はじめに
今回は言語化能力とマーケティングについて考えていきます。言語化能力とは自分の思考を言語化する能力ですが、マーケティングとどう関わっているのでしょうか?また、そのトレーニング方法についても考えていきます。
ところで、マーケティングとはどのような仕事でしょうか。なかなか定義することが難しいです。各企業によっても異なるかもしれません。私自身の勉強不足もあります。人の思いをかたちにする仕事。実はそうかもしれません。あらゆる人とコミュニケーションをしながら、売れる仕組みをつくる。そちらの方が、今の時代にぴったりのような気がします。物をつくるのではなく、サービスの流れの仕組みをつくるのが大切だからです。
元々マーケティングとは、商品を大量に効率的にうるために、ビジネスの全過程にわたって行われる活動であったようです。AIの発展によって、マーケティング業務が消えているのが現状ではないでしょうか。業務の自動化などです。
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マーケターがすべきこと
では、マーケティング部はいったい、どのような仕事をすれば良いでしょうか?私もそうですが、実際よく分かっていません。さきほど業務の自動化によって業務がかなり効率的になっていると指摘しましたがこちらには負の側面もあるように思えます。それは、現場の人のアイデアや企画力ではないでしょうか。
AIやITによって現場の業務改善や企画の声は、一つの声として集計され、それがある一定の方向やフォーマットにまとめられてしまいます。そこに、一人一人が感じた思いや、アイデアはおそらく事前に決められた選択肢に落としこまれてしまいます。
マーケティング部は、どこまで業務の自動化をシステムにまかせ、どこをアナログでやるのか意思決定をしなくてはなりません。そうしなければ、人の価値がどんどん下がっていくのではないでしょうか。「もの」から「こと」ビジネスに、消費者が中心となるサービスにシフトしています。
本気で誰か一人のために考えた言葉やラブレターのほうが、分析を重ね不特定多数の人に向けてつくられたメッセージよりも、人に届きやすい。一人一人の心の琴線にふれるためには何が必要なのでしょうか? そういった感度が、これからの「事作り」には必要不可欠なのではないでしょうか?私も、いちマーケターとして、どのようなアクションをすればよいのでしょうか。
言語思考化能力
言葉に落とし込むことによって、曖昧な部分が削ぎ落とされていきます。言葉にできないものは、誰かに共有されることも、理解されることもありません。文字にすることによって、共有できる産物になります。
特に、マーケターは顧客に徹底的に寄り添う必要があるように思えます。消費者の潜在的な意識や、無意識の行動の背後にあるもの。彼らと、信頼関係を気づくために、相手を思いやり、尊重しなくてはなりません。相手の気持ちを代弁、励ましたり、それらも言語思考化の範疇ではないでしょうか。
自分にとって大切なものを発見する
私は普段、相手の負の感覚を引き出して、そこに意義を見出すように心がけています。「~君と一緒に居ると楽しいね」とか「こちらの気持ちを理解してくれてありがとう」「僕の気持ちを言い当ててくれて助かったよ」などなど。良いことがあります。
毎回、上手くいくとは限りませんが、自分が相手と大切な時間をすごしていると考えてみます。だから、相手を楽しませたいとか、良い気持ちになってほしいかと。そう思うからです。例えば、以下のやりとりです。
「ほら、あの時のあの感覚」
「富士山の山頂に登って感じたやつですね」
「これより高いところは日本にはない、そこに立ってしまった感覚」
「立ってしまったということは、脱力感とか虚無感ですかね」
「達成感は感じましたか?」
「それよりも、喪失感が大きかったかな」
「なぜ、喪失感を感じたのですか?」
「これから、今来た道を戻ると考えると憂鬱になったからね」
「それって、人生みたいですね。一度頂点に登ると不安になる」
「そうかも。」
「でも、それって何かを達成した人にしか味わえないですよ」
「虚無感ということは、まっさらな紙に自由に人生を絵がける無限の可能性を描けるってことじゃないですか。今だったら、いろんなことに挑戦できますよ!」
この会話は、少しできすぎですが、5つのテクニックが隠れています。
一つ目は、具体化
二つ目は、抽象化
三つ目は、対比
四つ目は、因果
最後は、意義の見出し(自分にとって大切なものを発見する)
私たちは、不安や憂鬱、倦怠感を抱える動物です。それを誰かによって、具現化してもらって、そのプロセスを通して、自分にとって大切なものをみつけられたら、どうでしょうか。具体化、抽象化、対比、因果はシステムやAIの力を使って、できるかもしれません。ただ、一人一人にとって大切なものを発見するのは難しいかもしれません。
おわりに
WEBで自身の購入履歴から、「これも好きかも」と提案されるのがよそよそく感じるのは、具体的な自分が阻害されているからです。これまでの傾向で、このような事がすきなはずだというロジックがあるだけです。
パーソナライゼーションによって、個別の経験を提供するだけでは顧客は満足しないかもしれません。ニーズに合ったサービスを享受するだけでは自分にとって大切なものを気づくことができません。
仕事を通して、社会貢献をしたい。
以前は教員として、目の前の生徒を応援して、育てて、大学へ入学させる。
そういう、わかりやすい指針がありました。
マーケティングやリサーチの仕事は、目の前に具体的な人がいません。
誰かにとって、本当に大切なものを発見させてあげたい。
自分と一緒に時間を過ごした人に願っていることを
不特定多数の人に提供できるのか。マーケターとして何ができるのか。
これからも考えていきたいです。
参考
Monoist|「モノ」から「コト」のビジネス変革を裏側から支える技術が活況
日本マーケティング協会|マーケターにとって大事なのは、言語能力ではなく言語「化」能力だ