はじめに
今回は第二言語習得研究に基づく正しい英語ライティングの勉強方法について解説していきます。初心者の方でも分かりやすく丁寧に解説しているのでぜひ参考にしてみてください。プロセスライティングの学習効果など、最新の研究も紹介しています。まず、英語ライティングの種類や効果的なライティング指導を解説し、英語ライティングの添削や学習のポイントをまとめています。さらに英語パラグラフライティングを解説し、最後に独学方法を考えてみました。
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主な参考文献
「日本人のための英語ライティング講座」
「英語論文・レポートの書き方」
「パラグラフ・ライティング指導入門」
「アメリカの小学校に学ぶ英語の書き方」
「英語エッセイ・ライティング」
英語ライティングとは
第二言語習得研究におけるライティングとは
第二言語習得研究おけるライティングは下記のようなライティングモデルを指すことが多いようです。1996年にkelloggが提案したのもので、主に4つのプロセスから構成されています。まずは書く内容を考えるために主張を提示(Proposer)します。その次に、考えたアイデアを言語に変換(Translator)、頭に浮かんだ文を評価・修正しながら(Evaluator/Reviser)、文字化します(Transcriber)。スピーキングプロセスと基本的に同じですが、ライティングモデルには調音化が必要はありません。
引用:Cognitive Models of Writing
ライティング産出の認知プロセスモデル
文章がどのように生み出されていくのかという認知プロセスは、認知心理学の分野で盛んに議論されています。ここでは、実際にライティング指導に応用された2つの理論を紹介します。一つ目は下記の認知プロセスモデル(Flower &Hayes, 1981)で、右下のライティング処理過程に対して、課題環境(Task Environment)や書き手の長期記憶が影響を及ぼすと唱えています。推敲を繰り返すことの重要性を説いたことから、現在主流となっているプロセスアプローチの論理的背景ともなっています。
引用:Research gate | New Directions in Writing Theory
もう一つは、Bereiter & Scardamalia (1987)によって提唱された知識変容モデルで、彼らはライティングプロセスは皆が同じようか形をとらないと主張しました。また、計画や目標設定を必要とし、ライティングそれ自体が思考プロセスの発展に重要な役割を担うと唱えています。
引用:「知識伝達モデル」から「知識変形モデル」への 発展を志向するアカデミック・ライティング指導
英語ライティングの種類
ダイアリーライティング(学ぶために書く)
ダイアリーライティングとは学ぶために書くことを指し、日々の出来事や日常のことを書く日記と同じです。毎日決まった時間に書くことで習慣化できます。学ぶために書くので、自分の書きたいことを書くのがおすすめです。毎日続けるためには、難しい英文を書くのではなく、短い簡単な英文をこころがけましょう。
但し、化石化(間違った表現を使い続ける)が起こっている可能性がありますので、フィードバックをもらえる環境を整える必要があります。「これ英語で言えない」という気づきを得たら、そのままほったらかしにしないことが大切です。
↓↓化石化についてはこちらで解説
アカデミックライティング(書くために書く)
書くために書くの代表的なものは、アカデミックライティングです。ライティングそれ自体が執筆文となるので、綿密な構成や推敲が求められます。自分の主張を不特定多数の人に伝えるように工夫することで、英語ライティング力が付きます。主にアカデミックライティグは大学で学術的な文章を書く時に要求され、TOEFLやIELTSなどのライティング試験でも問われます。
アカデミックライティングの種類
- ナラティブ(narrative writing)
- 描写(description)
- 分類(classfication)
- 類似点・相違点(similarities and differences)
- 原因と結果(cause and effect)
- 問題解決(problem-solbing)
- 説得(argumentative writing)
引用:英語の学び方入門 p167
アカデミックライティングのおいては客観的な文章を書くことが求められます。自分の意見が単なる思いつきだけではないことを証明する必要があります。日本語は「気分性」が特徴とも指摘されているので、自分の主張を不特定多数の人に伝える「論理性」を意識することが大切です。
効果的な英語ライティング指導とは
欧米文化との対比を意識
日本と欧米文化の違いに関する研究は、1970年代から活発に行われ、特に文化的対称性に焦点が当てられています。Damenの研究によれば、日本は単一国家による単一言語の使用で同質性を好み、対人関係に対しても補助的で形式を重んじる傾向があるとされています。
関係する価値観 | アメリカ | 日本 |
---|---|---|
社会と文化の本質 |
異種混合(Heterogeneity) 水平の社会(Horizontal society) 行動(Doing) 押し(Pushing) |
同質(Homogeneity) 垂直性(Verticality) 存在(Being) 引き(Pulling) |
対人関係 |
独立(Independence) 対称的関係(Symmetrical) 形式ばらない(Informality) |
個人より全体(We over I) 補助的関係(Complementary) 形式(Formality) |
引用:日本人のための英語ライティング講座 p17
さらにレトリック(修辞法)という観点では、日本語は言わずともわかると聞き手や読み手に理解を求める傾向があり、アメリカの相手を説得するための無駄のない直線的ロジックとは真っ向から対立しています。
引用:Kaplan's (1966) diagram presenting cross-cultural differences in paragraph organization in the study on cultural thought patterns in intercultural education
英語ライティング指導においては、日本語学習者の根強い日本文化を自覚させて、英語らしい英語を書かせるために、英語の直線的ロジックに慣れさせる必要があります。
日本人英語の誤り
次は日本人が書く英語の誤りの例をみていきましょう。柏木氏が書いた「日本人のための英語ライティング講座」の中から、主語と動詞に関する誤りをいくつか紹介します。
日本人の主語+動詞の誤り
- I am walk every morning.(be動詞と一般動詞の併用)
- I walking now.(be動詞がない進行形)
- Let's discuss about the issue.(他動詞を自動詞のように使う)
引用:「日本人のための英語ライティング講座
本書では最近では英語でのプレゼンテーションが定着して、パワーポイント用シートに初略した英語を混用するケースが多くなったとも指摘しています。省略可能な部分(be動詞や冠詞)と、そうでない語句を理解する必要があります。
学習者コーパスを使って、東京外国語大学の学生111人を対象に前置詞の誤用に対する研究が実施されました。使用型誤用で最も誤用率が高かったのは「in」(inを使うべきではないのに使ってしまったケース)、非用型誤用のトップは「during」(duringを使うべきなのに、別の前置詞を使用したケース)という結果となりました。
引用:学習者コーパスを用いた日本人英語学習者の前置詞誤用パタンの抽出
フルーツイングリッシュは英作文添削サービスを提供しているサイトで、これまでの50万件以上の添削実績があり、統計的に日本人が苦手な文法を把握しています。下記がワーストランキングで、特に冠詞、時制、前置詞の間違いが多くなっています。日本人英語の典型的な誤りを意識することで、今後のライティング学習に活かすことができます。
日本人が苦手な文法ランキング
- ワースト1位 冠詞
- ワースト2位 時制
- ワースト3位 前置詞
- ワースト4位 関係代名詞
- ワースト5位 助動詞
引用:フルーツイングリッシュより引用
アメリカの小学校でのライティング指導
リーパーすみ子氏は日本の小学校にあたる幼稚園〜小学5年の6年間に渡り、一人の少年のライティングの成長過程を追跡しました。その成長日記によると、アメリカの小学校では下記のステップで英文ライティング力をつけていくとされています。
小学校のライティング授業
- 幼稚園:書くことに慣れる・楽しむ
- 1年生:4スクエア
- 2年生:単語のスペリングに気をつける
- 3年生:ウェップを活用して文章を書く
- 4年生:インバーテッド・トライアングルで内容を深める
- 5年生:書く前に綿密に計画を立てる
引用:アメリカの小学校に学ぶ英語の書き方
小学校のライティング指導の中核を担うのが、フォー・スクエア・ライティング・メソッド(Four Square Writing Method)で、教育学者のJudith Gould氏が考案したメソッドで、書くという作業に四角のVisual Organaizer(ビュジュアル・オーガナイザー)を取り入れたとして注目を集めました。
引用:Slidetodoc | Four Square Writing Method Right click to view
上記のように長方形を4つに分けて中央に主張を書きます。主張の理由や詳細情報を左下、右上、左下に記入していきます。再度にまとめの文を右下に書いたら完了です。主張の展開方法を視覚的に整理することで、書く行為をより楽しくさせることができます。
↓↓簡易的なFour Square Writing Method
4、5年生になると4スクエアで整理した内容をさらに発展させるため、Inverted Triangle(インバーテッド・トライアングル)が取り入れることで、複数のパラグラフから構成させるエッセイの作成を目指していきます。 メインアイデアを広義的→具体的に展開させることがポイントです。
引用:アメリカの小学校に学ぶ英語の書き方 p60
ライティング補助タスク
センテンスコンバイニング
センテンスコンバイニング(Sentence-Combining)とは英語の短文を学習者が繋ぎ合わせる訓練法で、元々は母語教育のために考案されたものです。1960年代からアメリカでライティングのカリキュラムに導入され、母語教育でも一定の成果を得ました。
センテンスコンバイニングの種類
- Basic Pattern Exercise(2つの文を接続詞等を使ってつなげる)
- Creative Pattern Exercise(2つの文の因果関係を考えてつなげる)
- Story making Exercise(複数の短文を並び変える)
引用:ライティング指導における Sentence− Combiningに関してより一部編集
センテンスコンバイニングのねらい
- 構造的に複雑な文を産出
- 文章全体の質を高める
- 読解力を高める
- 作業に意欲的に取り組ませる
- 自分で使ったことのない文法構造になれる
引用:ライティング指導における Sentence− Combiningに関してより一部編集
ESL(英語を第二言語として勉強する生徒)生徒を対象にした研究においても、使用する文の語・節の数が増えより複雑な文をかけるようになり、作文の質が高まったという研究も数多くあるようです。
ディクトグロス
ディクトグロス(Dictogloss)とはWajnryb (1990)が考案した英語学習のメソッドで、リスニングを頼りに英文を復元させていきます。クラスルームディクテーションと定義されているように、複数の学習者が協力してトレーニングするのも特徴です。
Dictogloss is a classroom dictation activity where learners are required to reconstruct a short text by listening and noting down key words, which are then used as a base for reconstruction.
引用:British council|Dictogloss
ポイントは英文の知識と聞こえた音声を総動員して英文を復元させていくことです。個人でも実践できますが、ペアやグループでトレーニングした方が自分では気づかない英語の穴に気づくことができるので、より効果が高まると言われています。
↓↓詳しい内容はこちら
英語ライティングの添削
ライティングの誤り訂正の種類
英文中の誤りを教師などの第三者が訂正することを「筆記訂正フィードバック」(written corrective feedback )と呼びます。ライティングの誤り訂正は、次の3つに分類されます。メタ言語訂正とは誤りの種類ごとにコードや印を決める手法で、間接訂正を発展したものです。
ライティングにおける誤り訂正
- 直接訂正(direct corrective feedback)
- 間接訂正(dindirect corrective feedback)
- メタ言語訂正(metalinguiistic feedback)
引用:英語学習の科学 p139
先生や指導者からフィードバックをもらったら、「なぜこの英文は間違いか」「なぜ先生はこの項目を指導したか」を意識することで、より正しい英文が書けるようになるという研究も報告されています。
プロセスライティング
プロセスライティングとは
プロセスライティングとは1980年代にアメリカで広まったライティングトレーニングの一つで、1つの課題に対して添削と修正を繰り返しながら、英文の構成や文章表現を学ぶ英語学習法です。書くプロセス(過程)を重視し、英語学習者(生徒)と講師が協同して文章を作り上げる指導法です。講師は添削時に間違っている箇所を書き直したり、どう直せばよいかを明示したりはせず、修正が必要な箇所を記号などで簡単に指示するのが特徴です。
プロセスライティングでは自分で書いた英文を何度も読み返しながら改善していくことで、英文の論理展開の仕方や単語力、表現力等を総合的に学ぶことができます。
プロセスライティングの効果
ある研究で、EFL(英語を外国語として学ぶ生徒)を対象にプロセスライティングの学習成果を検証しました。エッセイ全体を導入文、展開文、結論文に分けて検証し、プロセスライティング前に行った事前テスト、指導に実施された事後テストの平均点を比較しました。結果は全てのパラグラフで事後テストの点数が高くなりました。特に展開文(Content of Development Paragrahs)においては高い成果がありました。
引用:The Effect of Process Writing Activities on the Writing Skills of Prospective Turkish Teachers.
英語ライティング学習のポイント
ライティング活動と文法学習のタイミング
ライティング力を向上させるためには文法の力を伸ばすことが必要ですが、どのタイミングで学習をするのか悩むところです。文法とライティング力の組み合わせについて、一つの研究が行われました。(Shintani,2017):英語学習の科学 p143〜
まず、習熟度の低い学習者は最初に文法項目を学び知識を得てから、それをライティング活動に活かすことが効果的だと報告されています。これは当然と言える結果で、文法の体系的な知識がないと正しい英文が書けないということでしょう。
一方で、習熟度の高い学習者には文法説明などの外部情報を活用して文法をチェックする(途中学習)ことや、書き終わった後に自ら校正を行った(事後学習)プロセスが有効に働くと報告されています。学習の上級者は文法知識を主体的に活用する姿勢が求められます。
文法学習のタイミング
- 習熟度の低い学習者:最初に文法項目を学ぶのが効果的
- 習熟度の高い学習者:書きながら文法をチェック
英語コーパスの活用
コーパスを英語学習に活用することで、様々な効果があることが実証されています。日本では英作文の精度を上げる効果(単語の正しいコロケーションや、前置詞の選択など、より正しい英語を書くことができる)が期待され、英作文の指導にも応用されているようです。アメリカのコロンビア大学が実施した研究では、CI(コーパスが導入されいている文法書)を使ったEFL生徒(英語を外国語としている生徒)の成績(文法テストのスコア)が向上するという結果が出ました。
引用:Exploring the effect of corpus-informed and conventional homework materials on fostering EFL students’ grammatical construction learning,2022
また、corpusの研究によって学習者のレベルごとに異なったライティング文指導が必要だという議論もなされています。下記のチャートで示す通り、英語初級者(A1、A2)は、動詞+名詞の文を作る際に、名詞の語彙数が少ないという結果が出ています。つまり、英作文指導では、学習者のレベルごとに別々の指導が必要で、英語学習者自身も初学段階では背伸びせずにシンプル英語を心がけるべきだとも言えるでしょう。
コーパスについて丁寧に解説しています↓↓
チャンク・ディスコーコースマーカーの活用
英作文でチャンクを使うと、考える際の負担を軽くすることができます。つまり言語を産出する際にかかる認知的負荷(cognitive burden)が軽減されて、その他の処理(書く内容を考えるなど)に認知資源(cognitive resources)を割くことができます。
ディスコースマーカーはライティングでも非常に役立ちます。効果的に使うことで、説得力のある英文が書けるようになるからです。何かを主張したい時、相手に納得してもらうには論理的に伝えることが重要。ディスコースマーカーを使えば、結論・理由・具体例など各文の役割がクリアになるため、効果的に相手に伝わる文章が書けます。
↓↓種類別に解説されています
英語パラグラフライティング
パラグラフライティングとは
パラグラフライティングとは文章のまとまりを作るルールと,各まとまりの中での文の配置のルールにしたがって文章を書くテクニックです。整合性とまとまりのある英文を書くためには、パラグラフ(paragraph)を意識したライティングが有効です。多少英文それぞれがぎこちなくても、パラグラフ全体の幹がしっかりしていれば相手に伝わります。
日本の段落は文章を読みやすいところで一字下げて区切ったものですが、英語のパラグラフはトピック(アイデア)の単位です。パラグラフ全体で一つの考えでまとまっている必要があります。
英語パラグラフの構成要素と構造
日本語と英語の対照レトリック(contrastive rhetoric)を専門としたJohn HInds氏は日本語は読み手が責任をもつ(reader-responsible)であるのに対して、英語の文章は書き手が責任をもつ(writer-responsible)と唱えています。
Tell them what you are going to tell them. Tell them. And tell them what you have told them.
引用:パラグラフ・ライティング指導入門 p21
英語パラグラフを使って不特定多数の人に伝えるためには、下記の3つの要素が必要不可欠です。主に冒頭で書かれるトピックセンテンスは、そのパラグラフのテーマを述べる文です。そのテーマを支えるのが支持文で主にパラグラフの中程で展開されます。最後に結論文を述べます。
英語パラグラフを構成する3つの要素
- 1. トピックセンテンス(topic sentence)
- 2. 支持文(supporting sentence)
- 3. 結論文(concluding sentence)
引用:パラグラフ・ライティング指導入門 p.24
英語パラグラフの特色
接続関係(conjunction)
パラグラフの結束生を体系的にまとめたのがHaliday and Hasan氏で、彼らの著書である「Cohesion in English」で指示、代用、省略、接続関係、語彙の関連が重要だと唱えています。特に接続表現を正しく使い分ける事が結束生を守る上で大切だと言われています。
代表的な接続表現
- 追加(additive):and, moreover, also, additonally
- 逆説(adversative):but, however, yet, on the other hand
- 因果関係(casual):because, as a result
- 時間・順序(temporal):first, finally, then
- その他(other):after all. now, well
引用:パラグラフ・ライティング指導入門 p35
これらの「つなぎことば」の有効活用により学習者の作文の質が高まるという研究は数多くあり、読み手にとってわかりやすいだけではなく書き手自身も考えや内容をより深めることができるとも報告されています。
語彙の連関(lexical chain)
ここでは関連する語彙がチェーンのように意味の連想を形成していくことを連関していると言います。日本語では同じ語句の使い回しは許されますが、英語では好ましくないと言われています。
語の言い換えの例
- 類義語(synonym)
- 包摂関係(hyponymy)
- 換喩(metonymy)
- 対立後(antonym)
同じ語句を使い回すよりも、様々な類義で表すと英語話者にとってより好まれる文章となります。英文を書く際に似たような意味の英単語が思い浮かんだら類義語辞典などを使ってニュアンスの違いを確認する必要があります。
上位概念と下位概念
英語の文章をより論理的に展開するためには、文章の抽象度を調整する必要があります。文頭に来るトピックセンテンスは基本的に抽象度が高くなっているため、その後のサポートセンテンスでより具体的に説明する必要があります。
下位概念→上位概念の例
- さつまいも、柿、栗→食べ物:(food)
- 秋祭り、運動会、遠足→行事:(activities)
- 紅葉、澄み切った青空→景色:(scenery)
サポートセンテンスが決まってアイデアの形成ができたら、上記のようにカテゴリーごとにグループ化することで下位概念と上位概念を整理しやすくなります。
英語パラグラフの作成過程
ここからは英語パラグラフの特徴を踏まえて、実際の作成過程について解説します。英語パラグラフは基本的に3つのステップで作成されます。
英語パラグラフの作成過程
- Step1:アイデアの発見
- Step2:アウトライン作り
- Step3:結束生を高める活動
最初のステップでは、書くべき内容を見つけるための活動をします。代表的なものは、mind-map、clustering、listingなどがあります。マインドマップが最も使用されるケースが多く、簡単にアイデアを抽出できます。マインドマップを使ったアイデアの発見は、ブレインストーミングとも言われます。
アイデアの問いかけ(heuristic questions)も重要で、事前に質問事項を準備することで、必要なサポート文が浮かび上がってきます。もう一つ体系的なアイデア発見法としてキュービングもあります。6つの側面から書くべきテーマを分析することで、より内容が充実します。
英語ライティングの独学方法
Step1 英語の枠組みで明確に伝える
ディノテーションとコノテーション
同じものを指している2つの単語でも、それぞれ語感やニュアンスが実際に違う場合があります。辞書レベルでの意味を「ディノテーション(denotation)」、微妙な感じを含む意味を「コノテーション(conotation)」と呼びます。
Unfavorable | Neutral | Faborable | |
---|---|---|---|
安楽死 | Legal murder | enthansia | Mercy killling |
避妊 | Birth control | Contraception | Family planning |
諜報 | Spying | Surveilance | Inteligence |
商売 | peddling | Selling | marketing |
放尿 | Farting | Flatulation | Breaking wind |
精神異常の | Crazy | psychotic | Mentally unbalanced |
癌 | Cancer | carcinoma | Lingering illness |
雨の | Soggy(day) | Rainy(day) | misty(day) |
引用:英語論文・レポートの書き方 p15 ~16を参考に作成
日頃から自分が使う英語のディノテーションとコノテーションを意識することで、英語の枠組み中で正しく相手に伝えることができるようになります。
↓↓英語らしさを身につけるためにはどうすれば良いか解説してます。
コロケーション
日本語の帽子をかぶる、靴をはくのように同じような動作であっても、対象が異なると別の動詞を使うように、英語でもdrink milk(牛乳を飲む)、take medicine(薬を飲む)のように使い分けます。
Ploblem | Amount | shame | man | |
---|---|---|---|---|
Large | ? | ○ | ✖️ | ○ |
Great | ○ | ○ | ○ | ○ |
big | ○ | ○ | ✖️ | ○ |
Major | ○ | ? | ✖️ | ✖️ |
引用:英語論文・レポートの書き方 p17
日頃の英語学習においてもコロケーションを意識することで、より自然な英文を書くことができます
Step2 情報を整理
パラグラフリーディグを心がける
日頃からパラグラフ単位で筆者の言いたいことを考えるパラグラフリーディングを意識することで、パラグラフを書く力の向上にもつながります。パラグラフリーディングを解説した教材は数多くありますが、シグナル(テキストマーカー)に意識的に着目するトレーニングとしては「パラグラフリーディングのストラテジー読み方・解き方編」がおすすめです。パラグラフリーディングを活かした、英文の読み方を丁寧に解説しているだけではなく、徹底的にテキストマーカーを意識させる内容となっています。
パラグラフの冒頭や結論を重視しながら、メリハリをもって読解する習慣が身につきます。なんとなく漠然と英文を読むということがなくなっていきます。
評論文頻出の論理展開パターンを理解
- 論理マーカーに注目
- 筆者のイイタイコトの出現パターンを知る
- 反復回避の3パターンを意識して英文を読む
- 未知語の正しい類推方法を知る
引用:パラグラフリーディングのストラテジー読み方・解き方編
解説では実際のパラグラフ単位で読解のイメージを論理マーカーに着目して振り返ってくれるので、自分の読みを検証することができます。
パラフレージング
パラフレージングとは文の語彙や表現、文法構造などを別のものに書き換えることです。その主要な目的は読み手にとって、さらにわかりやすくすることです。下記の表のように可能な限り、誰にでも伝わる表現を使う事が大切です。※難しい表現を使って、読み手を惹きつける場合は除く。
パラフレーズ前 | パラフレーズ後 | 意味 |
---|---|---|
Vacate | leave | 立ち退く |
Reveal | show | 表す |
acquire | get | 手に入れる |
eventuate | Happen | 起こる |
In the commencement | At first | 最初は |
feasible | possilble | 可能な |
aptimum | best | 最高の |
Give assistance to | assitst | 援助する |
Reach a decsion | Decide | 決める |
Have a preference to | prefer | 好む |
In the course of time | Soon | やがて |
According to the law | Legally | 合法的に |
In advance of | before | 先立って、前に |
A sufficient amount of | enough | 十分な |
Give an account of | describe | 説明する |
引用:英語エッセイ・ライティング p143
Step3 リライトとレビュー
パラグラフは書きっぱなしではなく、勉強仲間と互いの作文を読み合う(peer review)や英語ネイティブにフィードバックをもられることで新たな気づきが生まれ、スムーズな書き直し(rewrite)につなげることができます。パラグラフの一貫性、つなぎ言葉、パラグラフの構成要素を満たしているかチェック項目を設けて、採点をもらうのも良いかもしれません。客観的な文章を書いたはずでも、読み手に評価してもらうことでパラグラフライティングの穴に気づくことができます。
レビューをもらえない環境でもWEB上で相互に添削し合うサービスや無料の添削ツールもあります。パラグラフ全体の評価は難しくても、文法の誤りや適切ではない語彙を確認できるサービスもあります。
参考
Gfl-journal | Cognitive Models of Writing
Research gate | New Directions in Writing Theory
千葉大学教育学部研究紀要 | 「知識伝達モデル」から「知識変形モデル」への 発展を志向するアカデミック・ライティング指導
神戸大学リポジトリ | 学習者コーパスを用いた日本人英語学習者の前置詞誤用パタンの抽出
FRUITFUL ENGLISH | 日本人が苦手な文法ランキング
中国地区英語教 育学会研究紀要』Na25 | ライティング指導における Sentence− Combiningに関して
CiNii | 英語ライティングプロセス・モデルの一提案 : 初級・中級英語学習者に焦点を合わせて (井狩幸男教授退任記念)