多言語話者とは? 脳の仕組みや適した性格・メリットを紹介 驚きのギネス記録も!?

はじめに

多言語

今回は多言語話者について考えていきます。多言語話者(複数の言語を話す人)という言葉を整理して、世界の多言語話者を紹介していきます。彼らはどうやって複数の言語を学んできたのか?多言語話者になるメリットや脳の仕組み・適した性格についても考えていきます。驚きのギネス記録もありました。

 

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ポリグロットの記事はこちら↓↓ 

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多言語話者とは

多言語話者とは


マルチリンガルとの違い

多言語話者とは、文字通り多くの言語を話す人を表します。日本でのイメージですと、2〜3カ国語以上話せる人は多言語話者と呼ばれるかもしれません。実は、英語では言語の習得数によって呼び方が変わってきます。

 

多言語話者をそのまま英訳すると、マルチリンガル(Multilingual)になります。マルチリンガルは複数の言語を操れる人を指します。バイリンガルトリリンガルはどうでしょうか。実は話す言語の数によって名称が変わってきます。

 

言語の数 英語名
2言語 bilingual(バイリンガル)
3言語 trilingual(トリリンガル)
4言語 quadrilingual(クワドリンガル)
5言語 quinqulingual
複数 multilingual(マルチリンガル)

 

言葉の数が増えるにつれて、バイ→トリ→クワドと変化していきます。リンガルは全てに共通していてlingua(言葉)と、-al(性質)という意味を表します。では、バイ、トリ、クワドは数字の1、2、3という意味になるのは想像できますが、なぜone、two、threeではないのでしょう。

 

1 uni unique(ただ一つの)
2 bi bicycle(自転車)
3 tri triangle(三角形)
4 quadr quarter(1/4)
5 quinqu quintet(五重奏)
複数 multi multicultural(多言語)

 

実は、バイ、トリ、クワドはそれぞれ、「bi」、「tri」、「quadr」のラテン語の数字に由来しています。したがって、何カ国か分からないけど、複数の言語を話す人を指す場合はマルチリンガルあるいはポリグロットと表現した方が良いかもしれません。多言語話者は複数の言語を話す人と定義しましょう。

 

58カ国語を話すギネス記録

人間はいくつの言語を話すことができるのでしょう。日本はモノリンガルの国なので、バイリンガルになるのも一苦労です。三ヶ国語や四カ国以上になると、想像するのが難しいです。

 

Harold Williams氏は58カ国語を話す人ということでギネス記録に認定されました。雑誌タイムの編集者でありながら驚くべき多言語話者でした。神父だった父は、彼に古典文学を教えました。彼が7歳の頃にはすでに、ラテン語を習得していました。彼は様々な言語に翻訳された新約聖書を通して、複数の言語を獲得していきました。

 

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ハイパーポリグロット

世界中には数十の言語を操る多言語話者が存在しているようです。彼らはハイパーポリグロットと呼ばれています。ちなみに、マルチリンガルもポリグロットも多言語話者という意味ですが、「Multilingual」(マルチリンガル)はラテン語から、「Polyglot」(ポリグロット)はギリシャ語からぞれぞれ起源とする言葉です。最近で、4ヶ国語以上言語を操る人をポリグロットと呼ぶことが多くなってきました。

 

特に、ハイパーポリグロットは数十の言語を操る人を指し、その能力にも注目が集まっています。過去の歴史を振り返ると、偉大なハイパーポリグロットが多数存在していることが分かりました。

 

  話せる言語の数 職業
Powell Janulus 42ヶ国語 通訳者
Kató Lomb 通訳9~10ヶ国語、翻訳16ヶ国語 通訳者
Harold Williams 58ヶ国語 編集者
Kenneth Locke Hale 50ヶ国語以上 言語学者
Michael Ventris 線文字B解読可 哲学者、建築家
Guiseppe Caspar Mezzofanti ハイパーポリグロット アラビア語の教授
Sir John Bowring 100ヶ国語を話し、200ヶ国語に精通 知事、作家、学者
Georges Dumezil 200ヶ国語話し、読める 哲学者
Emil Krebs 68ヶ国語書き、話せる 外交官
Ferenc Kemény 20~30ヶ国語を話し、書き、翻訳 政役員、翻訳者

 

半数以上のハイパーポリグロットが40ヶ国語以上を操っていることが分かります。彼らの職業をまとめてみると、学者が多いことも判明しました。日常的に言語に触れている通訳や翻訳者だけではなく、言葉や思想を追求する人もポリグロットになる素質があるのでしょうか?

 

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多言語話者になるには

多言語話者になるには

脳の仕組みは?

多言語話者の脳の仕組みはいったいどうなっているのでしょうか?最近の研究によれば、バイリンガルの人は頭の中に別々に働く複数の言語脳を持っているのではなく、一つの「2ヶ国語脳」、「3ヶ国語脳」、「4ヶ国語」をもっているようです。

 

バイリンガルの脳仕組みが解明される前は、複数の言語を学ぶことは脳に悪影響を与えると考えられていたそうですが、実は多言語話者が急に母国語の単語を忘れたり・混乱しているのは脳の認識能力が向上している証拠で、言語脳がまた新しい言語を習得しようとアップデートしていたからなのです。

 

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性格

外国語の学習に適した性格はあるのでしょうか。第二言語習得に影響を与える性格要因には「外向性」「自尊心」「不安」「共感」などが挙げられます(Brown,2007)。外国語を学ぶ際には、外向的性格の方が積極的にコミュニケーションをとれるので有利だと感じます。

 

実は外向的・内向的な性格、それぞれ長所と短所があります。外向的な性格の人はインタラクティブな活動やアウトプットを好み、一人で黙々とするライティングや暗記は苦手です。一方で、内向的な人は積極的なコミュニケーションは苦手ですが、一人でコツコツとする作業は得意です。

勉強法

多言語話者になるために自分の性格や思考に合った勉強法を選ぶことが大切です。逆に言えば、どんな性格の人も自分に合った学習スタイルを確立すれば誰でも多言語話者になれるということです。

 

自分に合った学習方法を提供してくれるのがPLSPQです。私たちの認知スタイルの好みなどを6つのタイプに分類・測定してくれるアンケートです。おすすめは、神田外国語大学が提供するオンライン版「学習スタイル診断」です。1~16の質問に答えるだけで、自分に合った学習スタイルを診断してくれます。

 

www.kandagaigo.com

 

多言語話者になるためには、実際にその言語に触れてアウトプットをすることが大切です。オンライン英会話のサービスを提供しているDMM英会話では英語に加えスペイン語、中国語、韓国語のレッスンを受けることができます。私は南米の先生に「スペイン語を練習したい」と事前に伝えてレッスンをしています。

 

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多言語話者になるのは良いこと?

メリット・デメリット

メリット

複数の言語を話すメリットは一般的には就職に有利とか、海外旅行で現地の人と交流できるなどが挙げられます。ある実証研究によれば、バイリンガルになることで私たちの脳や心にも良い影響を与えることが明らかになっています。

 

一つ目は、精神的な柔軟性が養われ変化に対して情報を効率よく処理することができるようになります。複数の言語を処理を日常的に行うことで、様々な予想外を経験し、物事を柔軟にとられることができるようになります。

 

二つ目は、認知予備力を強化することができます。複数の言語を話すことで、身体を刺激して老化を防ぐことができます。認知症の発病を防ぐ効果もあるようです。

  

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デメリット

バイリンガルがまだ認知される前は、複数の言語を学ぶことは語彙力を培う上で不利益になり、IQを低下させると考えれてました。1960年代ごろまでのバイリンガル教育論では、否定的な意見が多かったようです。しかし、その後は脳を刺激することが判明したり、認知機能を向上させるなどの研究が数多く発表されてきました。バイリンガルに対する否定的な意見は少なくなってきました。

 

www.frontiersin.org

 

ただし、バイリンガルの子供を育てる時に注意したいことは、母国語が不完全なセミリンガル(ダブルリミテッド)の子供にしないことです。セミリンガルとは、二ヶ国語を話したりはできるが、両言語とも年相応の言語レベルに達していない状態を指します。セミリンガルを防ぐために母国語の確立が必要不可欠です。子育てにおいては、家庭内で言語使用のルールを決めたり、間違ったら訂正するなどの習慣が必要です。

 

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多言語話者の就職

多言語話者の就職

バイリンガル求人

バイリンガルに合った就職先は翻訳や通訳など、強力な第二言語を活かす仕事が最適でしょう。一定の専門的な知識と合わせれば鬼に金棒となり、社会で活躍できる人材になることが可能です。そのためには、日々第二言語の専門性を高めライバルに負けないような努力も必要です。

 

英語力を活かせる求人は数多くあります。dodaのサイトには、英語力を活かせる18の職種が紹介され、それぞれ求められる英語力・専門性が分かります。自分の英語力×専門性がどこまで評価されるのか計算できるはずです。

 

doda.jp

 

トリリンガル求人

トリリンガルに合った就職先は複数の国を結びつける仕事や、ツアーリスト・貿易関係の仕事に適しています。日本にも外国人労働者が増えてきましてので、日本国内でも活躍の場が広がっています。トリリンガルに特化した、求人サイトも増えているようです。特に求人が多いのが、日本語・英語・中国語の組み合わせです。

 

www.meet-bowl.com

 

ポリグロット求人

ポリグロットに合った就職先はYoutuber、講師、ブロガーなど、自分の個性を活かせるオウンメディアになるでしょう。複数の言語を操るだけで個性になりますし、その努力の過程や習得技術をシェアするこもできるはずです。

 

www.youtube.com

 

(参考)

Webで翻訳ブログ|ハイパーグロットになりたい人必見!偉大なる多言語話者をご紹介します

daytranslations|10 Most Accomplished Polyglots – They’re Truly Amazing!

wired|Being Bilingual Changes the Architecture of Your Brain

英語学習手帳2015|学習スタイル診断

sciencedaily|Being bilingual wards off symptoms of dementia

frontiersin|Executive Processes Underpin the Bilingual Advantage on Phonemic Fluency

biz-journal|英語の早期教育に英語の専門家がこぞって反対する理由

doda|英語力を活かせる全18職種

meet-bowl|日英中トリリンガル採用