーイング

 

英語の語順に対応

シャドーイングしたい教材が見つかったら、まずは内容だけを意識して音読します。意味を理解しながら声を出して読んでいきます。英文を音読しながら意味を同時に理解するためには、英文を前から理解をする必要があります。英文精読の癖があると、後ろから訳してしまうので注意が必要です。音声を聞きながら、分からない単語があったらこの段階で調べましょう。

 

次は、音声を聞いて意味の切れ目・音声の空白のタイミングにスラッシュ(/)を入れて読んでみます。音声と教材を照らし合わせながら、/で区切られたかたまり単位で意味をイメージしながら読んでいきます。余裕があれば、ぶつぶつ声に出して次のコンテンツシャドーイングの練習もしましょう。

 

最後のステップは、コンテンツ・シャドーイング(内容重視のシャドーイング)です。ここでは、内容だけを意識して音声の1〜2後後ろを追いかけるように発話していきます。できるだけ英文は見ないようにするのがポイントです。

 

英語の語順に慣れる3ステップ

  1. コンテンツ音読(内容を理解しながら音読)
  2. スラッシュ・リーディング(意味のカタマリを区切って読む)
  3. コンテンツ・シャドーイング
英語の音の獲得

コンテンツ・シャドーイングができるようになったら、今度は発音に意識を移します。できるだけ、発話者になりきって音源を再現できるように音読していきます。リズムやイントネーションだけではなく、音声変化も真似できるように何度も繰り返し音読をしていきましょう。

 

プロソディ・音読ができるようになったら、音声を再現するプロソディ・シャドーインに移ります。音声の1〜2後後ろを追いかけるように発話するのは、コンテンツシャドーイングと変わりませんが、ここでは音声を忠実に再現しながら追っかけていきます。

 

英語の音を獲得するための2ステップ

  1. プロソディ・音読(リズムを理解しながら音読)
  2. プロソディ・シャドーイング
英語を英語のまま理解

最後の仕上げとして、コンテンツシャドーイングとプロソディシャドーイングができるようになったら、事前に英文を読まないでシャドーイングに挑戦してみましょう。初見の素材を使用することで、より脳に負荷がかかります。注意点としては、全く理解できない音声ではなく、なんとか理解できる素材を選びましょう。

 

シャドーイングについてはこちらで解説↓↓

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多読

英語を英語のまま左から右に語順通りに理解するために、多読が効果的です。英文を前から理解することを心がけて、返り読みは避けましょう。英語の語順の脳回路を強化するだけではなく、英語の総合力の強化にもなります。辞書に頼らなくても、内容をイメージできる本を選びましょう。

 

多読の始め方

 

Graded Readers(英語学習者用に作成された段階的な読み物)は文法や語彙の制限をしっかり守って編集されているので、上記のように自分のレベルに合った本を見つけることができます。Graded ReadersははOxfordPearsonCambridge等から出版されています。

 

多読についてはこちらで解説↓↓

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多聴

多聴は、気軽に自分が興味の持てる音声をたくさん聴くのがポイントです。なんとなく内容が追える素材であれば大丈夫です。多読よりも少しリラックスして、リズムやイントネーションを楽しむ態度でも大丈夫です。憧れの俳優や歌手のインタビューやラジオ(ポッドキャスト)がおすすめです。

 

言語学者の白井教授は、以下3つの理由から、自分の好きな分野の音声を徹底的にインプットすることをすすめています。

 

  • 動機づけ:自分の興味分野だと、動機づけにつながる。
  • 背景知識:背景知識でカバーしやすく、内容理科につながる。
  • 単語習得:似たような単語が何回も出てきて、単語習得が進む。

 

おすすめのポッドキャストを紹介↓↓

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英語を話すためのトレーニン

英語を話す

スピーチプロダクションモデル

英語スピーキングの難しさを知る手がかりになるのがスピーキングモデルです。このモデルは元々は母語をのスピーキングのプロセスを説明するために考案されたものですが、第二言語を話すプロセスに示唆を与えてくれます。スピーチ・プロダクションモデルは、私たちのアウトプットのプロセスを3段階のステップに分解したモデルです。

 

スピーチプロダクションモデル

 

英語スピーキングについて解説↓↓

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まずは概念化装置で、自分の伝えたい想いを形成していきます。例えば、今お腹がすいているなと感じたとしたら、「お腹が空いたなと」心の声が生まれてきます。二つ目の形式化は、「お腹が空いたなと」という心の声を言葉にのせる作業です。空腹という単語を探して「hungry」という単語を頭の中の辞書から見つけると同時に、音韻・音声情報も作成します。最後の調音化は、実際に「I am hungry」と発話するプロセスを指します。 

 

形式化

  • 語彙・文法コード化:検索した語彙情報から語句を組み立てる
  • 形態・音韻コード化:アクセントや音韻知識を活用
  • 音声コード化:舌の位置、口の使い方、声帯の振動情報を作成

 

母語を話す際はこれらの複雑なプロセスは自動的に処理されますが、第二言語を話す際は各ステップを意識して実行する必要があるため、スムーズな会話が難しくなります。

U字型発達曲線

アウトプットの役割を考える際に、参考になるのがU字型発達曲線と呼ばれるものです。U字型発達曲線は、言語の創造的な使用がどのようなプロセスで実現されるかの示唆を与えてくれます。

U字型発達曲線

 

U字型発達曲線

  • 第1段階:言語をそのまま暗記
  • 第2段階:規則や法則を抽出
  • 第3段階:創造的に言語使用

 

第1段階では、目標となる言語を暗記します。正確性は高いですが、表現が限定的な状態となっています。第2段階では正確性は下がりますが、トライ&エラーを通して一般的な法則を抽出できるようになります。最後の第三段階では、あらゆる状況で柔軟な言語使用が可能になっていきます。

 

概念→形式化(文法別)

算出トレーニングの下準備として、文法別に自分の気持ち・行動・考えなどの概念をあらかじめ英語に形式化していきます。ここで、文法項目的に整理するのも目的となっているので、自分がしっかり理解した内容だけを整理していきます。シンプルイングリッシュを心がけ、複雑な構文や表現はできるだけ避けましょう。

 

概念→形式化

具体的にはノートやルーズリーフの左側に日本語訳、右側に英訳を書いて行きましょう。文法がしっかり定着しているのか、パターンプラクティスの要領で知識を定着させていきます。

概念→形式化(場面別)

今度はシチュエーション別に日本語と英語の対照訳を作っていきます。文法別に整理した内容を活用することで、より文法の知識が深い知識に転換されていきます。まずは、自己紹介、家族、趣味など身の回りのことを表現する事をおすすめします。

概念→形式化(場面別)

慣れてきたら、大きな概念である「自己紹介」・「家族」・「趣味」を頭に思い浮かべて、スモールトークの練習もしてみましょう。うる覚えの表現が出てきたらもう一度覚え直しましょう。「こんな事も伝えたい」とか気づきが生まれたら、どんどん表現を追加していきましょう。

算出トレーニン

15/45 exersise

特定のトピックの内容を15秒で考えて45秒で話す15/45トレーニングです。学習者は十分なプランニングができない状態で、アウトプットすることが求められます。このような練習を繰り返せば、既述した「概念化」(言いたいことのコンセプト・概念を生成する)から「形式化」(生成したコンセプト・概念を言語化する)のプロセスが強化されると言われています。IELTSやTOEFLのスピーキングテストを練習しても同様の効果が得られます。

15/45 exercise

 

注意すべきポイントは15秒の時間を日本語英語の英作文の時間に費やさないように、しっかり概念化の時間にあてることです。大切なのはアイデアの構築と発話の流れをセットで実行することなので、45秒という時間が短すぎると感じれば90→60→45秒と段階的に短くしても大丈夫です。

4/3/2 トレーニン

「4/3/2」トレーニングとは4分、3分、2分と、英語で話す時間を短くしながら、同じテーマのスピーチを3回繰り返すトレーニングです。第二言語習得の専門家であるポール・ネーション氏が考案しました。少しずつ時間を減らしていくことで、不必要な説明が省かれていきます。

 

「4/3/2」トレーニングの手順

  1. テーマについて考え、適宜単語をメモして話す準備をする
  2. 4分間話し続ける
  3. 4分間で話した内容を、今度は3分で話し終える
  4. 最後に2分で同じ話をする。

 

タスク・リピティション(task repetition)は、知識の統合化を促す有効な手段だと認められており、特に同じ種類のタスクで中身(情報)を変える方法(procerural repetion)は会話の正確さの程度や言語形式への注意が高まることが過去の研究で明らかになっています。下記の調査では第二外国語学習者の流暢さ(1秒ごとの音節の数)が向上する成果が出ています。

 

タスク・リピティション

引用:TASK REPETITION AND SECOND LANGUAGE SPEECH PROCESSING

 

また、別の研究ではタスク・リピティションをすると、言語形式に意識を向ける余裕が生まれるという報告も出ています。

 

言語の形式引用:Two Cases from an English for Business Purposes Program

英語学習ロードマップ

英語学習ロードマップ

Phase1 学習方略に基づく学習計画

学習方略

最初のフェーズでは、学習方略に基づく学習計画を立てます。まずは、一日の行動を振り返りすきま学習時間を確保します。「いつ・どこで・何を」をあらかじめ決めて、学習内容を迷わないようにすることが大切です。

 

↓↓ こちらでPhase1について解説しています

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学習方略

 

実際の学習に入る前に自分の認知特性を知るのも有効です。下記のサイトで「本田40式認知特性テスト」を受けることができ、エクセルシートのアンケートに答えると自分認知タイプを診断することができます。

 

6つの認知タイプ

  1. カメラタイプ:写真や絵など二次元で考える
  2. 3Dタイプ:空間や時間軸を使い三次元で考える
  3. ファンタジータイプ:文字や文章を映像化して考える
  4. 辞書タイプ:文字や文章を図式化して考える
  5. ラジオタイプ:文字や文章を音として情報処理する
  6. サウンドタイプ:音色や音階など音楽的イメージを脳に入力する

 

例えば、診断結果が1 と2の人は英単語学習する際にイラストや絵を書いたり、何かの空間と一緒に暗記するとより効果的です。3の人は英単語のイメージを思い浮かべながら記憶すると忘れにくくなるでしょう。4の人は英単語を自分なりに図式で整理するように、自分なりの英単語辞書を作るのがおすすめです。5と6の人は積極的に音声を通して英単語を覚えることで、自然と英単語が定着していく傾向があります。

 認知特性テスト

引用:本田40式認知特性テスト 診断ツール 診断結果

 

www.micri.jp

 

学習方略はこちらで解説↓↓

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チェックリスト

✔️一日の行動を振り返りすきま時間を確保した。

✔️「いつ・どこで・何を」学習するか決めた。

✔️認知スタイル・学習スタイル診断を受けた。

✔️項目別の学習スケージュールを立てた。

 

Phase2 発音と単語で気づきを促す

発音と気づき

フェーズ2 からいよいよ、本格的な英語を話すための学習が始まります。すぐに英語を話す練習をするのではなく、単語と発音の学習をしっかり確保しましょう。基本単語1,000〜2,000を正しい発音と一緒に、ラベリングするのがポイントです。英単語の覚え方は、遅延効果とテスト効果を上手に活用して、効率よく暗記していきます。

 

↓↓ こちらでPhase2について解説しています

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チェックリスト

✔️英語の発音トレーニングを取り入れた。

✔️英語の音節を意識して発音できた。

✔️発音と一緒に単語を覚えることができた。

✔️遅延効果とテスト効果を活用して、効率よく語彙学習をできた。

 

Phase3 浅い理解を深い理解に転換

浅い理解と深い理解

フェーズ3は文法中心の学習を心がけましょう。文法の基礎項目を語順、動詞中心、イメージスキーマを意識して一気に学習をしましょう。既習した英単語が有機的につながるようになると、相乗効果が期待できます。最後の仕上げとしては、パターンプラクティスで文法の知識を定着化させていきます。

 

深い理解

 

↓↓ こちらでPhase3について解説しています

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チェックリスト

✔️語順や動詞を意識して英文法を学習できた。

✔️イメージスキーマを活用することができた。

✔️英単語の使われ方を意識して、英文法に取り入れることができた。

✔️パターンプラクティスで文法の知識を定着化させることができた。

 

Phase4 英語の化石化を防ぐ内在化

内在化

↓↓ こちらでPhase4について解説しています

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ある特定の言語項目や規則が誤って習得され、その誤用がそのまま定着してしまうと化石化(fossilization)が起こってしまいます。例えば、英語が得意ではない状態で、カタコトの英語を話して相手が理解してしまったら、その表現をずっと使ってしまう恐れがあります。

 

それを防ぐためには、「この表現で合っていたのか?」とか、「この表現で伝わるのか?」と相手にぶつける必要があります。オンライン英会話などで、英語を話す機会があれば積極的に覚えた表現を使ってみましょう。このフェーズでは自主的なインタラクションが内在化を促進させます。

 

もし、英会話をする機会がなくてもディクトグロスというトレーニングを実施することで化石化を防ぐことができます。また、英語のドラマのスクリプトを観察することでも「この表現ってこういう時に使うのか」という、仮説検証を擬似的に体験することもできます。

 

ディクトグロスはこちらで解説↓↓

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チェックリスト

✔️積極的なインタラクションを心がけることができた。

✔️ディクトグロスのトレーニングを取り入れることができた。

✔️英語のドラマや映画などで、仮説検証をすることができた。

 

Phase5 英語の自動化で統合を刺激

統合

↓↓ こちらでPhase5 part1 について解説しています

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↓↓ こちらでPhase5 part2について解説しています

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フェーズ5の段階では、すでに紹介した英語を聞くトレーニングと話すトレーニングを実践していきます。ここで終了ではなく、振り返りや学習計画の見直しが必要になってきます。学習方針の転換や、単語・文法・発音の弱点が見えてくるはずです。フェーズ1からフェーズ5を何度も回すことで、必ず英語は話せるようになります。

 

知識の自動化について解説↓↓

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チェックリスト

✔️英語のリズムと音声変化のルールを学ぶことができた。

✔️6つのステップでシャドーイングを実践することができた。

✔️多読を始めることができた。

✔️楽しく多聴を取り入れることができた。

✔️概念→形式化の練習を文法別にできた。

✔️概念→形式化の練習を場面別にできた。

✔️15/45exerciseや4/3/2トレーニングができた。

 

第二言語習得研究と行動科学に基づく英語学習ロードマップは独学でも十分実行可能で、ブログの内容を実践すれば必ず成果が出てきます。但し、自分の学習成果をモニターしてくれたり、フィードバックしてくれる方がいるとより成果が高まるのも事実です。独学では慣れないうちはモチベーションの維持が難しいかもしれません。そこで外部サービスを活用するのも1つの手です。

 

第二言語習得論の第一人者、ケース・ウェスタン・リザーブ大学認知科学科教授の白井氏が社外取締役就任されているスパトレでは第二言語習得論・認知心理学脳科学の研究結果を活用し、確実に英語力を身に付けることを目的とした英語トレーニングサービスを提供しています。

 

スパトレ|第二言語習得論に基づく英語トレーニング

 

スパトレの特徴

  • 実力に合わせた最適な学習方法を提案
  • 第二言語習得論に基づく学習体系
  • プロのトレーナーがあなたを最大限サポート
  • 成果を最短で得るための徹底した予習・復習

 

スパトレでは、大量のインプットと少量のアウトプットを学習の基本とし、英会話レッスンではなく、徹底した自習を重視。また、日本人サポートや外国人トレーナーによる継続的なサポートにより、成果にこだわる英語トレーニングを提供しています。第二言語習得理論をバックに急成長したい場合は上記のようなサービスも活用すると良いでしょう。

 

参考

廣森友人(2015),「英語学習のメカニズム―第二言語習得研究にもとづく効果的な勉強法」, 大修館書店

StudyHacker ENGLISH COMPANY(2021),「マンガでわかる 最速最短! 英語学習マップ 新装増補版」, ベネッセコーポレーション

新多了(2019), 「英語の学び方入門」,  研究社

馬場今日子・新多了(2016), 「はじめての 第二言語習得論講義-英語学習への複眼的アプローチ」, 大修館書店

岡田 祥吾(2019), 「英語学習2.0」, KADOKAWA

門田修平(2018), 「外国語を話せるようになるしくみ シャドーイングが言語習得を促進するメカニズム」, サイエンス・アイ書店

田浦秀幸(2016), 「科学的トレーニングで英語力は伸ばせる」, マイナビ新書

今井むつみ(2020), 「英語独習法」, 岩波新書

鈴木孝明・白畑知彦(2012), 「ことばの習得 母語獲得と第二言語習得」, くろしお出版

白井恭弘(2008), 「外国語学習の科学 第二言語習得論とは何か」, 岩波新書

卯城祐司(2009), 「英語リーディングの科学 読めたつもりの謎を解く」, 研究社

中田達也(2019), 「英単語学習の科学」, 研究社

Patsy M. Lightbown・Nina Spada (2013), 「How Languages Are Learned」, Oxford Handbooks for Language Teachers

CulturecogImage Schemas: The Physics of Cultural Knowledge?

Cambridge University Press | TASK REPETITION AND SECOND LANGUAGE SPEECH PROCESSING

Journal of Inclusive Education |  英語学習に特異的な困難を示す生徒に対する 英語指導法の検討

みくりキッズくりにっく|本田40式認知特性テスト 診断ツール

学習方略とは? 効率的な英語学習に必要なメタ認知・自律学習とは?

はじめに

今回は学習方略について考えていきます。学習方略とはその名の通り、学習効果を高める活動を指しますが、果たしたどのような方略、あるいは効果があるのでしょうか。英語学習の成功には学習方略を効果的に活用する必要があります。その鍵を握っているのが、メタ認知と自律学習です。そのほかにもやる気の正体や動機づけについても考え、最後に学習方略に基づく英語学習方法にも考えていきます。

 

 

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主な参考文献

 

「英語学習のメカニズム」

 

「英語の学び方入門」

 

 

「英単語学習の科学」

 

「英語教師のための学習ストラテジーハンドブック」

 

「やさしい発達と学習」

 

「勉強法の科学」

 

 

学習方略とは

学習方略とは

学習方略の定義

「学習方略」とは、「学習の効果を高めることをめざして意図的に行う心的操作あるいは活動」(辰野 1997)であり、学習活動を効果的かつ効率的に行うために学習者がとるさまざまな方法だと定義されています。学習方略とは教育学や心理学の分野でも使用されており、そこでは「学習効果を高めるための意識的な工夫」と定義されています。

 

認知心理学という学問が1950年代半ばから1960年代にかけて急速に発達してきました。そこでは、人間の認知過程はコンピューターに例えられ、学習も「新しい知識の小獲得、あるいはそれに伴う知識構造の構築」として考えるられるようになりました。学習者に対する見方も変化し、単に知識を享受するものという受動的な学習者像から能動的な学習者へと変容していきます。そこで注目されるようになった概念が学習ストラテジーです。

学習方略の必要性

私たちは無意識に身につけた学習方法には注意を払わない傾向があり、がむしゃらで非効率な学習をしている可能性があります。学習方略を上手に活用することで、学習をより効率化させることができます。

 

学習法略の必要性

引用:ベネッセ・木村治生さん「学習時間より『学習方略』が成績に影響する」

 

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が全国の小学1年生から高校3年生までとその保護者の約2万組を対象にした調査(2018年)によると、学校の成績は総学習時間ではなく、学習方略と強い相関関係があるという結果がでました。大切なのは学習の「量」ではなく「質」に注目すべきということが示されました。

 

www.asahi.com

 

また、子供の頃に一度計画を立てたり場所を選ぶといった方略をとっていた人は大人になっても活用する傾向があり、学習に良い影響を与えるという調査結果もあるようです。

学習方略の種類(一覧)

学習方略の説明に入る前に、学習モデルとして有名な学習ピラミッドを見ていきましょう。この学習ピラミッドは1954年に出版された「Audio-Visual Methods in Teaching(視聴覚法の教授法)」から使われ始めた理論です。理論の内容は学習内容を練習したり、他者に教えた方が学習定着率が高まるという図です。実はこの理論のパーセンテージには根拠がないにも関わらず引用され続けているのが問題だとも指摘されています。学習モデルは、単一的ではなく心理学や教育学と総合的に考えられるべきだという主張も数多くあります。

 

学習ピラミッド

引用:wikipedia, Learning Pyramid

 

1980年代に入り、学習は心理学の分野と合流して、いかに学習を進めていくべきかという議論が交わされていきます。ワインスタインとメイヤー(Weinstein &Mayer, 1986)は,学習方略に含まれる具体的方法を大きく 5 つのカテゴリーに分類しました。

 

学習方略の5つのカテゴリー

  1. リハーサル:繰り返し練習すること、反復学習
  2. 精緻化:イメージ化したり、関連付けること
  3. 体制化:学習範囲を関連づける、整理すること
  4. 理解監視:目標を立てたり、モニタリングすること
  5. 情緒的・動機づけ:モチベーションのに関する方略

 

Learning strategies are the behaviors and thoughts that a learner engages in during learning that are intended to influence the learner’s encoding process.

引用:Weinstein &Mayer, 1986

 

近年の最も有名な、学習方略の第一人者であるオックスフォードは学習方略を以下のように分類しています。学習方略には、直接方略と間接方略があります。学習者はこれらの方略を組み合わせて、より学習を効率的に進めることができます。残念ながら、誰にもで最適・最高の学習方略は存在しませんが、自分の学習方略を知り、それを改善していくことはできます。

 

Language learning strategies are behaviors or actions which learners use to make language learning more successful, self-directed and enjoyable.

引用:oxford, 1990

 

直接方略

  • 記憶法略(memory strategy):語呂合わせ、語源で覚えるなど
  • 認知方略(cognitive strategy):類推など
  • 補償方略(compensation strategy):母語使用、ジェスチャー

 

例えば、記憶法略において、既存知識の活性化と呼ばれる方法を使えば、新たに入ってくる情報をより効率的に処理することができます。後述する、学習スタイルと組み合わせて、自分にあった最適な学習方略を模索することが大切です。

 

間接方略

  • メタ認知方略(metacognitive strategy):学習計画・目標
  • 情意方略(affective strategy):セルフコーチング、音楽の活用
  • 社会方略(social strategy):グループで学習など

 

学習方略の心理学

心理学の学習モデルとして代表的なのが、スキナーが考案したプログラム学習です。スキナーは自分の小学生の授業参観にしたことで一斉授業の問題点に気づいたと言われています。プログラム学習の原理は以下の5つで現在も学習指導法に活かされています。

 

プログラム学習の5つの原理

  1. スモールステップの原理
  2. 積極的反応の原理
  3. 即時フィードバックの原理
  4. 学習者スペースの原理
  5. 学習者検証の原理

 

特に、インプット→アウトプット→即時フィードバック(正誤の判定など)は英語学習にも大いに活かせる原理で、この一連の流れを繰り返すことが大切だと言えます。教育心理学の分野ではメタ認知も子供が学習をする上で大切な要素となっています。

 

メタ認知とは

メタ認知とは

メタ認知の定義

オックスフォードの間接戦略の一つにメタ認知戦略がありましたが、ここで改めてメタ認知の言葉の定義について解説します。認知心理学などの研究分野では、メタ認知とは「通常の認知の上に、もう一段階上の認知がある」という想定から生まれたものです。英語学習をしている自分を上から観察できていれば、とりあえずメタ認知が出来ている状態です。また、メタ認知という概念は「自分の認知や認知プロセスについての知識的側面」と「認知をコントロールする活動的側面」の2つに分けられます。

 

ただし、どの程度英語学習をしている自分を上から観察できていれば良いのか?自分は果たしてメタ認知ができているのか疑問に思います。そんな時は次に紹介するメタ認知を測るテストが役にたちます。

 

メタ認知を測るテスト

メタ認知を測るテストとして最も有名なのがSam Cartwright-Hatton and Adrian Wells(1997)によって開発されたMCQ(Metacognition Questionnaire)です。その名の通りメタ認知力のアンケートで65の質問から構成され、下記の5つの要素を測るテストとなっています。現在主流になっているのは30の質問から構成されるMCQ-30(WellsCartwright-Hatton,2004)というもので、形式は基本的に同じです。

 

メタ認知質問紙法 MCQ-30 5つの要素

  1. 認知的自信の欠如(lack of cognitive confidence)
  2. 心配事への積極的信念(positive beliefs about worry)
  3. 認知的自己意識(cognitive self-consciousness: metacognitive processes)
  4. 思考制御不能と危険への消極的信念(negative beliefs about the controllability of thoughts and corresponding danger)
  5. 迷信・罰・責任など思考一般への制御欲求の消極的信念(negative beliefs about thoughts in general, including themes of superstition, punishment and responsibility / SPR)

引用:メタ認知質問紙法短縮版MCQ-30(Wells & Cartwright-Hatton, 2004)の手引

 

熊本県立大学の田﨑氏が日本語訳版の手引を公開しているので、下記の質問表を使ってセルフチェックすることができます。スコアが高いほど、それぞれの項目の傾向が強いことを示しています。

 

選択肢と値

  • 1:当てはまらない
  • 2:少しだけ当てはまる
  • 3:やや当てはまる
  • 4:非常に当てはまる

 

MCQ-30

引用:メタ認知質問紙法短縮版MCQ-30(Wells & Cartwright-Hatton, 2004)の手引

 

↓↓仕事の業務における簡易的なメタ認知テストはこちら

motifyhr.jp

 

メタ認知レーニン

メタ認知は日常の行動をモニタリングすることや、瞑想をすることで高められると言われています。その中でもドイツのハンブルク大学のMoritz氏らによって考案されたMetacognitive Training: MCT(メタ認知レーニング)が有名で、統合失調症の患者に対して妄想や過度な思い込みを和らげる効果もあります。

 

MCTの流れ

参考:メタ認知レーニング(MCT)の理論と実践

 

MCTはセッション中に考え方のクセをクイズやグループディスカッションを通じてほぐした後で、メタ認知的活度で自分の認知バイアスを修正したりコントロールすることを目指します。本格的なメタ認知レーニング(MCT)を実践しなくても、実はセルフ・モニタリングをすることでメタ認知力を高められます。

 

セルフモニタリングシート

  1. 状況:ストレスフルな客観的事実を書く
  2. 気分:↑その際の気分と程度を0~100%で示す
  3. 自動思考:↑その際に湧き起こった自動思考と確信の程度を0~100%で示す
  4. 根拠:自動思考の根拠として客観的事実を書く
  5. 反証:湧き起こった自動思考が妥当ではないという視点で反証する
  6. 適応的思考:根拠と反証をふまえ新たに考え直し、確信の程度を0~100%で示す
  7. 気分の変化:気分がどう変化したか記入し、程度0100%で示す

参考:人間関係でモヤモヤするなら「セルフ・モニタリング」を。認知の歪みを修正でき、気分がふわりと楽になる

 

studyhacker.net

 

やる気の正体

やる気の正体

自己効力

人間のやる気とは一見して、何かを達成したいという意思的なものに思えます。しかし、心理学の分野では人のものの考え方(認知スタイル)が実際に頑張るかどうかを決定しているのだという主張が数多くあります。バンデュラ(Bandura,1997)は自己効力(≒実際に行動に移せるか・可能という期待)と結果期待(≒随伴性の認知で、ある行動をとれば結果が得られるという期待)のパターンの行動と感情への効果を下記の表のようにまとめました。

 

自己効力

自己効力に対しては、自分が実行できるタスクや量を適切に考えることが必要です。例えば、文法学習も疎かなのにリーディングの問題を解くのはタスクオーバーです。あるいは、平日は毎日残業があるのに必ず平日は8時間勉強するというのは、量的に不可能な数字です。結果期待に対しては、例えば小さな成功体験を積み重ねる工夫があると良いでしょう。スモールステップで達成感を得られる仕組みを作れば、英語学習という行動を続けることができます

原因の考え方

入学試験に落ちたり、英語の検定試験に合格できなかったりすると自分の努力が足りなかったのか、あるいは自分の能力が低かったのか原因を考えます。原因を考えること自体は良いことですが、何に帰属するのかが大切です。

 

例えば、ワイナー(Weiner,1979)は、帰属要因の分類を三次元にまとめています。失敗の原因を能力に帰属させるのはもっとものように思えますが、自分で統制することができません。安定的かつ自分でコントロールできるのは、ふだんの努力に他なりません。学習を習慣付けるようなコツコツした努力がそれにあたります。

 

 

安定的(統制可)

変動的(統制可) 安定的(統制不可) 変動的(統制不可)
内的

ふだんの努力

一時的な努力

能力 気分
外的

教師の偏見

他者の日常的

ではない援助

課題の困難さ

 

自律学習

自律学習

自律学習とは

メタ認知を持った学習者=自律した学習者であり、自律学習(autonomous learning)の重要性は高まっています。自律した学習者になるためには、自力で効果的な学習方法を模索しながら、自らの学習に積極的に関与する必要があります。それを支えるのがメタ認知となります。

 

学習者の自律の研究をしているP.Benson(2001)の研究で、自律学習者とは「自分の学習をコントロールできる学習者であり、学習管理、認知プロセス、学習内容という3つのレベルにおいて自分の学習をコントロールできる学習者」であると説いています。また、Self-direct Language Learningの研究をしているHolec(1981)によると、自律した学習者とは「自分にどのような学習が必要であるかを見極め、学習のゴールを決め、その学習に必要な教材を選択し、自分の不得意な分部分を認識し、適切な学習のペースをや時間配分を決め、学習をモニターしたり、学習を評価したりすることができる学習者」でもあると言っています。

 

自律学習を促す5つのステップ

  1. 目標を設定する(setting goals)
  2. 学習内容を決定する(determining learning content)
  3. 学習の方法を選択する(choosing methods of learing)
  4. 学習の進捗状況を確認する(monitoring learning progress)
  5. 学んだことを振り返る(reflecing on what has been learned)

引用:英語学習のメカニズム, p129

 

学習者自身が目標設定のプロセスに参画し、それに基づいた学習内容を学ぶことで、「到達すべき目標(ゴール)」、「目指すべき学習者像」を具体的にイメージすることができるようになります。

 

自己調整

何かの課題を解決するために、自分の思考、感情、行動をコントロールすることを自己調整(self-regulation)と呼びます。下記のような自己調整サイクルと回すと良いと言われています。

 

英語の学び方入門

引用:英語の学び方入門 p41

 

課題を終えた後に、振り返りを実行することで次の計画い活かされます。自己調整サイクルを何度も回すことが目標達成の近道になります。

 

自分だけのプリンシプル

自律学習を実現するために、新多氏は著書で英語学習者向けに6つの原則を紹介しています。プリンシプルとは元々「何か行動を起こすための原則・指針」を指す言葉です。ルールと違うのは、プリンシプルはフレキシブルで指針に従っていれば、実際の行動で様々でもかまいません。

 

  • プリンシプル1  英語を使っている自分の姿を思い描く
  • プリンシプル2 ロードマップをつくり、たえず更新する
  • プリンシプル3 習慣的に英語を学ぶシステムをつくる
  • プリンシプル4 「知識」と「スキル」のバランスをとる
  • プリンシプル5 「インプット」と「アウトプット」のバランスをとる
  • プリンシプル6 「個人」と「協働」のバランスをとる

引用:英語の学び方入門, P54

 

記憶方略

記憶方略

語彙学習戦略

英語学習に最も直結するのが記憶方略で、例えば英単語を語呂合わせで覚えるのはそれにあたります。特に語彙学習における戦略は語彙学習戦略(vocabulary learning strategy)と呼ばれています。代表的な戦略はグループ化戦略です。

 

グループ化戦略の種類

  • 意味:シチュエーションごとに覚える、特定の分野ごとにまとめる
  • 形:接頭辞、接尾辞を使って覚える
  • コロケーション:よく使われるフレーズや熟語で覚える

 

カナダの教育センターが実施した外国語学習者の語彙学習戦略の研究によると、テキストの文脈から語彙を推測する学習戦略が最も高いという結果になりました。語彙学習戦略の研究は世界中で盛んに実施されているようです。

 

語彙学習戦略

引用:A Meta-Analysis of Vocabulary Learning Strategies of EFL Learners,2017

 

語源学習

語源学習とは英単語を覚える際に英単語の語源を意識することです。清水氏によれば、語源学習のメリットは英単語そのものを覚えるのを助けるだけではなく、新しい英単語の意味を推測させると解説しています。

 

語源学習のメリット

  • 単語の長期的な保持が可能になる
  • 未知語の意味推測が可能になる
  • 単語の体系的・効率的な学習が可能になる

引用:清水健二『連想式にみるみる身につく語源で英単語』

 

日本人であれば、知らない漢字を見つけても部首を頼りにおよその意味を推測することができます。英単語の中にも意味を類推するための語源があります。語源は接頭辞(prefix)、接尾辞(suffix)、語根(root)の3つに分けることができます。接頭語は単語の先頭に、接尾辞は単語の最後に、語根は語中の中にあります。例えば、「dependent」という英単語であれば、「de-」 が「下へ」を意味する接頭辞、「pend」が「ぶら下げる」を意味する語根、ent が名詞化する接尾辞となります。

 

動機付け

動機付け

動機の種類

学習法略の研究においては残念ながら全ての学習者にあてはまる動機付けの方略は存在しないようです。なぜなら学習者一人一人によって最適な学習方法も異なり、一人一人のモチベーションによっても変わってくるからです。動機はとても不安定なものなので、一つよりも複数あった方が良いようです。一つの動機が達成してしまったら急にやる気が下がる可能性もあります。持続的な学習をするためには、複数の動機を持つほうが良さそうです。

 

まずは、動機の性質によって2つに分かれます。統合的動機は、第二言語社会やその文化に同化・統合しようとする動きです。一方で、道具的動機は就職や経済的成功など、何らかの実利目的を達成しようとする態度です。どちらが優れている動機ということではなく、大切なのはバランスです。学習が長くなるほどモチベーションは下がりやすいので、達成感を保てる工夫をすることが大切です。

 

2種類の動機

  • 統合的動機
  • 道具的動機

 

もう一つの分類方法は、内・外からの欲求で分類します。内発的動機は、第二言語を学ぶこと自体が目的となる動機。外発的動機は、報酬などの外からの影響などによる動機となります。こられも併用することで持続的な動機付けを支えていきます。

 

2種類の動機(内と外)

  • 内発的動機
  • 外発的動機

 

学習スタイル・認知に合った方略

学習スタイル・認知スタイルに合った戦略

学習スタイルとは

学習スタイルとは、私たちの認知の違いや性格に起因するものです。私達は同じものを見ても、違った認識や解釈をすることがあります。そのような多様な学習スタイルをまとめたのが「学習スタイルのオニオン・モデル」です。

 

オニオンモデル

引用:Semanticscholar(参考URLより)

 

学習スタイルのオニオン・モデル

  • 性格・認知スタイルの違い(玉ねぎの中心)
  • 情報処理に関わるスタイルの違い(玉ねぎの中間)
  • 学習環境・学習活動に対する好み(玉ねぎの外側)

 

中心に行くほど、外からの影響を受けいくいと考えます。自分の性格や認知スタイルを把握して、最適な学習環境と学習活動を選択することを推奨しています。それを具体的に支援してくれるのが次に紹介するPLSPQです。

 

学習スタイルの診断

PLSPQ(perceptual learning style preference questionnaire)は、私たちの認知スタイルの好みなどを6つのタイプに分類・測定してくれるアンケートです。神田外国語大学が提供するオンライン版「学習スタイル診断」では、1~16の質問に答えるだけで学習スタイルを診断してくれます。例えば、「自分は耳から情報を入れるのが得意で、個人学習を好む」など自身の学習の傾向を提示してくれます。さらに、解説を読めば自分のスタイルに合った最適な学習方法を深く知ることができます。

 

www.kandagaigo.com

 

英語版であれば下記の「educationplanner」がおすすめです。20の質問に答えるだけで、学習スタイルを診断してくれます。自分の学習のスタイルが「Auditory」(聴覚)、「Visutal」(視覚)、「Tactile」(触知)型なのか診断してくれます。こちらも無料で実施することができます。

 

www.educationplanner.org

 

PDCAと学習方略に基づく英語学習方法

PDCA

プラン(認知スタイルに基づく学習プラン)

英語学習の目標を設定したら、具体的な学習プランを立てる必要があります。闇雲に学習を続けても振り返りもできません。できれば一日の学習計画(一日単位と週のスケジュール)があると良いでしょう。エクセルシートなどで記入すると管理しやすく、可視化することでモチベーションも維持することができます。

 

学習方略

 

仕事で忙しい人は、一日の行動を改めて振り返ることで多くの隙間時間が見つかることが多いです。まとめて1時間の学習時間の確保が難しい場合は15分単位でも良いでしょう。例えば学習スタイル診断で耳から情報を入れるのが得意と判明していれば、ポッドキャストがおすすめで、より習慣化しやすくなります。

実行(記憶方略を活かした学習)

英語学習を実行する際のポイントは、どれぐらいの間隔をおいて復習するかが鍵になります。英語学習を習慣化するためには毎日の学習が大切ですが、同じ項目や内容を毎日学習しても効果がありません。学習には集中学習と分散学習に区別されます。実は集中学習は短期の記憶には好ましいですが、長期記憶をめざす場合は分散学習が優れいてるという研究結果があります。

 

学習スケジュールの分類

  • 集中学習:学習も項目を間隔を置かずに複数回繰り返す
  • 分散学習:学習も項目を間隔を置いて複数回繰り返す

 

どれぐらい学習間隔を置けば良いのかについは、学習者がどれぐらい覚えたいかによると言われています。つまり、長期化覚えていたいのであれば長い間隔で学習するのが好ましいということです。

 

学習のスケジュール

的確に学習項目の間隔を置くために、学習項目を時間軸で整理することが大切です。上記のように項目ごとに学習を終えたタイミングを記録することで、効果的な分散学習をすることができます。復習の間隔が二週間が良いのか、あるいは三週間が良いのかという期間に関する研究は続いているようですが、ベストな間隔というのはまだ明らかになっていないようです。学習の記録を続ける中で、自分に合った学習間隔を見つけるのが大切でしょう。

 

評価(メタ認知方略を活かした評価)

メタ認知を活かした評価(モニタリング)とは、インプット・アウトプットの際に何を覚えているのか・話しているのかを観察する力だとも言えます。PDCAではなく、OODAが大切だとも言われているぐらい、観察という行為は英語学習にとってすごく大切です。

 

※2つの言葉の説明

PDCAPlan(計画),Do(実行),Check(評価),Action(改善)の略語

OODA:Observe(観察),Orient(方針決定)Decide(意思決定),Act(行動)の略語

 

メタ認知方略

引用:英語学習のメカニズム、p126

 

例えば、スピーキングで独り言やスピーチのトレーニングをする際は、自分が話した内容、文法、語彙を観察する必要があります。ここでは自分の話した内容を録音したり、言えなかった表現をメモすることが大切です。自らの話した内容を振り返ることで、英語の穴に注意が向けられ、新たなインプットに対する「気づき」が生まれます。

 

改善(調整から自律)

この段階では自分の学習に責任をもって、自分の学習は自分で管理するという強い気持ちが必要です。自分の学習を管理できるのは他ではなく自分だけという気持ちが、自律学習に繋がっていきます。自分の学習内容を振り返り、やる気が低下している教材などがあったら、レベルが適切なのか?退屈な内容ではないか?と振り返ることが大切です。前者であれば、自分のレベルにあった教材を選びます。後者は難しいのですが、より自分の興味・関心に合ったジャンルや素材を選定し直すこが求められます。

 

調整のポイント

  • 困難さによるやる気低下
  • 退屈/面白くなさによるやる気低下

引用:学習へのやる気低下の理由と 動機づけ調整方略の関連

 

調整の最大のポイントは先ほどのプリンシプルの3でも紹介しましたが、果たして習慣的に英語を学ぶシステムを作れているか、継続できているかということです。大切なのは習慣化する兆しを見逃さないことです。

 

習慣化の兆し

  • 抵抗がなくなる。しないよりもするほうが簡単だと感じる
  • 行動が自分の一部になり、一体感を感じる
  • 意識して決断しなくても、その行動を始めている
  • 続けられないかもしれないという不安がなくなる
  • 習慣が感情に左右されなくなる

引用:英語の学び方入門 p63(「小さな習慣」からの引用)

 

習慣化を積み上げていことで自分に自信が付いてきます。これまでの研究によると習慣化までにかかる日数は平均で66日ですが、個人差も相当あるようです。最初に1〜2ヶ月は苦しいかもしれませんが、習慣化できれば自律学習への道が開けてきます。

 

参考

Japan Science and Technology Agency| 大学生の学習方略と論述課題との関連について

ベネッセ教育総合研究所 小中学生の学びに関する調査報告書(2015| 「学習方略」の獲得は社会階層の壁を 越えられるのか

千葉大学教育学部研究紀要 | 学習方略に関する研究についての近年の動向

Wikipedia | Learning Pyramid

朝日新聞EduA | ベネッセ・木村治生さん「学習時間より『学習方略』が成績に影響する」

熊本県立大学学術リポジトリ| メタ認知質問紙法短縮版MCQ-30(Wells & Cartwright-Hatton, 2004)の手引

市民後見センターさいたま | メタ認知トレーニング(MCT)の理論と実践

Study Hacker | 人間関係でモヤモヤするなら「セルフ・モニタリング」を。認知の歪みを修正でき、気分がふわりと楽になる

Researchgate | A Meta-Analysis of Vocabulary Learning Strategies of EFL Learners

英語学習手帳2015 | 学習スタイルの診断

Semanticscholar | The influence of Confucian philosophy on adults' preference for learning: a comparison of Confucian adult learners and non-Confucian adult learners

EducationPlanner | What's Your Learning Style? 20 Questions

教育心理学フォーラム・レポート | 学習へのやる気低下の理由と 動機づけ調整方略の関連

常葉短大紀要44 | 英語授業で動機づけと自律を促す意義とその可能性

ディクトグロスとは?  おすすめの教材やアプリ・やり方も丁寧に解説 英語学習の効果とは?

はじめに

今回はディクトグロスについて考えていきます。まずはディクトグロスの言葉の定義やディクテーションとの違いを確認し、実践方法を丁寧に解説していきます。実はディクトグロスを実践することでバランスの取れたリスニングをすることができるようになり、知識を浅い理解から深い理解に転換させてくれます。英語学習への高い効果が期待できるので、ぜひディクトグロスに挑戦してみてください。

 

 

主な参考文献

 

「英語学習のメカニズム」

 

「科学的トレーニングで英語力は伸ばせる」

 

シャドーイングについて詳しく解説しています↓↓

www.sunafuki.com

 

パターンプラクティスについて詳しく解説しています↓↓

www.sunafuki.com

 

ディクトグロスとは?

ディクトグロスとは

言葉の定義・意味

ディクトグロス(Dictogloss)とはWajnryb (1990)が考案した英語学習のメソッドで、リスニングを頼りに英文を復元させるトレーニングです。クラスルームディクテーションと定義されているように、複数の学習者が協力してトレーニングするのも特徴です。

 

Dictogloss is a classroom dictation activity where learners are required to reconstruct a short text by listening and noting down key words, which are then used as a base for reconstruction.

引用:British councilDictogloss

 

後ほど詳しい実践方法を解説しますが、ポイントは英文の知識と聞こえた音声を総動員して英文を復元させていくことです。個人でも実践できますが、ペアやグループでトレーニングした方が自分では気づかない英語の穴に気づくことができるので、より効果が高まります。

 

  • A short, dense text is read (twice) to the learners at normal speed
  • As it is being read, the learners jot down familiar words and phrases
  • Working in small groups, the learners pool their battered texts and strive to reconstruct a version of the text from their shared resources
  • Each group of students produces its own reconstructed version, aiming at grammatical accuracy and textual cohesion but not at replicating the original text
  • The various versions are analyzed and compared and the students refine their own texts in the light of the shared scrutiny and discussion

引用:General procedure of the dictgloss, Wajnryb(1990)

ディクテーションとの違いは?

ディクトグロスとディクテーションの違いは、学習対象者や態度で大きく異なります。ディクテーションは英文の文法やスペルなどの形式に拘りますが、ディクトグロスでは形式な完全復元は求められません。多少形式が変化しても、内容が一致していれば大丈夫です。ディクテーションは個人で実践する活動ですが、ディクトグロスは共同で英文を複製していきます。トレーニングの態度はディクテーションはやや受動的ですが、ディクグロスは主体的に英文を再構築することが求められます。

 

ディクトグロスとディクテーションの違い

  ディクトグロス ディクテーション
注目点 内容 形式
対象 個人orグロープ 個人
態度 主体的 受動的

 

ディクトグロスの英語学習の効果

ディクトグロスの英語学習の効果

リスニング過程モデル

Vandergrift & Gohはリスニングのプロセスを以下のように示しました。英語の音声(speech)が3つの段階を経て処理されるというモデルです。スピーチが受容されると音素談話全体へのボトムアップ処理と、コンテクストや既有の知識(スキーマ)から意味を理解するトップダウン処理が同時に実行されると言われています。

 

スキーマについてはこちらで解説しています↓↓

www.sunafuki.com

 

  1. 知覚処理(perception):音素や連続した音節のまとまりを認識
  2. 構文分析(parsing):メンタルレキシコンにアクセスして意味表象を構築
  3. 活用(utilization):語用論知識やスキーマを活用

 

リスニング過程モデル

引用:リスニング過程モデル(Vandergrift, L. & Goh, C., 2012)

実は、ディクトグロスは上記のボトムアップ処理を強化させることができます。私達はボトムアップ処理に自信がない時は、過度に背景知識を活用してしまう傾向があります。ディクグロスは聞いた音を丁寧に積み重ね・再構築するので、音声を頼りに英語を理解する習慣を身につけることができます。ディクトグロスを繰り返すことで、ボトムアップトップダウンのバランスの取れたリスニングを実行することができます。

 

浅い理解から深い理解へ変換

ディクトグロス実践すると様々な気づきが生まれ、「これはこの使い方で合ってたかな?」というように、英語の意味だけではなく形式にも目が行くようになります。様々な仮説検証や英文の再構成をすることで、浅い理解が深い理解へと転換されます。

 

ディクトグロスの効果

 

2012年にイランの大学でディクトグロスのライティング力向上の効果を検証する研究が実施されました。明示的な学習(伝統的な指導や練習問題を与える学習)をしたグループと、ディクトグロスを実践した生徒を比較したところ、ディクトグロスを実践したグループのほうが、事後テストの点数はほとんど減少しない結果となりました。

 

www.youtube.com

 

ゆかりんカレッジ」のYoutuneチャンネルで、ディクトグロスを勉強法を実践しているのでぜひ参考にしてみてください。ディクトグロスを実践する過程で、様々な気付きや英語の穴を発見していきます。冒頭でディクトグロスの効果も分かりやすく解説しています。

 

ディクトグロスのやり方(4ステップ)

ディクトグロスのやり方

Preparation(準備)

学習者はまず始めにトレーニグの準備として話の主旨や重要な語句について学びます。対象の英文に難しい語句があれば、書き取りの大きな妨げになってしまうのであらかじめ知らせておくことも大切です。Wajnrybが提示したディクトグロスのステップには明記がありませんでしたが、導入としては必要なステップです。

 

導入例

  • ディクトグロスの目的を伝える
  • ディクトグロスの方法を伝える
  • 英文が話されている場面や状況を伝える
  • 難しい語句や固有名詞などを提示

Dictation(書き取り)

学習者は短くまとまりのある内容の英文を2 回聞きます。英文は通常、英語母語話者が読み上げることになっていますが、英語教師やネイティブの音声が収録された音声を聞いてもかまいません。学習者は英文を聞いている間に適宜聞き取った単語や語句をメモしていきます。ポイントはメリハリをもって聞き取れたところや重要だと感じた部分を素早く書き留めることです。もし、全く音声が聞き取れない場合は以下の原因が考えられます。

 

英語が聞き取れない原因

  • 英単語と英文法の知識不足
  • 英語の発音に慣れていない
  • 英語の語順に慣れていない
  • スピードに慣れていない

 

英語が聞き取れない原因はこちらでも解説しています↓↓

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書き取りに挑戦しようとして、難しい場合はより易しい音声を選ぶことをおすすめします。急にネイティブスピードの教材を選ぶと挫折してしまう恐れがあるので、自分のレベルに合った教材を使っていきましょう。おすすめの教材などは最後に紹介します。

Reconstruction(再構築)

学習者は個人もしくは小グループを作りメモした単語や語句を手掛かりに内容を再構築していきます。全く同じ文章にする必要はなく、聞き取れなかった部分はメモや文脈から推測して文章を完成させていきます。

 

ディクトグロス

参考:Gassの第二言語習得の認知プロセスを参考に筆者が作成

 

第二言語習得研究の認知プロセスはこちらでも解説しています↓↓

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ディクトグロスによる英文の再構成は上記の第二言語習得の認知プロセスにおいては、理解を促す活動だとも言われています。例えば、リスニング音声の「weather」、「Tokyo」は単独では情報の意味(浅い理解)ですが、断片的に聞いた音声情報を文に再構成する際には、「何の前置詞を使うんだっけ?」「weatherにはtheを付けると学習したはずだ」などの仮説形成・仮説検証が行われます。ディクトグロスによって、実は浅い理解しかしてなかったという気付きや英語の穴を発見することができます。

Analysis(分析)

学習者はペアもしくは小グループで再構築したものを見比べていきます。リスニングした英文のスクリプト(原文)と自分が書いた文章を比較していきます。意味や文法が合っているかどうか確認し、間違っている場合はその原因を分析していきます。

ディクトグロス 気づき

引用:2018 年度版 |英語学習者の文法理解と協同学習による気づき

 

ディクトグロスの協同学習による気づきの研究をした結果によれば、ペアからも気づきで最も多かったのはスペルミスでした。学習者自信の気付きでは限界があるので、積極的に相手からフィードバックを受けることをおすすめします。

 

ディクトグロスにおすすめの教材やアプリ

ディクトグロスにおすすめの教材やアプリ

News in Levels(初級者向け)

英語学習者向けのニュースサイトで、レベルごと(1〜3)に記事が用意されているのが特徴です。まずはlevel1から進めていくのがおすすめです。慣れてきたらレベルアップしてきましょう。ニュースの分野(歴史や自然)をソートできるので、自分の興味のある分野だけ集中してトレーニングもできます。ディクトグロスの入門としては最適な素材になると思います。

 

www.newsinlevels.com

 

BBC Learning English(中級者向け)

イギリス英語でトレーニングしたい方におすすめです。BBCが提供する英語学習向けのサイトで、ジャンルごとに豊富なコンテンツがそろっています。ニュース、文法、語彙などラインアップが豊富で、初級者から上級者まで楽しめます。個人的におすすめなのが、語彙(Vocabulary)カテゴリにある「English In A Minute」とニュース(News)カテゴリにある「Lingohack」です。初級者の方は子供向けですが「Stories for Children」も良いかもしれません。

 

※「Note: This is not a word-for-word transcript」と記載があるコンテンツは完全に文字起こしされていないので注意してください。

 

www.bbc.co.uk

 

TED Talks(上級者向け)

TEDTechnology Entertainment Design)は、アメリカの非営利団体で定期的に世界的講演会「TED Conference」を開催(主催)しています。「TED Talks」は動画の無料配信プロジェクトで、2006年にスタートし現在では3,000以上の動画が公開されています。年々、英語学習用にバージョンアップしていて、対訳はもちろん多言語へ翻訳されていたり、音声スピードも調整できるようになっています。音声が進むと同時に、対訳のカーソルが移動するので聞き取れなかった箇所をすぐに確認できます。

 

www.ted.com

 

参考

British council|Dictogloss

日本教科教育学会誌|ディクテーションとの比較によるディクトグロスの文法知識の理解と活用の効果についての研究

アカデミック・ジャパニーズ・ジャーナル|中級学習者に対するディクトグロスの実践

日本英語検定協会|ディクトグロスを用いたリスニング能力を伸ばす指導

言語学習と教育言語学:2018 年度版 |英語学習者の文法理解と協同学習による気づき

Semantic ScholarThe Effect of Dictogloss Technique on Learners’ Writing Improvement in Terms of Writing Coherent Texts

JstageThe Potential Advantage of Dictogloss as an Assessment Tool for EFL Learner’s Proficiency

The Japan Foundation | 日本語教育通信 授業のヒント「ディクトグロス」をやってみよう!

ResearchgateAttention Control and The Effects of Online Training in Improving Connected Speech Perception by Learners of English As A Second Language

英文法の勉強法入門 第二言語習得研究を基に英語学習のポイントを丁寧に解説

はじめに

今回は第二言語習得研究を基に基礎から積み上げるための、英文法の勉強法入門を紹介します。まず最初に、英文法学習の適切な時期や目的(精読・アウトプット)について改めて考えていきます。次に英文法の意義を英文法の種類(規範文法・記述文法)やアプローチ(明示的学習・暗示的学習)を手がかりに議論していきます。それらを踏まえ、5つの英文法学習のポイントを解説します。最後におすすめの英文法教材を3つ紹介していきます。

 

 

主な参考文献

 

「英語の学び方入門」

 

「イメージで捉える感覚英文法」

 

「レキシカル・グラマーへの招待」

 

英語が話せるようになるための実践トレーニングはこちら↓↓

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英語リーディングの正しい伸ばし方はこちら↓↓

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スピーキングの対策はこちら↓↓

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英文法の勉強法とは?

英文法の勉強法

英文法の学習時期

ヒッグス氏の研究では、英語を習得するために語彙・文法・発音・流暢さ・社会言語性の5つの要素が必要だと言われています。英語学習の初期段階では語彙が大きな比重を占めますが、レベルが上がるにつれ英文法の比重も高まって行きます。ある程度の語彙力を最初に身につけながら、英文法も並行して学習するとより効果的となります。

英単語の役割

引用:Higgs' Graph of Learner Needs

精読のための英文法?

大学受験などの検定試験突破のために英語学習に励んでいると、ついつい精読(英文読解)のための英文法学習に陥りがちです。精読自体は英語力を上げたり、英文法の穴に気づかせる効果がありますが、多くの人が望むアウトプットのための英文法学習には直接つながりません。英文を構造的に読むだけのために英文法を学習してしまうと、挫折する可能性が高くなります。

 

精読と多読の違い

  分析的な精読 多読
読みの態度 日本語に変換して読む 内容がわかればよい
読み方 返り読みをする 英語の語順のまま読む
理解度 細部まで100%理解して読む 7~9割の理解度で読む
分からない単語 辞書を引く 辞書は引かず類推
読みのリズム 一文一文、止まって読む 一文ごとに止まらず読む

引用: 多聴多読マガジン 多読の基礎知識(古川昭夫氏)

 

もし精読をするならば、多読と組み合わせることで英文法の気付きが促され、英文法の知識が定着されていきます。自分がこれまで学習した文法知識を適用して構造的に読めるテキストを選ぶことが大切で、1+i(自分の能力より少し難しい)程度が理想です。精読をする際に全ての文法項目をテキストに戻って確認するようでは、レベルが合っていない可能性があります。

 

多読についてはこちらで解説しています↓↓

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アウトプットのための英文法?

第二言語習得研究によれば、効果的なインプットは質の高いアウトプットにつながり、アウトプットはこれまで吸収した知識に新たな気づきをもたらすことが報告されています。言語分析力(英文法)は第二言語習得の認知プロセスにおける理解・内在化を刺激すると同時に、スピーチプロダクションモデルの形式化に必要な知識となます。

 

アウトプットのための英文法

 

したがって、英文法を何かしらの手段のために勉強するのではなく、アウトプットのために据えて、一つ一つ基礎から積み上げることが大切です。背伸びをせずに、着々とインプットとアウトプットを繰り返し実行することが英語力向上の早道です。今回は、英文法を使いこなすことではなく、まずは基礎から積み上げるためにはどうすれば良いのかを中心に考えていきます。

 

第二言語習得研究についてはこちらで詳しく解説しています↓↓

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間違いの指摘は効果がある?

英作文の能力を向上させる方法論として、学習者の英文の文法を指摘する指導があります。第二言語習得研究者であるスウェイン氏は間違いの指摘は学習者のアウトプットを促進させると同時に、自分の中間言語に 「穴」 があることに気づかせることができると主張しています。(Swain, 1995, 2000)

 

但し、この間違いの修正は学習者にマイナスの影響を与えるという研究成果もあり、的確に自分のモチベーションを維持できる範囲内で活用したほうが良いという報告もでているようです。

 

英文法を学ぶ意義

英文法を学ぶ意義

明示的学習と暗示的学習

第二言語習得研究では、学習はexplicit learning(明示的学習)と implicit learning(暗示的学習)に分類されます。主に大人の学習者が意識的に学ぶことを明示的学習、言語を実際に使用しながら学ぶことを暗示的学習と呼びます。言語の臨界期仮説の文脈では、小さい頃は第二言語が話されている環境で育つと「暗示的」にその言語の規則を身につけることができますが、ある一定の年齢を越えると、頭で「明示的」に理屈を考えながら第二言語を学ぶ方が効率的だとも言われています。

 

  • explicit learning(明示的学習):言葉のルールを意識的に学ぶこと
  • implicit learning(暗示的学習):言葉を実際に使いながら学ぶこと

 

言語学者のスティーブン・クラッシェン氏が提唱したモニター仮説では、意図的な文法学習(明示的学習)で得られた知識は「モニター」か「エディター」という2つの機能しかないと言われています。

 

モニター仮説

 

モニター仮説では、意図的に「学習」した知識によるモニターは話す、書くといった最終的なアウトプットの直前で機能、最初の「何を話すか・書くか」といったことが決まるタイミングでは、「習得」された知識だけが機能しています。ティーブン・クラッシェン氏は意図的に「学習」した知識は発話内容を直前で正確なものにするという限定的な役割しか持ってないと主張しています。

 

明示的学習効果

引用:A model-based approach to second-language learning of grammatical constructions

 

近年では、暗示的学習と明示的学習の効果を調査する研究が行われています。ピッツバーグ大学の学生を対象にして、文法学習における暗示的学習と明示的学習の効果を調査する研究が実施されました。low-contrastタスク(難しい問題)の場合には、明示的学習者の方がスコアが高くなっています。つまり、難しいタスクを与えられたときは、明示的学習の効果が高いという結果がでました(2021,Frishkoff Gwenら4人)

 

規範文法と記述文法

私達が一般的に学校で学習するのは「規範文法」(prescriptive grammar)です。このように英語を使いなさいというルール(規範)を学習していきます。一方で、実際に使用されている文法は「記述文法」(descriptive)と呼ばれています。実際に使われている言葉を記述し、その背後にあるルールを解明する立場をとっています。

 

  記述文法 規範文法
 方向  実際の言語の使用状況を捉えるアプローチを採用 言語はこれまで規定された規範に基づくアプローチ
原則 言語の使用実態は言語の使用者によって異なる 既存の文法は言語使用の正誤によって形成されている
立場 言語のルールは言語使用者の毎日の言語によって決まる 標準的で特定の文法が存在するという立場

参考:Difference Between Descriptive and Prescriptive Grammarの表を翻訳

 

規範文法は固定的でマルバツが判定しやすいのが特徴です。記述文法は常に変化するため、両者にギャップが生まれてきます。規範文法は理論で、記述文法は技術・実践的とも言われています。まずは規範文法を学んで英文法のルールを知り、その上で記述文法を実践の中で身につけていくことがおすすめです。

距離としての文法

実は英文法がなくても限られた状況の場合は英単語をだけを並べても会話をすることができます。言い換えれば、相手に気をつかなわい場合は簡易的な表現でコミュニケーションができてしまいます。私達は距離としての文法(grammar as distance)を相手との距離に合わせて調整しています。

 

心理的な距離が近い場合

  • A:You want this?(「クッキーを見せながら」これ欲しい?)
  • B:Yeah.(うん)

 

心理的な距離が遠い場合

  • A:Would you like to have some cookies?
  • B:Oh, it is very kind of you. Could I have some ?

引用:英語の学び方入門 p100

 

オンライン英会話などで相手に甘えて簡易的な表現ばかり使ってしまうと、フォーマルな場所で誤解を与えたり、的確に自分の思いを伝えることができなくなってしまいます。相手と円滑にコミュニケーションを取る場合は、相手の距離に合わせて文法を調整する必要があります。

英文法学習のポイント

英文法学習のポイント

中間言語を意識する

第二言語習得研究が進められていくうちに、学習者の犯す誤りは必ずしも母語の影響だけでは説明できないことが判明していきました。例えば、動詞の過去形には「ed」をつけるのは日本語に同様のルールがないから間違えてしまうと考えていましたが、実は英語と言語間の距離が近い人も、同じ過ちを犯していることが明らかになっています。

中間言語

中間言語という概念はラリー・セリンカーによって1972年に提唱され、人間の頭の中には潜在的な言語体系があり、第二言語学習者が目標言語を習得していくプロセス、その言語体系を参照しつつ、独自の言語体系を構築すると主張しました。また、学習者の習得レベルが上がるにつれ中間言語は変化します。学習者がネイティブに近いレベルになると中間言語は消滅するようです。

 

規範文法をただ眺めるだけではなく、独自の言語体系である中間言語を創り上げるために英文法を基礎から積み上げることが大切になります。

文法形態素の習得順序

中間言語の分析から判明したことは学習者の言語の誤りはある程度の一貫性が存在しているということです。母語が異なっていても、似たようなプロセスを経て第二言語を習得しようしているのではないかという仮説です。

 

Lightbown(2000)は、これまでの第二言語習得研究の成果を踏まえ、私達の文法習得にある一定のルールが存在すると指摘しています。英語学習者も1〜4の順番で文法を習得していくと、より自然に英文法を習得できることになります。

 

  • グループ1:be動詞、複数形の-s, 現在進行形(-ing)
  • グループ2:助動詞、冠詞
  • グループ3:不規則動詞の過去形
  • グループ4:規則動詞の過去形、3単元の-s、所有格の-s

 

文法形態素の習得順序はレベル別の多読テキストにも応用されています。多読をする時に、文法相関表を参照することで効果的なインプットをすることができます。

 

多読レベル

引用:Pearson|Pearson English Readers 文法・テスト相関表

 

語順を意識する

言語を形態論的に分類すると、孤立語屈折語膠着語に分類されます。英語やラテン語孤立語と同様に、語順が大切になります。日本語で言う「は」や「を」などの対象を決める助詞がないからです。

 

  • 孤立語:単語の形は変化せず、語順で文章が決まる(中国語、ベトナム語)
  • 屈折語:単語の語形を変化させて文章を組み立てる(英語、ラテン語)
  • 膠着語:「が」や「は」などをくっつけて文章を組み立てる(日本語、韓国語)

 

孤立語屈折語は語順が変わると別の意味になってしまうので注意が必要になります。日本語は助詞で意味が変わってしまいますが、英語は下記のように語順で意味が変化していきます。

 

英語の語順

 

主語と動詞を中心に学ぶ

英語の5つの文型を整理してみると、全てに共通している要素がSVであることがわかります。英語の文ではSV(主語+動詞)が不可欠で、それ以外は付随的な要素となっています。英文法を学ぶ際には、主語と動詞を中心に学ぶことが大切です。

 

  • 第1文型:SV(主語+動詞)
  • 第2文型:SVO(主語+動詞+目的語)
  • 第3文型:SVC(主語+動詞+補語)
  • 第4文型:SVOO(主語+動詞+目的語+目的語)
  • 第5文型:SVOC(主語+動詞+目的語+補語)

 

英文法の知識を使って英文をつくる際には、まずは主語を考えます。主語が決まったら適切な動詞を選びます。英文を読む時にも、主語部分と動詞部分を意識するために印を付けて読み進めることもおすすめします。

イメージスキーマによる英文法学習

イメージ・スキーマとは、身近な身体経験(自分自身を中心とした空間的位置の経験や、モノをつかんで位置を移動させるなどの身を持って経験できること)の中で、一定のパターンを認識し、心の中に貯えたものです。このイメージ・スキーマを使えば、英語の前置詞や時間の用法を自然と理解することができます。

 

イメージスキーマ

参考:Image Schemas: The Physics of Cultural Knowledge?

 

イメージ・スキーマは国籍や文化によって若干の違いはありますが、言語を跨いだ共通の概念となっています。例えば「in」というイメージ・スキーマは、多くの人が箱の中に何かがあるという図を想像することができます。私達は身近な身体経験を通して、対象となるモノの性質やサイズを乗り越えて、それらに共通する位置関係を概略のみを抽出する傾向があります。

 

イメージスキーマの図

 

時間の用法を表す「in」をイメージ・スキーマを使う例を考えて見ましょう。「the hottest in five years.」の5年間という容器の中に、「一番暑い日」があるという空間的イメージを捉えることができます。In watching the TV, I received a phone call from John.」では、テレビを見ている時間という容器の中に、「電話に出る」という空間があると視覚的に理解できます。

 

スキーマについてはこちらで詳しく解説しています↓↓

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おすすめの英文法教材

おすすめの英文法教材

話すための英文法(語順を意識)

市橋氏の「英文法を知っているだけでなく、使えるようにすることである」というコンセプトを体現したテクストです。市橋氏は英会話における英文法の必要性を、日本の英会話教育史上初めて唱えた人だとも言われているようです。他にも「中学英語で24時間話せるシリーズ」など名著を数多く出版しています。

 

話すための英文法

語順を意識して英文法の知識を定着させるのにおすすめの参考書です。レベル別(入門編・初級編)かつ文法事項ごと(be動詞・一般動詞・過去形)に整理されているので、自分の認知負荷や文法の定着度を基に教材を選ぶことができます。

 

パターンプラクティスのトレーニングをするとより効果的です↓↓

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話すための表現英文法トレーニング(主語と動詞を意識)

自分の英語=My Englishを育てるというコンセプトを基に編集され、独自の英文法ネットワーキングという視点を導入しています。英文法の全体像とし、モノ的世界を扱う「名詞の文法」、コト的世界を扱う「動詞の文法」、状況的世界を扱う「副詞の文法」、言語情報の配列を扱う「情報配列と構文」の4つの領域の分類しています。

 

話すための表現英文法

 

第一部の名詞の文法と第二部の動詞の文法を定着させれば、主語と動詞を土台にして自分の英語を育てることができます。特に動詞の文法では、テンス(時制)とアスペクト(相)の表現方法をわかりやすく解説しています。

 

第2部 動詞の文法

  • Part1 現在のことについて語る
  • Part2 過去を回想して語る
  • Part3 未来を展望して語る
  • Part4 話し手の態度を表す[法助動詞]
  • Part5 態 対象に視点を置いて語る
  • Part6 「動詞+α」の8つの型
  • Part7 形容詞構文 判断・評価を加える

 

「話すための表現英文法トレーニング」

 

イメージでわかる表現英文法(スキーマ)

「英文法の本質」を直感的に理解できるビジュアルで解説している文法書で、英語で「話す」「書く」ための実用的な英語力が自然と身につくをコンセプトに編集されています。英文法を視覚的にイメージできるようにイラストや図が数多く使用されています。ただイメージを植え付けるだけではなく、コア(語や文法の本質)をしっかり説明してくれているので、英文法を知っているから使えるまで引き上げてくれます。

 

イメージでわかる表現英文法

 

コア学習の2大原則

  • 形が違えば意味が違う
  • 形が同じなら共通の本質的な意味がある

 

「イメージでわかる表現英文法」

 

参考

Cestofbilash | Higgs' Graph of Learner Needs

ResearchGateA model-based approach to second-language learning of grammatical constructions

Frontiers | The Effects of ESL Immersion and Proficiency on Learners’ Pronunciation Development

University of Southern CaliforniaPrinciples and Practice in Second Language Acquisition Stephen D Krashen

PEDIAADifference Between Descriptive and Prescriptive Grammar

Image Schemas: The Physics of Cultural Knowledge?

バイリンガル教育とは? メリット・デメリットとは!? 教育プラグラムや論文も丁寧に解説

はじめに

今回はバイリンガル教育について考えていきます。まず最初に、バイリンガル教育の定義や歴史を振り返りながら、バイリンガル教育の理論を基にバイリンガルの種類を整理していきます。次に第二言語習得研究を踏まえバイリンガル教育プログラムや実践内容を解説し、バイリンガル教育のメリット・デメリットを議論します。最後に子供をバイリンガルに育てるオンライン英会話を紹介していきます。

 

 

ポリグロットの実践している習慣↓↓

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多言語話者について解説しています↓↓

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マルチリンガルの勉強法や頭の中について解説しています↓↓

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トリリンガルについて解説しています↓↓

www.sunafuki.com

 

主な参考文献

「よくわかる言語発達」

 

バイリンガルの教育方法」

 

「新・こどもたちの言語獲得」

 

「赤ちゃんはことばをどう学ぶのか」

 

バイリンガルは5歳までにつくられる」

 

バイリンガル教育とは

バイリンガル教育とは

バイリンガル教育の定義 

バイリンガル教育とは、一つの言語を使う「モノリンガル」に対して、「二つ(以上)の言葉をきちんと使い分ける力を持った人」という意味での「バイリンガル」を育成する教育です。バイリンガル教育」と一口にいわれますが、実はさまざまなタイプがあり、家庭で実践するバイリンガル教育もありますし、イマージョン方式(対象言語に浸る)など多彩な教育です。

 

Definition of bilingual education

: education in an English-language school system in which students with little fluency in English are taught in both their native language and English

引用:Merriam-Webster

 

バイリンガル教育の歴史

2つの言語を使用した教育は近代にも存在していましたが、1839年でオハイオ州バイリンガル教育法を制定しバイリンガル教育が正式にスタートしました。バイリンガル教育を求める保護者の要請に応じてドイツ語と英語の教育を許可しました。1847年にルイジアナ州ではフランス語と英語、1850年にはニューメキシコ州スペイン語と英語にそれぞれ同じ規定を制定するなど、19世紀の終わりまでに、約12の州に同様の法律が制定されました。

 

バイリンガルの歴史

引用:haikudeckHistory of Bilingualism

 

1970年頃には世界ではバイリンガル論争が湧き上がります。今でこそ、バイリンガル教育にはポジティブな側面があることが実証されていますが、当時はネガティブな印象(言葉の齟齬や思考力の低下)がありました。特に、ヒスパニック系移民の教育法については様々な議論がかわされてきたようです。 マイノリティの母国語の重要性を説明しようとしたのが次に説明するカミンズです。

バイリンガルの種類

ジム・カミンズ(Jim Cummins)は、現在トロント大学教育研究所の教授で、主に第二言語として英語を学ぶ学習者の言語形成などを研究しています。カミンズ氏は子どもの言語発達が不十分な段階でバイリンガル教育を強要すると認知的な発達にマイナスの影響を与えると主張しました。

 

カミンズ 理論

 

言語発達が十分発達した段階でバイリンガル教育をスタートさせると2つの言語を同じように流暢に使用できるバランス・バイリンガルになると主張しました。但し、L1(母語)とL2(第二言語)が不十分になってしまうと、知的発達にマイナスの影響を与えてしまうと警鐘を鳴らしました。

バイリンガル教育の理論(論文)

2言語発達のカウンター・バランス説は、前述したバランス・バイリンガルを作り出すために、どうやってL1とL2の均衡をとったら良いかを示していいます。AのケースではL2の社会環境が優勢な状況なので、意識的に家庭などでL1を使う頻度を高めることが求められます。BのケースではL1の家庭環境など優勢なので、学校などでL2を積極的に使用することが要求されます。

 

カウンターバランス説

引用:A Sociolinguistic Profile of Secondary IV Students in Quebec English Schools

 

2つ目の理論は、「二言語共有説」です。カミンズ氏は第一言語第二言語の間には共有できるCommon Underlying proficiencyCUP)があると主張しています。第一言語能力(母国語)と第二言語は独立しておらず、相互に依存しているという理論です。

 

二言語共有説

引用:Teaching for Cross-Language Transfer in Dual Language Education:Possibilities and Pitfalls Jim Cummins,2005

 

カミンズ氏は、「二言語共有説」を証明するために言語能力をBasic Interpersonal Communicative Skills(対人伝達言語能力)とCognitive Academic Language Proficiency(認知・学習言語能力)に分けました。

 

  BICS CALP
特徴 具体的・インフォーマル 抽象的・フォーマル
語彙数 3,000語以下 100,000語以上
文章の特徴 短くてシンプル 長くて複雑
コミュニケーションの形式 文脈重視 非文脈下
能力形成までの時間 1〜3年 5〜10年以上

引用:2livnlearnAre You Judging Your English Learners on Their BICS Instead of    Looking for CALP? を参考に筆者が作成

 

Basic Interpersonal Communicative SkillsBICS)は、日常の場面に密着した(context-embedded)言語使用が特徴で、日常会話能力で、Cognitive Academic Language ProficiencyCALP)は、学問的な思考をするときに必要な言語能力のことを指します。この二つの言語能力(BICSCALP)は第一言語第二言語両方に当てはまります。 言語形成の土台にあたるCALPこそが、バイリンガルと後述するセミリンガルを分ける大きな鍵にになります。

 

カミンズの理論

 

バイリンガル教育と第二言語習得研究

バイリンガルと第二言語習得研究

言語の臨界期

英語に触れる年齢が早いほどバイリンガルになる可能性が高まるという研究があります。大人になってから英語を学習するのではなく、小さい頃に始めた方がより高いレベルまで到達するという結果が出ています。

 

言語の臨界期

引用:Critical period effects in second language learning

 

神経学者のジャックリーン・S・ジョンソンとエリッサ・L・ニューポートはアメリカに移住した韓国語や中国語を母語とする子供の、英語学習を始めた年齢と英語の習熟度の相関関係を調査したところ、アメリカに移住した年齢が早いほど英語の習熟度が高いという結果がでました。

幼児の音韻知覚能力の発達

幼児の音韻(音声において知覚の違いを生み出す最小単位)知覚能力、母語の音韻体系に存在するかどうかに関係なく、多くの音韻を聞き分けることができると言われています。周りの音声を聞く経験によって、母語を聞き取りやすいように次第に最適化されていってしまいます。

 

インドのヒンディー語のそり舌音と歯音の聞き分けを、英語を母国語をとする生後半年から1歳までの幼児をを対象にしたところ、生後6〜8ヶ月の幼児の80%以上は聞き分けができたが、10〜12ヶ月の幼児は全体の20%しか聞き分けができないという結果が出ています。(Werker&Tees, 1984)

バイリンガル第二言語習得環境

本の学校教育と比較して、バイリンガルの子供はどのように英語とかかわっているのでしょうか。実はバイリンガルの子供は、英語を勉強していないと言われています。彼らは普段の生活の中で耳にしたことや目にしたことを、自然に吸収して自分のものにしています。

 

  ESL EFL
誤りの訂正 意味が通じれば誤りに寛容 訂正される事が多い。正確さが優先
言語の質 習得難易無関係に語彙や文法を付与 平易なものから順序だてて与える
インプット量 大量。直接だけでなく間接的もあり 少量。週に数時間と限定
母語話者の関わり度 母語話者に囲まれている 教師でさへ母語話者でない事が多い
談話の型 カジュアルからフォーマルと多様 教師の質問に答える談話形式
話すプレッシャー 必要性に迫られていることが多い 正確さを問われることが多い
インプットの調整 1対1ではレベルは調整。大勢はなし 母語で明示的指導。理解できるように簡略化

 

ESL(English as a Second Language)は第二言語の英語としてという意味で、その国で英語が公用語として使われている場合を指します。例えば、フィリピンやインドでは英語をESLとして学習します。日本は、当然ですがEFL(English as a Foreign Language)として英語を学校などで学習します。バイリンガルの子供を育てるためには、上記のESLの環境をつくるのも大切になります。

 

バイリンガル・メンタル・レキシコン

バイリンガルの認知はモノリンガルに比べやや複雑な構造になっていると言われています。バイリンガルの情報認知のシステムにおいて、最初に提案されたのが階層モデルになります。(Kroll& Stewart,1994)

 

メンタルレキシコン

階層モデルの最大の特徴は全ての概念(意味要素)をL1とL2で共有していることです。モノリンガルは当然ですが単一の言語形式と概念が強く連結され、よりシンプルな構造になっています。

 

バイリンガル教育プログラムや実践内容

バイリンガル教育プログラム

家庭で育てるバイリンガル教育

バイリンガルの子供を育てるために一番の家庭の役割は、第1の言葉である母語(L1)をしっかりと育てることです。母語の役割はをまとめると以下の6点になります。母語・母文化を子供の「ルーツ」が定着しない場合は、後述するダブル・リミテッド(セミリンガル)になる危険性があるとも言われています。また、母親が子供にゆっくり、はっきり話しかけるマザリーズは(Infant-Directed speech)は、母語はもちろんですが第二言語を習得する際にも有効だと言われています。

 

(1)母語は社会の発達に伴って周囲の人々との交流のために、初めて使う言葉である。

(2)母語は感情や意思を伝えるために子供が初めて使うことばであり、子供の情緒の安定のために必要なものである。

(3)母語は知能の発達に伴って考える道具として子供が初めて使う言葉である。

(4)母語は親が親子の交流に言葉であり、親子の絆の土台となるものである。

(5)母語は親の母文化(行動規範、価値観、考え方)に裏付けられたことばであり、子どもが身につけるる初めての文化である。

(6)母語は親が作り出す家庭の一員として受け入れてもらうために覚えるものであり、「うちの子」(「よその子」に対して)としてのアイデンティティを伴った言葉である。

引用:バイリンガルの教育方法 p61

 

両親がネイティブスピーカーではない場合は、一人一言語の法則(誰がどの言語を話すか決めること、例えば母親が日本語で父親が英語など)を守ることによってバイリンガルの子どもを育てることが実証されています。タシュナーは子どもの発達を3つの段階に分け、特に第一段階では一人一言語の法則を守ることが大切だと言っています。

 

バイリンガルの発達段階

  • 第一段階(誕生から2歳ごろ)
  • 第二段階(2歳から3歳6ヶ月)
  • 第三段階(3歳から6ヶ月から9歳)

 

両親の語学力が低い場合は良い聞き役になることで、バインガルの子どもを育てられるという報告もあります。親が聞き役になることで子どもの読解力が向上したり、モチベーションが上がったというプラスの効果が報告されています。

 

親の在り方(英語を話せるバイリンガルを育てる)

  1. 20代を目標に長期的な構えで英語に触れさせる
  2. 楽しい交流が主、ことばはおまけという意識で英語に触れさせる
  3. あくまでも「日本語プラス英語」の自然習得を目指す
  4. 英語の読み聞かせをを大切にする
  5. 学習仲間を大切にする

引用:バイリンガル教育の方法

 

イマージョン方式のバイリンガル教育

イマージョンとは、英語の「immersion」(浸すこと)という単語の発音をそのままカタカナで表わしたものです。バイリンガル教育においては単にその言語を使用するということではなく、教科などの学習もその言語で行うことで自然とその言語を習得していく教育を指します。

 

6つのイマージョン方式

  1. 早期トータル・イマージョン
  2. パーシャル・イマージョン
  3. 中期イマージョン
  4. 後期イマージョン
  5. 教科別補強フレンチ
  6. トライリンガル・イマージョン

参考:バイリンガル教育の方法  第5章イマージョン方式の教育より抜粋

 

イマージョン方式のバイリンガル教育は1967年のカナダで始まりました。イマージョン方式の原型はカナダのケベック州を中心に広がっていきます。ケベック州公用語が英語とフランス語であり、イマージョン方式がその存続を支えてきました。イマージョン方式のバイリンガル教育は様々な地域の特性やニーズに応じて変形されてきましたが、主に6つのパターンがあります。

 

細かい説明は割愛しますが、どの時点で〜%ぐらい外国語ををどの教科で使用するかによって名称が異なってきます。早期イマージョン(5歳から)と後期イマージョン(12歳から)の教育を受けた子供を比較するフレンチイマージョンの実態を調査した研究では、下記のように聴解力と読解力に差が出ました。

 

  早期イマージョン(4,000時間) 後期イマージョン(1,400時間)
聴解力 15.2 12.0
読解力 14.8 18.2

引用:バイリンガル教育の方法  第5章イマージョン方式の教育より抜粋

 

アメリカのバイリンガル教育

全米の教育協会によるとアメリカの英語学習者は急速に増加していて、2025年には公立学校の生徒の25%が英語を外国語として学ぶと言われています。そのためバイリンガル教育を実施できる教員の数が不足すると予想されています。特に多いのがヒスパニック系の生徒になります。

 

アメリカのバイリンガル教育

引用:1 in 4 Students is an English Language Learner: Are We Leaving Them Behind?

 

2015~16年の公立学校には460万人以上の英語学習者の生徒がいましたが、適切な教師は78,000人しかいなかったようです。バイリンガル教育者が不足している理由は、トレーニングの欠如や不十分な給与などが挙げられています。

 

バイリンガル教育のデメリット(失敗例)

バイリンガル教育 デメリット

セミリンガルになる危険がある

セミリンガル は英語で「semilingual」で、言葉(lingual)に接頭辞である半分(semi)がくっついて下記のような意味になっています。

 

A person who knows two or more languages but exhibits low profile in all of them, that involves having poor vocabulary and wrong grammar.

 引用:Weblio

 

セミリンガル (semilingual)を直訳すると、「言語をいくつか知っているが、語彙不足や文法を誤って使用する人」となり、ネガティブな意味が込められています。子どもの言語発達が不十分な段階でバイリンガル教育を強要すると、第二言語だけではなく母国語も十分に使いこなすことができなくなってしまいます。

 

↓↓詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

www.sunafuki.com

 

第一言語の語彙力が小さくなる

2008年に神経言語学の雑誌で紹介された研究では、バイリンガルの語彙サイズはモノリンガル(単一の言語を話す人)よりも語彙力が小さくなるというデータが示されています。但し、バイリンガルのそれぞれの語彙サイズを足すと、モノリンガルと同じ語彙サイズになるとも指摘されています。

 

引用:Lexical access in bilinguals: Effects of vocabulary size and executive contro,2008

 

モノリンガルは単一の言語に集中できるのでその言語では優位性があるということになりますが、バイリンガルの語彙量はそれぞれの言語に分散されてしまいます。

 

モノリンガルについての詳しい内容はこちら↓↓

www.sunafuki.com

 

バイリンガル教育のメリット(成功例)

バイリンガル教育 メリット

思考の柔軟性が養われる

バイリンガルはモノリンガルよりも認知的柔軟性が高いという研究が数多く報告されています。モノリンガルは基本的に1つの単語に対して1つのラベルしか許容できませんが、バイリンガルは常に異言語間同義語を獲得する必要があるので、認知柔軟性を高く保つことができているようです。

 

Bialystok,1999の実験では、子ども達に一つ目のルール (例えば同じ形のものを分類する) でカードを分類するように指導し、その後新しいルール (例えば、同じ色のものを分類する) で分類するよう教示した歳に、バイリンガルの子どもがモノリンガルよりも柔軟にルールを切り替えることができるという結果が出ています。

 

将来の活躍の幅が広がる

エンワールド・ジャパンが実施したアンケートによれば、英語が上級(バイリンガル)の人の約60%が年収1,000万円以上という結果がでました。英語能力が高いバイリンガル人材はグローバル企業からの需要も高く、結果として彼らの年収も高い水準になっています。

 

バイリンガル年収

引用:エンワールド・ジャパン株式会社『「英語レベルと年収」についてアンケート』

 

子供をバイリンガルに育てるオンライン英会話

バイリンガル オンライン英会話

グローバルクラウン(アプリで無意識に英語環境)

グローバルクラウンの強みは、子供を英会話に夢中にさせる工夫を徹底しているところです。ゲームのように英語を学ぶことができるようにゲーミフィケーションの理論を実践して、多彩なアプリを導入しています。

 

子ども専用オンライン英会話【GLOBAL CROWN】 

 

グローバルクラウンの特徴

  1. 子どもにモテるバイリンガル先生
  2. 生活習慣をつくる時間固定レッスン
  3. 先生との相性マッチング
  4. 飽きずにハマる20分レッスン
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リップルキッズパーク(フォニックスで聴解力向上)

子ども専門オンライン英会話「リップルキッズパーク」は日本初の子ども専門オンライン英会話で、オンライン英会話大手レアジョブとZ会の合弁会社が運営しています。3歳から始められるることができ、ゲームや歌、フリートークなどで、子どもの好奇心を刺激するレッスンを受けることができます。Let's Go Phonicsの教材を使用してフォニックス(発音と文字の関係性を学ぶ音声学習法)が学べるのも特徴で、早期に子どもの聴解能力を高めることができます。

 

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リップルキーズパークの特徴

  • こども専門
  • ABCから始められる
  • マンツーマン
  • 送り迎え不要
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リトラボえいご(コミュニティの作成)

リトラボえいごはこども英語教育で40年以上歴史のある旺文社LL教室が母体の「日本LL教育センター」が運営するオンライン英語教室です。2021年4月から始まった新サービスで新規生徒を募集しています。オンライン英会話にしては珍しく、同じ年代や同じ英語学習レベルの子どもとのグループレッスンなので、バイリンガル教育のコニュニティも形成することができます。

 

子ども向けオンライン英語教室【リトラボえいご】

 

リトラボえいごの特徴

  • 日本人先生とのグループレッスン
  • 英語習得の基礎を学べる
  • お手頃価格で始めやすい
  • 自宅で英語学習ができる

 

参考

Merriam-Webster|Definition of bilingual education

haikudeckHistory of Bilingualism

ResearchGateThe Vitality of the English Speaking Community of Quebec: A Sociolinguistic Profile of Secondary IV Students in Quebec English Schools

The University of Toronto Toronto|Teaching for Cross-Language Transfer in Dual Language Education:Possibilities and Pitfalls Jim Cummins,2005

2LivNlearn|Are You Judging Your English Learners on Their BICS Instead of Looking for CALP?

ベネッセ教育総合研究所|言語形成期を活用したバイリンガル教育の特徴

立命館大学論説|言語形成期を活用したバイリンガル教育の特徴

American Federation of TeachersBilingual Education Reviving an American Tradition

ResearchGate|The Vitality of the English Speaking Community of Quebec: A Sociolinguistic Profile of Secondary IV Students in Quebec English Schools

Semantic Scholar | Critical period effects in second language learning: The influence of maturational state on the acquisition of English as a second language 

学校法人ホライゾン学園 仙台校 | イマージョン教育

New York University | 1 in 4 Students is an English Language Learner: Are We Leaving Them Behind?

Science direct | Lexical access in bilinguals: Effects of vocabulary size and executive contro,2008

エンワールド・ジャパン株式会社 |『「英語レベルと年収」についてアンケート』