第二言語習得研究に基づく英語スピーキングの練習方法 独学で上達する勉強方法を丁寧に解説

はじめに

今回は第二言語習得研究に基づく英語スピーキングの練習方法を丁寧に解説していきます。独学で上達する勉強方法をステップに分けて丁寧に解説していきます。まずは、なぜ英語スピーキングは難しいのか?という問いを立て、第二言語習得研究のスピーキングモデルやU字型発達曲線・トレードオフ仮説を外観します。2章では、一般的な英語スピーキングの練習方法としてフォーミュラにもとづくスピーキング、同じテーマ・トピックの反復学習を紹介しながら、プレイン・イングリッシュの重要性も解説しています。3章で2つのスピーキングの正体(モノローグ・ダイアローグ)を整理しつつ、最後に独学でスピーキングが上達する勉強方法をレベルごとに3つ(自己紹介、15/45 トレーニング、パラフレーズレーニング)紹介しています。ぜひ独学の参考にしてください。

  

 

英語を話すためのインプットの重要性を解説しています↓↓ 

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第二言語習得研究に基づく英語リーディング力の伸ばし方↓↓ 

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主な参考文献

 

「英語学習論 スピーキングと総合力」

 

「英語の学び方入門」

 

「外国語を話せるようになるしくみ」

 

「英会話日常表現大辞典 10000+」

 

なぜ英語スピーキングは難しい?

なぜスピーキング?

第二言語習得研究のスピーキングモデル

英語スピーキングの難しさを知る手がかりになるのがスピーキングモデルです。このモデルは元々は母語をのスピーキングのプロセスを説明するために考案されたものですが、第二言語を話すプロセスに示唆を与えてくれます。スピーチ・プロダクションモデルは、私たちのアウトプットのプロセスを3段階のステップに分解したモデルです。

 

スピーチモデル

 

まずは概念化装置で、自分の伝えたい想いを形成していきます。例えば、今お腹がすいているなと感じたとしたら、「お腹が空いたなと」心の声が生まれてきます。二つ目の形式化は、「お腹が空いたなと」という心の声を言葉にのせる作業です。空腹という単語を探して「hungry」という単語を頭の中の辞書から見つけると同時に、音韻・音声情報も作成します。最後の調音化は、実際に「I am hungry」と発話するプロセスを指します。 実際にメッセージを言語化する最終ステップです。

 

形式化

  • 語彙・文法コード化:検索した語彙情報から語句を組み立てる
  • 形態・音韻コード化:アクセントや音韻知識を活用
  • 音声コード化:舌の位置、口の使い方、声帯の振動情報を作成

 

母語を話す際はこれらの複雑なプロセスは自動的に処理されますが、第二言語を話す際は各ステップを意識して実行する必要があるため、スムーズな会話が難しくなります。

 

 こちらで第二言語習得研究の全体像を解説しています↓↓

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U字型発達曲線

アウトプットの役割を考える際に、参考になるのがU字型発達曲線と呼ばれるものです。U字型発達曲線は、言語の創造的な使用がどのようなプロセスで実現されるかの示唆を与えてくれます。

 

U字型発達曲線

  • 第1段階:言語をそのまま暗記
  • 第2段階:規則や法則を抽出
  • 第3段階:創造的に言語使用

 

第1段階では、目標となる言語を暗記します。正確性は高いですが、表現が限定的な状態となっています。第2段階では正確性は下がりますが、トライ&エラーを通して一般的な法則を抽出できるようになります。最後の第三段階では、あらゆる状況で柔軟な言語使用が可能になっていきます。

U字型発達曲線

柔軟な言語使用を実現するためには言語の暗記から始まり、一度言語の正確性が減少してから、少しずつ例外的な言語仕様にも対応できるようになり最終的な創造的な言語仕様にたどりつきます。

 

トレードオフ仮説

人間の脳の限られた注意量をどのように調整して分配するのかが、英語スピーキングを実践するうえで大切になります。このような調整や選択はトレードオフ仮説と言われています。この理論に基づくと、英語で話す時は話し手の注意量は2段階で分散していきます。トレードオフを克服するためには、繰り返しと計画時間をもつことが大切だと言われています。 

 

トレードオフ仮説

 

1 段階目では、流暢さと言語形式が分散されてしまいます。経験があると思いますが、英語をすらすらと話そうとすると文法形式への注意がおろそかになってしまい、間違いの数が多くなってしまいます。2段階目では、複雑さと正確さに分散してしまいます。複雑な構文などを使っていざ話そうとすると正確に話すことが難しくなってしまいますので、注意量を調整して話すことが大切になります。

 

英語スピーキングの練習方法

英語スピーキングの練習方法

フォーミュラにもとづくスピーキング

フォーミュラにもとづくスピーキングとは、単語と単語の連なりやチャンク(フォーミュラ・定型表現)を基にしたスピーキングで、以下のフレーズやイディオムを活用します。フォーミュラを活用することで、文の構築が楽になり認知負荷を低減させることができると言われています。

 

フォーミュラの種類

  • 複合語(compounds):water tank、washing machineなど
  • 句動詞(phasal verbs):come out、go byなど
  • イディオム(idioms):spill the beans、see eye to eyeなど
  • 固定フレーズ(fixed pharase):of course、in factなど
  • プレハブ(prefabs):the thing、point isなど

参考:外国語を話せるようになるしくみ p97の一部参照

 

フォーミュラは、英語母国語話者がメンタルレキシコン(脳内に記憶された語に関する知識の総体)内に、単語に分解せずに蓄えていると考えられているのもので、スピーキングの際にはそのまま検索して活用されていると言われています。文法規則や語法情報にもとづくスピーキングと比較して、認知負荷が低くスピーディーな発話が可能です。

 

フォーミュラ スピーキング

 

チャンク学習(パターンプラクティス)について解説しています ↓↓

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プレイン・イングリッシュ

プレイン・イングリッシュ(plain English)とは、できるだけシンプルな表現を使うことです。シンプルな英語を使用すれば、自分の考えを的確かつ短時間で伝えることができます。プレイン・イングリッシュは想像以上の効果を期待できます。

 

  1. 長い単語より短い単語
  2. カッコいい凝った単語よりは、慣れ親しんだ単語を
  3. 抽象的な単語より、具体的なものを
  4. よけいな単語は使わない
  5. できるだけ能動態を使う
  6. 動詞を生かす
  7. できるだけ否定形を避ける
  8. 1つの文にには1つの情報を
  9. まず概論を述べてから、詳細に入る
  10. 原因・結果をはっきり述べる 

引用:英語の学び方入門

 

1〜4は語彙使用の原則で、難しい語彙を避け簡単な単語を使うことを勧めています。5〜7は文法使用のルールで認知的資源をあまり使わない能動態・肯定形を使うことが推奨されています。8〜10は情報伝達のルールで大情報→小情報を意識して的確かつ論理的な伝え方の大原則です。

 

プレインイングリッシュ

 

普段私達が使っている母国語は語彙も文法も高度な場合が多く、そのまま翻訳してしまうと長くて分かりづらい英語になってしまいます。ポイントは日本語の複雑な表現にとらわれずに、1文1情報を心がけて情報を勇気をもって分けることです。

 

同じテーマ・トピックの反復学習

3つ目のトレーニングは、同じテーマ・トピックの反復学習です。同じテーマの反復学習(タスク)の繰り返しは退屈で学習効果が低いと思われるかもしれません。実はタスクを繰り返すことで、第二外国語学習者の流暢さ(1秒ごとの音節の数)が向上する研究成果もあります。

 

タスクの繰り返し

引用:TASK REPETITION AND SECOND LANGUAGE SPEECH PROCESSING

 

流暢さが向上する要因としては、下記の研究でも明らかになっている概念化への注力の減少とsytax(構文)への注意量の減少があるかもしれません。言語形式に意識を向ける余裕が生まれると、流暢さも向上するはずです。初学者は様々なテーマのスピーキングに挑戦するのではなく、同じトピックの課題を繰り返しトレーニングすることが大切です。

 

タスクの繰り返し

引用:Two Cases from an English for Business Purposes Program

  

2つのスピーキングの正体

2つのスピーキング

ノローグ

スピーキングはモノローグ(monologue)とダイアローグ(dialogue)の2つに分かれていてそれぞれ必要な能力が異なります。ノローグは一人で話す、スピーチやプレゼンテーションです。例えば、仕事で一方的に話すモノローグが求められているのであれば、事前に構成や話す内容を考えればなんとかなります。但し、多くの人が想定しているスピーキングは次のダイアローグになるはずです。

 

モノローグ

引用:All by yourself: monologues in elementary speaking

 

ダイアローグ

ダイアローグは他者と話す対話になります。したがって、一方通行のスピーチ等と性質が異なります。事前の準備だけでは対処できず、interaction(インタラクション)が重要な要素となってきます。ダイアローグには3つのパターンがあると言われています。

 

ダイアローグの3つのパターン

  • 非対称パターン:片方が話し続け、もう一方が聴いているだけ。
  • 平行パターン:一人が一方的に話し、終わったらもう一方が話す。
  • 協力的パターン:2人が意見を伝え、両者で考えを展開。

引用:英語の学び方入門

 

片方(学習者)のスピーキング力が低い場合は、もう一方(講師)の話を聴いているケースが多くなってしまいます。レベルが高すぎる英会話クラスや教材を使っていると陥りやすいパターンです。平行パターンは、それぞれダイアローグ的なスピーキングを実行している場合で上手にinteraction(インタラクション)が行われていないケースです。協力的パターンのダイアローグは、2人が意見を伝えて話を展開する理想的なダイアローグです。

 

協力的なダイアローグを実行するために、相手の内容を要約したり言い換えたりすることが大切で、一緒に会話を創り上げることが求められます。次の章で説明するパラフレーズも大いに役に立ちます。

 

独学でスピーキングが上達する勉強方法

独学スピーキング

自己紹介(Level 1)

まず最初のトレーニングとしておすすめなのが英語の自己紹介です。自己紹介自体はモノローグの一種なので独学でトレーニングが可能です。但し、英会話で実践する際はインタラクションの要素(質問の応答)が加わります。同じトピック(自己紹介)は何度も繰り返すことで流暢性が高まり、充実した内容を話せる(言語の形式化に比重が置ける)ようになることで自信が付いてきます。

自己紹介ノート

私が実際に実践した方法が紹介すると、まずはノートを用意します。左側はストックノート(覚えた表現や使いたい表現を貯める場所)に、右側は自己紹介の記録用に使います。ポイントはシンプルイングリッシュを意識して、少しずつ使える表現を増やしていくことです。ストックノートは質問と答えのセットにすることで記憶に残りやすくなり、実践でも使えるようになります。5W1Hを使うことで、概要→説明という構造を作りやすくなります。

 

私はオンライン英会話(DMM英会話)を利用して、世界各国の人に自分の自己紹介を何度も伝えるトレーニングをしてきました。DMM英会話は講師の数も多く、グローバルの講師が揃っているので自己紹介を訓練するには最適な環境です。私は講師を固定せずに毎回自己紹介を重視してレッスンを受講していました。

 

DMM英会話|131ヶ国の講師に毎日自己紹介

 

DMM英会話の特徴

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15/45 トレーニング(Level 2)

2つ目は特定のトピックの内容を15秒で考えて45秒で話す15/45トレーニングです。学習者は十分なプランニングができない状態で、アウトプットすることが求められます。このような練習を繰り返せば、既述した「概念化」(言いたいことのコンセプト・概念を生成する)から「形式化」(生成したコンセプト・概念を言語化する)のプロセスが強化されると言われています。IELTSやTOEFLのスピーキングテストを練習しても同様の効果が得られます。

 

15/45トレーニング

 

注意すべきポイントは15秒の時間を日本語→英語の英作文の時間に費やさないように、しっかり概念化の時間にあてることです。大切なのはアイデアの構築と発話の流れをセットで実行することなので、45秒という時間が短すぎると感じれば90→60→45秒と段階的に短くしても大丈夫です。

 

15/45トレーニングにおすすめのトピックはこちら↓↓

www.bestmytest.com

 

パラフレーズレーニング(Level3)

最後は英語の表現を言い換えるパラフレーズのトレーニングです。英語を言い換えることで、語彙力・要約力が向上するだけではなく、実際のコニュニケーションが円滑になる等メリットがたくさんあります。オーストラリアのメルボルン大学では同義を使ったパラフレーズを教えたことで、語彙力が向上したという研究が発表されています。

 

www.youtube.com

 

AtsueigoさんのYoutubeチャンネルでパラフレーズの具体的にトレーニング方法を丁寧に解説されています。特に、語彙力強化に着目してパラフレーズレーニングの重要性を説明しています。ぜひチェックしてみてください。パラフレーズの語句はAtsueigoさんのようにネットで検索もできますが、ジャンルごとに整理されている参考書などを使って語彙力強化するのもおすすめです。(英会話日常表現大辞典10000+)

 

英語 言い換え表現

 

第二言語習得研究に基づく英語スピーキングの練習は独学でも十分実行可能で、ブログの内容を実践すれば必ず成果が出てきます。但し、自分の学習成果をモニターしてくれたり、フィードバックしてくれる方がいるとより成果が高まるのも事実です。独学では慣れないうちはモチベーションの維持が難しいかもしれません。そこで外部サービスを活用するのも1つの手です。

 

第二言語習得論の第一人者、ケース・ウェスタン・リザーブ大学認知科学科教授の白井氏が社外取締役就任されているスパトレでは第二言語習得論・認知心理学脳科学の研究結果を活用し、確実に英語力を身に付けることを目的とした英語トレーニングサービスを提供しています。

 

スパトレ|第二言語習得論に基づく英語トレーニング

 

スパトレの特徴

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スパトレでは、大量のインプットと少量のアウトプットを学習の基本とし、英会話レッスンではなく、徹底した自習を重視。また、日本人サポートや外国人トレーナーによる継続的なサポートにより、成果にこだわる英語トレーニングを提供しています。第二言語習得理論をバックに急成長したい場合は上記のようなサービスも活用すると良いでしょう。

 

参考

Cambridge University Press | TASK REPETITION AND SECOND LANGUAGE SPEECH PROCESSING

Cambridge University Press All by yourself: monologues in elementary speaking

Speaker Deck | Designing Task-based ESP Syllabi: Two Cases from an English for Business Purposes Program

BestMyTestNew TOEFL Speaking Topics Updated for the TOEFL Speaking Task 1 - 2020 Edition

Atsueigo|誰でも簡単にペラペラになれるパラフレ英語勉強法!

The University of MelbourneBuilding Vocabulary Knowledge by Teaching Paraphrasing with the Use of Synonyms Improves Comprehension for Year Six ESL Students