瞑想で長生きできるのか ピーター・アッティア氏が語る幸せと長生きの関係 「外敵」と「内なる敵」とは?

はじめに

竹の写真

 

今回は瞑想について考えていきます。私は瞑想について知識が浅く、まとめるのに苦労しました。私の考えていた瞑想は、とにかく何かに意識を集中させて心の平穏を目指すというものでした。今回、改めて瞑想について考えてみると、私の理解を超える実践や思考を発見することができました。私の知識不足によって誤解を与えるようなことがあるかもしれません。「これは違うのではないか」などのご指摘をいただければ幸いです。

 

瞑想についてのもう一つ驚きがあります。マインドフルネスや瞑想はどこかスピリチュアルな印象がありましたが、科学的に実証研究がなされていることです。瞑想は心理的な治療やカウンセリング、コーチングあるいは自己啓発などあらゆる分野で活躍が期待されています。今回の記事を通して、「瞑想」をもっと知りたい、私自身も実践していきたい、そう思えるようになりました。

 

今回は「The Loving Kindness Meditation」という瞑想もご紹介していきます。人間の意識を無限に広げることができる性質を最大限に活かした瞑想です。それでは、ピーター・アッティア氏のインタビューから瞑想と長生きの関係、Loving Kindness Meditationという実践、そこで指摘された「自分の敵」について考えていきます。

 

 

ピーター・アッティア氏とは

アメリカのメディカルスクールを卒業後、外科医として働くようになります。ピーター・アッティア氏はある患者に出会い、糖尿病患者に軽蔑の感情を持ってしまったそうです。その女性は太っており、足の切断を余儀なくされたのは、彼女の責任だと思ったからです。しかし数年が経ち、自らも食生活を気にしていたのに、肥満になってしまいます。彼は一つの疑問をもつようになります。糖尿病への理解は正しいのだろうか?逆に糖尿病が肥満を引き起こしているのでは?

 

日本語字幕付き

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その後、ナショナル癌センターの勤務を経て、2012年には、Nutrition Science Initiative (NuSI)の代表になります。人が摂取する栄養と健康について研究をするようになりました。2014年には、長生きと前向きな生活を科学するAttia Medicalを設立しました。それでは、彼のインタビュー&対談から瞑想と長生きの関係を考えていきます。

 

peterattiamd.com

 

 

瞑想について

ピーター・アッティア氏は、以前も紹介した「10% Happier with Dan Harris」のポッドキャストにゲストとして出演。「瞑想は私たちを長生きさせるのか?」について議論を進めていきます。ただ、こちらのインタビューでは、彼の「瞑想」にたいする考え方や効果について、深く考察されていません。

 

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実は、彼は自信のポッドキャストで、友人のサムとマインドフルネスについて対談したことがありました。まずは、こちらの内容を振り返りたいと思います。

 

2時間を越える対談となっています。

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二つの瞑想とは

まず、私たちのデフォルトモード=普段の態度では、思考の渦に陥りやすい。これは、現在ではなく過去のことをくよくよ悩み、将来のことを過剰に期待することでしょうか。とにかく、私たちは一日中思いにふけってしまう傾向があるようです。

 

対談の内容によると、瞑想には二種類あります。

マントラ瞑想

ヴィパッサナー瞑想(≒マインドフルネス)

 

こちらで詳しく解説されています↓↓

www.hokto-kinoko.co.jp

 

対談は以下に続きます。 

 

マントラ瞑想は、集中ベースの瞑想とも言われ、繰り返しのフレーズに注意を払うことによって意識を集中させます。もう一つの、ヴィパッサナー瞑想は、すべて(音、感覚、気分、思考)を認識しようとする瞑想です。瞑想を繰り返し実践して気づくことは、意識を集中すれば退屈させるような対象などないということです。退屈とは、単に注意の欠如です。今まで、退屈だと感じてきた理由は、注意をひくほど魅力的なことを見つけることができなかったから。

 

しかし、瞑想を学ぶことで発見することがもう一つあります。私たちを最も喜ばせることは、現在への完全な注意するという状態です。何に注意をしてもかまいません。突然何かに非常に注意を払うことができた瞬間、その喜びを味わうことができます。純粋な集中=喜び。すべての否定的な感情は、現在の瞬間に根ざしていない

 

瞑想の効果

何か良くないことがおこった時に、上手く対処できるようになる。心地よい時間をもっと楽しむことができて、そのはかなさを知ることができる。彼自身も息子といる時間をもっと大切にできるようになった。息子が若いのは今だけで、かけがえのない時間だと気づいた。マインドフルネスは、今この瞬間をゆっくりさせる。そして、感謝することができる。人間のデフォルトモードでは、速さを求めている。私は常に次を求めている。瞑想を実践することでその価値観を逆転させることができる。瞑想は今の瞬間に引き寄せてくれる

 

 

瞑想と長生きの関係とは?

「瞑想は私たちを長生きさせるのか?」のインタビューに戻ります。ピーター・アッティア氏は健康になるための要素をカテゴライズしました。

 

・栄養

・精神

・身体

 

そして、精神に良い影響を与えるのが瞑想だというのです。では、瞑想は私たちに具体的にどのような効果をもたらすのでしょう。インタビューの最後に、不眠症で悩むリスナーに、瞑想することによって何事にも意識を向けることができるという安心感で眠りを誘うことができる。

 

 これまでの瞑想の効果をおさらいすると

自分の気持ちをコントロール(今を引き寄せることができる)

ネガティブ感情を抑えることができる。(安心感を与えてくれる)

 

じつはこれらは、健康に良い影響を与えるテロメラーゼ活性の上昇に寄与すると考えられているようです。

 

「自己統制感の高まりとネガティブな感情の減少が、テロメアの長さと免疫細胞の寿命に影響を及ぼすテロメラーゼ活性の上昇に寄与したことを、データは示している」

 

  『ハーバード医学教授が教える健康の正解』(ダイヤモンド社刊)より

 

こちらが生活習慣の改善が、テロメラーゼを生み出す2つの遺伝子を刺激することが、科学ジャーナル「PLOS ONE」で発表された報告書です。

 

journals.plos.org

 

ただ、一つ疑問が残りました。瞑想によって、そんな簡単に自分の気持ちをコントロールできるのか、ネガティブな感情を抑えることができるのか。例えば嫌な人に出あうことも、自分自身の悩みもあるでしょう。それらはどう対処するのか?それらが解決されない限り、健康にはなれないはずです。そのヒントは、「The Loving Kindness Meditation 」にあります。

 

 

The Loving Kindness Meditation 

The Loving Kindness Meditation はメタ瞑想と呼ばれているようです。この瞑想では、「love kindness」の気持ちを想起させるのが目標になります。これだけでは、よく分からないと思いますので、具体的に手順を説明していきます。

 

最初は、マントラ瞑想と同様に、意識を一点に集中させます。呼吸が落ち着いてきたら、あることを想像していきます。

 

目をつぶって、自分の愛する人を想像していきます。子供、友達、親とにかく心から幸せになって欲しい人を想像します。愛、幸せを放出して、その人が苦しみから解放して欲しいと心から願います。

 

その次は、知り合いや特に関心のない人に意識を向けます。例えば、近所に住む人々、お店のレジの店員など普段は意識を向けない人です。その人たちにも心から幸せになって欲しいと願います。

 

最後に、自分が嫌っている人を思い浮かべます。自分が嫌いな上司、過去にケンカをした友人などを思い浮かべます。難しいかも知れませんが、その人たちにも健康や幸せを願います。

 

この実践は何を気づかせてくれるでしょうか?

 

誰もその人(嫌いな人)の過去を知りません。あるいは、彼らがどのような人生を歩んできたのかも、どうやって育てられたのかも知りません。そこには必ず、愛と願いの余地があって、制限なしにすべてに意識を向けることができる。

 

これは、どういうことでしょうか。おそらく、人間が持つ無限の意識の広がりのもとでは、愛する人=中立の人=嫌いな人という図式が成り立つのではないでしょうか。

 

最後に、嫌いな人(自分の敵)とどう向き合っていくのかを考えていきます。自分の心を乱す人がいなければ、心の平穏を保つことができるでしょう。それに答えてくれるのが、The Loving Kindness Meditationの実践者である、シャロン・サルツバーグ氏です。彼女の著書、「love Your Enemies: How to Break the Anger Habit & Be a Whole Lot Happier four enemies」から「外敵」と「内なる敵」について考えていきます。

 

日本語版もあります↓↓

シャロン・サルツバーグ氏が語る「The Loving Kindness Meditation」

www.youtube.com

 

 

「外敵」と「内なる敵」

この本を読む前は、多くの人が「敵」とラベルを付けた他者を愛することができません。本書の目的は、私たちを傷つけた人をどのように愛せるかです。

 

まずは、本書によれば私たちには4つの敵がいます。

 

・外敵(私たちを傷つけた人、私たちを苛立たせる状況)
・内なる敵(怒り、憎しみ、恐怖などの否定的な感情)
・秘密の敵(他者からの断絶感。自己執着や自己没頭)
・超秘密の敵(自己愛の欠如)

 

しかし、怖がることはありません。瞑想というツールによって、「内なる敵」・「秘密の敵」・「超秘密の敵」と仲裁することができます。

 

おそらく、「外敵」に最初に意識を向けると、「内なる敵」・「秘密の敵」・「超秘密の敵」の三つの敵が力が増大していきます。そうではなくて、3つの敵=自分から湧き出る自然な感情に目を向けることで、「外敵」の存在など取るに足らない存在になるではないでしょうか。

 

他の存在は私たちの幸せを妨げることはできない。真の幸福は内から生まれます。したがって、最終的には敵はいません。

 

 

幸せと長生きの関係

自分たちを傷つける人の幸福を考えることは、すぐには実践できることではないでしょう。あるいは、無理に幸福を考える必要はないかもしれません。大切なことは、「気づき」であって、「~しなければならない」という義務感ではありません

 

自分の意識は無限の力があって、その力を発揮すれば簡単に気分を害することがなくなる。そういう自分を見つけることが大切なはずです。「内なる敵」に向き合うようになれば、自然と価値観を共有できる人々と一緒に過ごし、幸せな時間を過ごすせるでしょう。その質の高い人生が、日々の健康と精神の安定につながり、結果的に長生きにつながっていくのではないでしょうか。