はじめに
今回はスペイン語は簡単?難しい!?という問いを考えていきます。私の考えでは、動詞の活用や代名詞などすこし複雑なところもありますが、比較的簡単に学習できる言語だと思います。私のスペイン語学習の経験も踏まえて、簡単なところ・難しいところを紹介していきます。スペイン語の難易度や特徴も丁寧に解説していきます。
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スペイン語の特徴
スペイン語の語派
言語には様々な語派(ルーツ)があります。欧州に存在する主な語派は3つあります。スペイン語はロマンス語派に属している言語です。ロマンス語派に属している他の言語は、フランス語やイタリア語です。一方で、英語はドイツ語と同じゲルマン語派に属しています。もう一つはチェコ語やロシア語が属しているスラブ語派で、東欧の国々広がっています。実は単語レベルではロマンス語派とゲルマン語派はよく似ています。
欧州の主な語派
引用:Map of languages and language families of Europe
例えば、家族という単語は英語では「Family」ですが、他の言語ではどうでしょうか。ゲルマン語派とロマンス語派ではかなり単語が類似しています。但し、スラブ語派はかなり違ってきます。
ゲルマン語派 | |
---|---|
英語 | Family |
ドイツ語 | Familie |
スウェーデン語 | Familj |
ロマンス語派 | |
フランス語 | Famille |
スペイン語 | Familia |
イタリア語 | Famiglia |
スラブ語派 | |
ポーランド語 | Rodzina |
チェコ語 | Rodina |
言語話者数
引用:Ethnologue The Ethnologue 200
Ethnologueが発表した「The 10 most spoken languages」によれば、スペイン語の話者は英語、中国、ヒンディー語に続く4位にランクインされています。
言語の話者数ランキング
第一言語 | 第二言語 | トータル | |
---|---|---|---|
英語 | 369.9million | 978.2million | 1.348billion |
中国語 | 921.2 million | 198.7 million | 1.120 billion |
ヒンディー語 | 342.2 million | 258.3million | 600million |
スペイン語 | 471.4million | 71.5 million | 543million |
フランス語 | 79.6 million | 187.4million | 267 million |
引用:wikipedia List of languages by total number of speakersより作成
実はスペイン語を第一言語としている話者は英語より多く、中国語に続く2位にランクインされています。スペイン語を学習すれば、多くの母国語の話者と繋がることができます。
話されている国
スペイン語は国連でも公用語として話されている重要な言語です。スペイン本土だけではなく、中央アメリカ・南アフリカの幅広い地域で話されています。
公用語の国
- スペイン
- メキシコ
- コスタリカ
- グアテマラ
- エルサルバドル
- パナマ
- ホンジュラス
- ニカラグア
- キューバ
- ドミニカ共和国
- プエルトリコ
- コロンビア
- ベネズエラ
- エクアドル
- ペルー
- ボリビア
- チリ
- アルゼンチン
- ウルグアイ
- パラグアイ
- 赤道ギニア
- サハラ・アラブ民主共和国
中南米はかつてスペインの植民地だった歴史的背景で、本土のスペイン語が少しずつ変化をしながら中南米式スペイン語になりました。発音、アクセント、文法、単語などにも多様性があります。スペイン語を学習するだけで多様な文化にも触れることができるのも魅力ではないでしょうか。
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スペイン語の文法
屈折語の語形変化
スペイン語はフランス語やイタリア語同様にロマンス語派に属している言語でした。ロマンス語派やゲルマン語派は単語の語形を変化させて文章を組み立てる屈折語に分類されています。
屈折語における語形変化
- ディクレンション:名詞および形容詞の変化
- コンジュゲーション:主語の人称や数、文法的機能に合わせた動詞の変化
引用:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』屈折語
屈折語には主にディクレンション、コンジュゲーションという語形変化の特徴があります。ヨーロッパの言語には多かれ少なかれ、語形変化を覚える必要があります。例えば、スペイン語の形容詞ディクレンションでは、形容詞の語尾が前後の名詞の性によって変化します。語尾が「男性→a」、「女性→a」と多くの形容詞が規則的に変化します。
ディクレンションの例(スペイン語の形容詞の性による変化)
白い | 薄い | 短い | 長い | 太った | |
---|---|---|---|---|---|
男 | blanco | fino | corto | largo | gordo |
女 | blanca | fina | corta | larga | gorda |
コンジュゲーションは英語学習経験者には馴染みがあるはずです。動詞が主語によって変化する( I am, She is, We are )のは感覚的に理解できるかもしれません。但し、スペイン語は一般動詞も主語によって変化するので注意が必要です。
コンジュゲーションの例(スペイン語の動詞の変化)
一人称 | 二人称 | 三人称 | |
---|---|---|---|
comer(食べる) | como | comes | come |
vivir(住む) | vivo | vives | vive |
文法の特徴
スペイン語には様々な文法的特徴があります。学習を始めた頃は、逆さまの疑問符や感嘆符に戸惑ったり、アクセント記号を付け忘れたりすることがあります。スペイン語は日本語同様に、よく主語を省略する言語です。自由度が高い言語で慣れるまで時間がかかりますが、一度慣れてしまえば急速に語学力が上がっていきます。最低限の文法をまずは、覚えることが柔軟な思考ができるようになります。
スペイン語の特徴
- 逆さまの疑問符や感嘆符を文頭に付ける
- アクセント記号を付ける
- 名詞に性別がある
- 主語によって動詞が変化する
- 形容詞は性数一致
- 語順の自由度が高い
- 主語を省略しても通じる
- 状態や存在の「〜である」を意味する動詞が2種類ある
- 名詞によって冠詞が変化する
- 過去・現在・未来などの時制が複雑
引用:Langland|スペイン語の文法-初心者が知っておくべき10の基本ルール
スペインの文化
スペインの有名な都市は、バルセロナ・マドリード・バレンシアでそれぞれに特徴があります。気候は過ごしやすく、年平均で260日以上晴れの日があるようです。人々はフレンドリーな人が多く、スローライフを好むようです。ビーチやリゾートを目当てに、世界中から毎年多くの観光客がやってくるリゾート大国の顔としても注目されています。
Spain. Interesting Facts About Spain(スペインの魅力)
- バルセロナ:コスモポリタンの都市、世界遺産、美しいビーチ
- マドリード:スペインの首都、ビジネスセンター、ナイトライフ
- バレンシア:美術と科学、近代的な建造物
- 気候:過ごしやすい気候、平均して260日以上晴れる
- 道:683.175km(道の長さ)、バイクは欧州でトップの利用率
- 経済:EUで5番目の経済力、ワインは世界3位の生産、風力発電
- 家:66%がアパートに住む
- 給料:平均1718 Euro/月
- 人々:フレンドリーで明るい、スローライフを好む
- 観光:欧州で2番目の観光客、ビーチやリゾート
- 島:イビサ島、テネリフェ島、マジョルカ島など
- 食べ物:多様な食べ物、ハモン、パエリア
- スポーツ:フットボール
スペイン語は難しい?
動詞の活用
スペイン語はさきほど説明したように屈折語に属するので、動詞の語形変化を覚える必要があります。規則的に変化する動詞だけではなく、不規則に変化する動詞を覚える負担があります。スペイン語では主語が省略される場合が多いので、動詞の語形変化から主語を即座に判断する必要があります。
例えば、話すという動詞は原型は「hablar」ですが、主語によってhablo、hablasと変化します。100の頻出動詞のうち、4割近くは不規則に活用する動詞と言われてます。
「hablar」の活用
- hablo(1人称単数)
- hablas(2人称単数)
- habla(3人称単数)
- hablamos(1人称複数)
- habláis(2人称複数)
- hablan(3人称複数)
人称代名詞
人称代名詞には直接目的語と関節目的語があります。英語的な発想だけでは一度でマスターするのはかなり難しいです。例えば、「それ」を表す代名詞は既出の名詞が女性名詞なのか、男性名詞なのかを判断して、使い分ける必要があります。
単数(直接/間接) | 複数(直接/間接) | |
---|---|---|
私(たち)を | me(直接・間接目的語共通) | nos(直接・間接目的語共通) |
きみ(たち)を | te(直接・間接目的語共通) | os(直接・間接目的語共通) |
彼(ら)を/あなた(方)を | lo(le)/ le | los(les)/le |
彼女(ら)を/あなた(方)を | la/ le | las/le |
それ(ら)を(男性名詞) | lo(直接目的語のみ) | los(直接目的語のみ) |
それ(ら)を(女性名詞) | la(直接目的語のみ) | las(直接目的語のみ) |
スペイン語は簡単?
発音
スペイン語の発音は比較的簡単だと言われていますが、本当にそうでしょうか?その理由、スペイン語の音の数が近いからだと言われています。特に、スペイン語も日本語も母音の数は5つです。母音の性質もかなり似ていて、日本語の「アイウエオ」と大きな違いはありません。
母音 | 子音 | 総音数 | |
---|---|---|---|
リトアニア語 | 12 | 47 | 59 |
デンマーク語 | 32 | 20 | 52 |
ヒンドゥー語 | 11 | 37 | 48 |
ウェールズ語 | 14 | 31 | 45 |
ドイツ語 | 20 | 25 | 45 |
ベラルーシ語 | 6 | 39 | 45 |
ノルウェー語 | 19 | 25 | 44 |
アイルランド語 | 11 | 33 | 44 |
ブルガリア語 | 8 | 36 | 44 |
ハンガリー語 | 14 | 27 | 41 |
ウクライナ語 | 6 | 34 | 40 |
ロシア語 | 6 | 34 | 40 |
スロバキア語 | 10 | 29 | 39 |
ラトビア語 | 12 | 27 | 39 |
フランス語 | 17 | 22 | 39 |
エストニア語 | 9 | 30 | 39 |
オランダ語 | 16 | 23 | 39 |
アイスランド語 | 16 | 22 | 38 |
ポルトガル語 | 14 | 23 | 37 |
ポーランド語 | 6 | 31 | 37 |
チェコ語 | 10 | 27 | 37 |
アルバニア語 | 7 | 30 | 37 |
英語 | 12 | 24 | 36 |
カタロニア語 | 8 | 28 | 36 |
スウェーデン語 | 17 | 18 | 35 |
北京語 | 9 | 26 | 35 |
フィンランド語 | 16 | 18 | 34 |
アラビア語 | 6 | 28 | 34 |
ハウサ語 | 10 | 24 | 34 |
エスペラント語 | 5 | 27 | 32 |
ペルシア語 | 6 | 26 | 32 |
トルコ語 | 8 | 23 | 31 |
セルビア・クロアチア語 | 5 | 25 | 30 |
イタリア語 | 7 | 23 | 30 |
バスク語 | 6 | 24 | 30 |
ルーマニア語 | 7 | 22 | 29 |
ガリシア語 | 7 | 19 | 26 |
スペイン語 | 5 | 20 | 25 |
ギリシア語 | 5 | 18 | 23 |
日本語 | 5 | 17 | 22 |
引用: These are the languages that have the most sounds. ※総音数の数え方は諸説あるようです。 但し、スペイン語と日本語は総音数が比較的少ない言語とは言えるでしょう。
単語
スペイン語の単語は英語の単語に近いものもたくさんあるので、英語を習得した人であれば比較的簡単に語彙力を高めることができます。ラテン語やゲルマン語系の言葉は似ている語句もたくさんります。特に頻出の形容詞は、英語の単語に近い語彙が多いので効率的に学習をすすめることができます。
スペイン語の難易度
スペイン語は学びやすい外国語
ディラ国際語学アカデミーがまとめた調査によると、日本人にとって比較的易しい言語は韓国語とスペイン語という結果になりました。韓国語がカテゴリーIに分類されているので最も易しい言語と言えそうです。カテゴリーIIに属するスペイン語・中国語も比較的取得しやすい言語ということでしゅう。フランス語・ドイツ語は比較的難しい言語のカテゴリーIIIに属するという結果になりました。
引用:ディラ国際アカデミー
言語習得時間
スペイン語は英語ネイティブにとって比較的学習しやすい言語のカテゴリー1に属しています。英語からの言語間の距離が近く似ている部分が多いからです。もし、英語が堪能な日本語学習者であれば下記の時間は参考になるかもしれません。
英語からの距離(英語ネイティブの学習必要時間)
- カテゴリー1:23~24週(575~600時間)フランス語、スペイン語など
- カテゴリー2:30週(750時間)ドイツ語
- カテゴリー3:36週(900時間)ー
- カテゴリー4:44週(1100時間)ロシア語
- カテゴリー5:88週(2200時間)中国語、韓国語
引用:Language Difficulty Rankingから抜粋
私の経験では、まずは最低35時間(5時間✗7日)で基礎を固めることができます。1週間で基本の名詞・形容詞、動詞の活用をマスターしていきます。次の105時間(5時間✗21日)で不規則活用の動詞、人称代名詞、時制などを学習します。合計140時間でスペイン語の基礎体力を付けることができると思います。
おすすめなのは、検定合格などの目標を作って学習をすすめることです。スペイン語は比較的自由度が高い言語なので、柔軟な思考が求められます。その土台には基礎的な文法を体に染み込ませる必要があります。基礎文法は短期集中でマスターするのが良いでしょう。下記の記事を参考に学習をすすめていきましょう。
1週目はこちら↓↓(名詞、冠子、形容詞、動詞の活用、疑問詞など)
2週目〜 からはこちら↓↓(不規則活用の動詞、人称代名詞、時制など)
参考
Jakub Marian’s | Map of languages and language families of Europe
Ethnologue|What are the top 200 most spoken languages?
wikipedia|List of languages by total number of speakers
Babbel|Are There Differences Between Spanish In Latin America And Spain?
CoolVision|Spain. Interesting Facts About Spain
The Language Nerds|These are the languages that have the most sounds
Visualcapitalist|Map: Language Difficulty Ranking For English Speakers