早期英語教育とは? メリット・デメリットを徹底検証 効率的な英語学習法のヒントは??

はじめに

今回は早期英語教育とは?というテーマで小学校英語教育について改めて考えてみました。ここ数年早期英語教育熱が高まっているので、そのメリット・デメリットや問題点などの現状を徹底的に考えていきたいと思います。理論面では、早期英語教育をめぐる2大論点を外観しながら、小学校英語教育法を解説していきます。最後に、子供への効率的な英語学習方法を考えていきます。

 

↓↓英語学習動画も随時追加するので、登録よろしくお願いします。

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主な参考文献

 

「児童英語教育を学ぶ人のために」

 

「新学習指導要領にもとづく 英語科教育法」

 

「日本の小学校英語を考える」

 

小学校英語教育法入門」

 

小学校英語指導法ハンドブック」

 

バイリンガル教育の方法」

 

小学校英語と中学校英語を結ぶ」

 

日本の小学校英語教育

小学校英語教育

小学校英語教育とは?

日本の小学校英語教育は2002年に3年生以上の生徒に対して「総合的な学習の時間」の中で、国際理解に関する学習の流れで外国語活動ができるようになり、本格的にスタートしました。近年では2020年に英語学習が小学校で必修化され小学校英語教育について活発に議論がされるようになっています。

 

www.j-shine.org

 

小学校英語指導者認定協議会 (J-SHINE) は、日本における「小学校での英語教育の普及・発展を支援する」という趣旨のもと、2003 年 に特定非営利活動法人としての申請を行い、民間主導で設立された英語教育指導者の資格認定を行うNPO法人です。このような英語教育指導者の育成が求められています。

小学校英語教育導入の背景

小学校で外国語活動が導入されたきっかけは外国語教育、特に英語教育が世界各国と比べて著しく遅れをとっていたからで、産業界や政府の諮問機関からしばしば批判を受けていました。日本人の英語運用能力を高めるために、早期英語教育が叫ばれました。2021年の英語ランキングを見ても、まだ先進国に比べて遅れをとっています。

 

英語ランキング

引用:EF EPI 2021 – EF 英語能力指数

 

中国と韓国のTOEFLの点数を比較しても、大きく点数を離されています。日本人が得意とするリーディングも低くなっているのは驚きです。

 

  リーディング リスニング スピーキング ライティング 合計
韓国 21 21 20 21 83
中国 21 19 19 20 79
日本 18 18 17 18 71

引用:TestsTest and Score Data Summary, 2019

 

日本の英語教育の歴史

文明開花と実学英語

日本の英語教育の始動は幕末期まで遡ることができます。当時は西洋文化を吸収するために実学中心主義でしたが、明治14年には森有礼文部科学大臣になると英語推進の動きに拍車がかかり英語熱は高まっていきました。

 

英語(外国語の)授業時間数 ※尋常中学校(12歳以上、5年間の場合)

  1年生 2年生 3年生 4年生 5年生
明治14年 6 6 6 6 6
明治19年 6 6 7 5 5
明治27年 6 7 7 7 7
明治34年 7 7 7 7 6
明治44年 6 7 7 7 7

引用:日本における英語教育の歴史と現状の課題 英語科教育法Ⅰ-1

 

明治14年から〜44年の英語の従業時間数は週に5〜7時間確保されていました。数学や歴史地理が週に3〜4時間ということを考えると、英語学習に力を入れていた事がわかります。

英語教育改革と英語排斥運動

大正11年には、イギリスからパーマー氏(Harold E. Palmer)が来日して英語教育の大きな転換点となりました。そこでは母語を介しないオーラル・ワーク(口頭作業)を重視するオーラルメソッドの普及に努めました。オーラルメソッドはこれまでの文法・訳読中心主義の教授法に対立する教授法として開発されました。

 

彼は文部省の英語教授顧問として活躍し、英語学習において実際の生活場面でコミュニケーションの道具として使えるような技術、すなわち「speech」の重要性を説き、以下の5つの習性をキーワードに挙げました。

 

パーマー氏の5つの習性

  • 音声の観察(auditory observation)
  • 口頭での模倣(oral imitation)
  • 口頭での反復(catenizing)
  • 意味化(semanticizing)
  • 類推による作文(composition by analogy)

引用:パーマーのオーラル・メソッド受容についての一考察より作成

 

但し大正12年1924年)にアメリカで日本からの移民を禁止する新移民法が制定されると、日本で英語を廃止する動きが活発になります。その後昭和に入り、国家主義的な風潮が顕著になる中で、大学では英米人の教師が解雇されるなど、英語排斥運動が出てきてしまいます。

大衆英語

戦後のになると再び英語ブームが再熱しラジオの英会話講義が始まりました。昭和22年(1947年)に教育基本法・学校教育法が公布され、6・3・3制が始まり、中学教育過程に選択学科として外国語が盛り込まれるなど、英語教育の整備が進んでいきます。その後、昭和40年代には大学進学者が100万人を超え、高校進学率も90%を突破し、教育の大衆化時代に突入します。日本経済が発展する中で、事業界を中心に学校教育で実用的な英語を教えるべきであるという声が高まっていきます。

 

www.seibundo-shinkosha.net

 

昭和22年(1947年)に出版された「日米会話手帳」は当時360万部を売れたそうで、多くの人が英会話に興味をもっていたのかわかります。復刻版が出ているようなので、興味がある方はチェックしてみてください。

 

コミュニケーション英語と外国語必修化

グローバル化が進む中で従来の日本の英語教育では国際競争力を持つ事ができないという批判が高まっていきます。そうした中で1989年に告示された学習指導要領では「実践的コミュニケーション能力」を重視する方針が出され、いよいよ高等学校で実践的な「オーラル・コミュニケーション」が導入されます。

 

シラバスも従来の文法シラバス(grammar syllabus)から概念・機能シラバス(notitonal-functonal syllabus)が主流になってきます。文法シラバスでは、学習の単元が「一般動詞」、「未来形」などに割り振られますが、概念・機能シラバスでは「あいさつ」や「買い物」などのように場面ごとの課題をクリアしていく構成になっています。より実際のコミュニケーションに応用しやすいようになっていると言えます。

文法シラバス

コミュニケーション能力の習得を言語教育の柱とする考え方は、コミュにニカティブ・ランゲージ・ティーチングと称され早期英語教育とも関わっています。そして、1998年に告示された中学校学習指導要領で外国語が必修となります。

 

早期英語教育をめぐる2大論点

早期英語教育

言語の臨界期

実は英語に触れる年齢が早いほどバイリンガルになる可能性が高まるという研究があります。大人になってから英語を学習するのではなく、小さい頃に始めた方がより高いスコアを取るという結果が出ています。

 

言語の臨界期

引用:Critical period effects in second language learning

 

神経学者のジャックリーン・S・ジョンソンとエリッサ・L・ニューポートはアメリカに移住した韓国語や中国語を母語とする子供の、英語学習を始めた年齢と英語の習熟度の相関関係を調査したところ、アメリカに移住した年齢が早いほど英語の習熟度が高いという結果がでました。

2言語共有説

2つ目の理論は「二言語共有説」です。カミンズ氏は第一言語第二言語の間には共有できるCommon Underlying proficiency(CUP)があると主張しています。第一言語能力(母国語)と第二言語は独立しておらず、相互に依存しているという理論です。

 

引用:Teaching for Cross-Language Transfer in Dual Language Education:Possibilities and Pitfalls (Jim Cummins,2005)

 

カミンズ氏は、「二言語共有説」を証明するために言語能力をBasic Interpersonal Communicative Skills(対人伝達言語能力)とCognitive Academic Language Proficiency(認知・学習言語能力)に分けました。

 

  BICS CALP
特徴 具体的・インフォーマル 抽象的・フォーマル
語彙数 3,000語以下 100,000語以上
文章の特徴 短くてシンプル 長くて複雑
コミュニケーションの形式 文脈重視 非文脈下
能力形成までの時間 1〜3年 5〜10年以上

引用:2livnlearnAre You Judging Your English Learners on Their BICS Instead of    Looking for CALP? を参考に筆者が作成

 

Basic Interpersonal Communicative SkillsBICS)は日常の場面に密着した言語使用が特徴ですが、Cognitive Academic Language ProficiencyCALP)は学問的な思考をするときに必要な言語能力のことを指します。 言語形成の土台にあたるCALPの育成が大切だと主張しています。

 

小学校英語必修化

小学校英語必修化

必修科の背景と歴史

小学校英語必修化は、臨時教育審議会の答申から小学校の英語教育について検討が提言が始まりました。その後、1998年に告示された新学習指導要領で総合的な学習の時間に国際理解が導入されたことで、小学校でも外国語活動が取り入れられます。そして2011年に移行期間を経て小学校5、6年生で外国語活動がスタートしたことで、実質的な英語必修化となりました。

 

小学校外国語教育に係る経緯

  • 1986年:臨時教育審議会答申、小学校の英語教育について検討が提言
  • 1998年:新学習指導要領の告示
  • 2002年:学習指導要領に総合的な学習の時間(国際理解)を導入
  • 2008年:新学習指導要領の告示〜移行期間
  • 2011年 :5、6年生で外国語活動実施スタート(実質必修化)
  • 2017年 :新学習指導要領の告示〜移行期間
  • 2020年:4、5年生で外国語活動、5、6年生は教科として英語実施

引用:「小学校英語活動実施状況調査(平成18年新学習指導要領全面実施に向けた小学校外国語に関する取組について」などを参考に作成

 

2017年に新学習指導要領が告示され、2020年からいよいよ小学校の5、6年生で教科として英語教育が導入されました。

 

新学習指導要領の変更点

これまで小学校では、音声を中心に英語に慣れ親しむために週に1コマの外国語活動にとどまっていましたが、新学習指導要領では週3コマに大幅に拡大します。5、6年生においては「音声に十分慣れ親しんだ上で、段階的に読む事、書くことを目指す内容となっています。

 

新学習指導要領

引用:令和元年 教育課程部会 新学習指導要領全面実施に向けた小学校外国語に関する取組について

 

中学校は小学校と連携させるため2021年から全面的に、2022年から高校で順次新学習指導要領されるスケジュールとなっています。

 

新学習指導要領移行

引用:スタスタ塾|新学習指導要領はいつから?ポイントをわかりやすく解説

 

小学校英語教育法

小学校英語教育法

英語教授法

CLT(伝達中心指導法)

CLT(Communicative Language Teaching)は現在最も広く受け入れられている指導法で、言語習得において文法構造の習得だけではなく、コミュニケーション能力(communicative competence)の育成に焦点を当てる必要があるという考えがベースにあります。

 

コミュニケーション能力の4つの要素

  1. 文法能力:語彙や文法などを操る力
  2. 社会言語学的能力:場面に応じて適切に言語を使う力
  3. 談話能力:一貫性のある談話を行う力
  4. 方略的能力:コミュニケーションを円滑に継続する力

引用:小学校英語教育法入門 CLTの特徴

 

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TBLT(タスク中心指導法)

TBLT(Task-Based Language Teaching)はタスクあるいは課題を目標言語を通じて遂行すことを指導の中心にするのが特徴です。CLTとの違いはタスクを達成するために、グループ内で意思決定をおこなったり、各自が持っている情報を引き出しながら結論を導くことです。様々なタスクをクリアする事で、学習者の英語使用能力を目指すのが狙いです。

 

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タスク内容を説明するデモンストレーションや、グループ内でモチベーション高く活動させるために教師の力量が試される指導とも言えます。念入りな学習指導計画の作成も求められます。

TPR(全身反応指導法)

TPR(Total Physical Response)はASherが提唱した母語習得をモデルにした聴解中心の指導法です。幼児は相手の発話の意味を体で反応を示す沈黙期(silent perido)を通過して、その後しだいに発話が生まれるようになると言われています。

 

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TPRの利点は、学習者が緊張したり、不安を覚えたりすることなく学習に取り組めることです。聞く以外の技能への配慮が少ない事が難点ですが、授業のウォームアップや新しい単元で初めて触れる語彙や表現の学習には適していると言えます。

こどもの外国語学

発音指導

発音指導は単に個別の音声を扱うのはではなく、音声意識(sound awareness)を高めさせる必要があります。日本語にはない音に気づかせる工夫や、類似している2つの音を見つけさせる場合もあります。小学校英語の指導目標として、英語の音声に慣れ親しむという項目が重要視されています。

 

小学校段階における英語の発音指導

  1. 個々の音と英語に多い子音結合(consonant clusters)
  2. 音節(syllables)と強勢(stress)
  3. 複合名詞・動詞・形容詞・長い語中での強音節と弱音節
  4. 句や文における強勢の働き
  5. 事物を対比するための強勢の働き
  6. 文中の意味を対比させるための強勢の働き
  7. 句や文中における語相互間の音連続
  8. イントネーションが表す旧情報
  9. イントネーションが表す新情報
  10. イントネーションの付加疑問中での働き

引用:「小学校英語」指導法ハンドブック

 

但し、音声に特化して指導してしまうと、英語嫌いになる可能性もあるので一般的にはゲームやアクティビティを通して英語の音に慣れていきます。例えば同じ強勢パターンのカードを組み合わせるゲーム(強勢スナップ:Stress Snap)は下記の動画のようにペアで実施することができます。

 

↓↓8:20〜からゲームが始まります

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フォニックス・ソング(Phonics Song)は片面に2文字音(thやchなどで一つの音声を構成)を、もう片面に歌に出てくる動物や事物を記入。歌に出ている音や絵が出てきたらカードに触るゲームです。Youtubeで簡易的なフォニックス・ソングが用意されているので興味ある方はチェックしてみてください。

 

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語彙

外国語の語彙を教える場合は子供はまだ母語の語彙を形成中であり、概念を習得し構成している過程にあることを念頭におく必要があります。子供は外国語学習に直面するときに、ラベリング(Labeling)、パッケージング(packaging)、ネットワーク構築(network-building)という3つの異なる語彙学習タスクに直面します。こどもの外国語学習の現実的な目標は年間ほぼ500語程度と言われており、学習難易については下記の7つの要因があります。

 

学習難易の7つの要因

  1. 明示性:意味がわかりやすいか
  2. 母語との類似性:母語と関連しているか
  3. 簡潔さ:短い語彙の方が覚えやすい
  4. 文法の規則性:語の形式に規則性がある
  5. 学習負荷:子供がその言語の一部をすでに知っている
  6. 使用機会:子供の環境要因
  7. 興味の中心:子供がその語に興味をもっているか

引用:「小学校英語」指導法ハンドブック, White(1988)の7つの要因

 

児童に行ったある研究によれば、「興味の中心」要因が最も重要であると指摘され、語彙に興味があれば、その語句を相手に本当に伝えたくなりと指摘されています。小学校での語彙学習は効率性などを意識するのではなく、モチベーションを維持させることが重要だと言えます。

小学校英語教育のメリット

英語教育のメリット

英語に親しむ時間が増える

1973年にアメリ国防省の付属機関がまとめた資料によると、日本語を母国語とする日本人が日常生活に困らないレベルの英語力を身につけるには、およそ2,400~2,700時間の学習が必要であると示しています。旧学習指導要領における学校教育では、小中高に大学を加えたとしても英語の学習時間は1,000時間にも及ばないので、時間が足りていませんでした。

 

↓↓英語の親しむ時間が増えればマルチリンガルにも一歩近づきます

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今回の新学習指導要領で英語教育を小学校に前倒しすれば英語に親しむ時間が増えるため、足りない学習時間を補うことができます。小学生は比較的素直に学習を受け入れやすいため、強制をしなければ比較的自然と英語に親しむことができます。

日本語を介さずに考える「英語脳」が育つ

英語脳とは、脳内で日本語に変換することなく、英語を英語としてダイレクトに理解することを意味していますが、中高生になってからでは英語脳を育てるのは難しいとされています。語学者レネバーグは、言語は12~13歳までに習得され、それ以降はスムーズに吸収されなくなるとの仮説を立てています。このことから、臨界期となる12~13歳、つまり小学校高学年までに本格的な英語学習をおこなうことは、英語脳を養うのに有効なのです。

 

 

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さらに、日本語と英語は周波数帯が異なるため、英語特有の発音やイントネーションを聞き分ける「英語耳」の習得も、実践的な英語を身につけるカギを握ります。小学生のうちから少しでも多くの英語に触れておけば、英語耳を育てることにもつながります。

 

小学校英語教育のデメリット・問題点

小学校英語教育 デメリット

教員の指導力や体制の不安

イーオンが行った小学校の英語教育に関する教員意識調査2021夏によると、7割以上の小学校教員が不安や自信がないという回答をしています。

 

小学校5-6年生で英語を「教科」として教えている先生の授業運営の状況

イーオン 調査

引用:「小学校の英語教育に関する教員意識調査2021夏」

 

特に、これまで教科として馴染みがなかった小学校3-4年生を担当とする生徒は、高学年の生徒に比べて、不安や自信がないという回答の比率が高くなっています。

 

小学校3-4年生で英語を「教科」として教えている先生の授業運営の状況

引用:「小学校の英語教育に関する教員意識調査2021夏」

 

専科教師(外国語教育のみを担当する教師)の任用も増えていますが、まだ学級担任が英語を教えているケースが多いようです。

 

小学校英語教育 担当

引用:令和3年度「英語教育実施状況調査」概要

小学校・中学校への連結

令和3年に実施された英語教育実施状況調査によれば、小学校との連携に取り組んでいる中学校の割合は72.5%であり、全ての学校でには至ってないという結果がでました。

 

小学校英語 小中連携

引用:令和3年度「英語教育実施状況調査」概要

 

小学校と中学校の連携は地域によってばらつきがあり、100パーセント連携している地域もあれば、10パーセント未満にとどまっている地域もあるようです。

 

小学校連携 地域格差

引用:令和3年度「英語教育実施状況調査」概要

 

小中連携の音声指導

中学校との接続で音声中心で学んだことから文字への学習が円滑に進んでいない、活動を通じて日本語と英語の音声の違い、英語の発音と綴りの関係などを以降の学習につなげることがうまくできていないなどの批判があり、小学校学習指導要領は以下のように告示されました。

 

⑴ 外国語を通して,言語や文化について体験的に理解を深め,日本語と外国語との音声の違い等に気付くとともに,外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむようにする。

⑵ 身近で簡単な事柄について,外国語で聞いたり話したりして自分の考えや気持ちなどを伝え合う力の素地を養う。

⑶ 外国語を通して,言語やその背景にある文化に対する理解を深め,相手に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。

引用:小学校学習指導要領(平成29年告示)

 

GA指導モデルでは、英語の多様な訛りに対応できるように小学校では標準的なアメリカ英語を学習した後で、中学校・高校以降で少しずつ多様な英語に触れることが推奨されています。このGA指導モデルを小中で共有する事で、スムーズな発音学習を進めることができます。

 

学習段階と指導モデルとする英語音声との関係

標準英語

引用:小学校英語と中学校英語を結ぶ p94 図1

 

小学生の音声指導は、英語に親しみをもてるように楽しさを重視することが求められ、その後少しずつ正確さを意識するのが良いとされています。

 

学年進行と音声3要素の関係

英語の

引用:小学校英語と中学校英語を結ぶ p100 図3

子供への効率的な英語学習法

英語学習法

イマージョン教育

イマージョン教育とは、未修得の言語を身につける学習方法の一つであり、その言語の環境に浸すことによって、その言語を身につけさせる方法です。 しかし、イマージョン教育は単にその言語の言葉を習うのではなく、教科をその言語で学ぶことで、自然とその言語を習得するという方法です。 1960年代英語とフランス語を公用語にしているカナダで始まり、外国語習得の最も効果的な方法として現在世界各地の学校で導入されています。

 

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イマージョンとは、英語の「immersion」(浸すこと)という単語の発音をそのままカタカナで表わしたものです。バイリンガル教育においては単にその言語を使用するということではなく、教科などの学習もその言語で行うことで自然とその言語を習得していく教育を指します。

 

6つのイマージョン方式

  • 早期トータル・イマージョン
  • パーシャル・イマージョン
  • 中期イマージョン
  • 後期イマージョン
  • 教科別補強フレンチ
  • トライリンガル・イマージョン

参考:バイリンガル教育の方法  第5章イマージョン方式の教育より抜粋

 

イマージョン方式のバイリンガル教育は1967年のカナダで始まりました。イマージョン方式の原型はカナダのケベック州を中心に広がっていきます。ケベック州公用語が英語とフランス語であり、イマージョン方式がその存続を支えてきました。イマージョン方式のバイリンガル教育は様々な地域の特性やニーズに応じて変形されてきましたが、主に6つのパターンがあります。

 

早期イマージョン(5歳から)と後期イマージョン(12歳から)の教育を受けた子供を比較するフレンチイマージョンの実態を調査した研究では、下記のように聴解力と読解力に差が出ました。早期イマージョンの子供は聴解力に優れる一方で、後期イマージョンの子供は高い読解力をもっていることがわかりました。

 

  早期イマージョン(4,000時間) 後期イマージョン(1,400時間)
聴解力 15.2 12.0
読解力 14.8 18.2

引用:バイリンガル教育の方法  第5章イマージョン方式の教育より抜粋

 

適切なバイリンガル教育

バイリンガル教育とは、一つの言語を使う「モノリンガル」に対して、「二つ(以上)の言葉をきちんと使い分ける力を持った人」という意味での「バイリンガル」を育成する教育です。バイリンガル教育」と一口にいわれますが、実はさまざまなタイプがあり、家庭で実践するバイリンガル教育もありますし、イマージョン方式(対象言語に浸る)など多彩な教育です。

 

Definition of bilingual education

education in an English-language school system in which students with little fluency in English are taught in both their native language and English

引用:Merriam-Webster

 

↓↓子供への適切なバイリンガル教育を解説しています

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母国語の確立

第二外国語母語 与える影響はカミンズ氏が立証してきました。たとえマイノリティの母語と言えども、疎かにしてしまうと第二外国語に悪影響を与えてしまいます。特に幼少期に年齢に応じた母語教育を受ける事が大切です。特定の時期を過ぎてしまうと、大人になってから学習するのが難しくなってしまいます。

 

母国語の確立

 引用:ベネッセ教育総合研究所母語以外の言葉を子どもが学ぶ意義

 

では、母国語と母文化の形成時期はいつ頃なのでしょうか。話し言葉の形成は一般的に4〜6才ぐらいで、2~3才ぐらいの時期に母国語の文化も形成されるようです。まずは、セミリンガルを防ぐには幼児期に母国語の形成を促す環境を整えることが大切なようです。

 

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参考

EF|EPI 2021 – EF 英語能力指数

TOEFL iBT® |TestsTest and Score Data Summary, 2019 

東京外国語大学|日本における英語教育の歴史と現状の課題 英語科教育法Ⅰ-1

パーマーのオーラル・メソッド受容についての一考察より作成

Semantic Scholar | Critical period effects in second language learning: The influence of maturational state on the acquisition of English as a second language 

The University of Toronto TorontoTeaching for Cross-Language Transfer in Dual Language Education:Possibilities and Pitfalls Jim Cummins,2005

2LivNlearn|Are You Judging Your English Learners on Their BICS Instead of Looking for CALP?

文部科学省|令和元年 教育課程部会 新学習指導要領全面実施に向けた小学校外国語に関する取組について

スタスタ塾|新学習指導要領はいつから?ポイントをわかりやすく解説

イーオン|「小学校の英語教育に関する教員意識調査2021夏」

文部科学省|令和3年度「英語教育実施状況調査」概要

Merriam-WebsterDefinition of bilingual education