はじめに
今回はスペイン語を話せるようになるための独学の方法を紹介していきます。スペイン語はラテン語派に属していています。ラテン語派の特徴は、人称変化や性変化など英語に比べてやや複雑です。まずはロマンス語派の特徴を説明し、スペイン語を話せるようになるための必要な語彙と文法を確認します。それらを踏まえ、スペイン語を習得するための独学のトレーニング方法と頻出の5つの動詞を紹介していきます。
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ロマンス語派の特徴
動詞の人称変化
ロマンス語派に属している言語はイタリア語、フランス語、スペイン語などがあります。一方で、英語はゲルマン語派に属しています。ロマンス語派の最大の特徴は、動詞の人称変化です。
引用:スペイン語は英語の似ている単語から学ぼう
ロマンス語派の動詞はbe動詞も一般動詞も、人称と単数によって必ず変化します。英語学習者であれば、動詞が主語によって変化する( I am, She is, We are )のには慣れているかもしれません。但し、6つのパターンを学習するのは大変で、ロマンス語派の言語を学習する際は、最初の大きな関門になります。
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名詞や形容詞の性区別
ロマンス語派の言語は、名詞や形容詞の性を男性と女性に区別する必要があります。名詞を使用する際には、性と一致する不定冠詞や定冠詞を選択しなくはなりません。形容詞も名詞の性に応じて、語尾が変化します。(※ ゲルマン語派のドイツ語も性区別あり)
名詞と形容詞が主語と述語になる場合は、性を一致させる必要があります。英語学習よりも認知的負荷が一つ多くなります。
動詞(述語が中心)が中心
ラテン語派言語の多くは主語省略されます(フランス語は省略されないようです)。したがって、動詞の活用によって主語を判断する必要があります。慣れないうち大変で、私達がいかに主語に依存していたかに気付かされます。
- Leo el libro en el tren. →leerの1人称単数→私は電車の中で本を読む
- Compredemos tu situatión.→comprenderの1人複数→私達は君の状況を理解
スペイン語を話せるようになるための語彙と文法知識
語彙
スペイン語を話すために必要な語彙数はいくらでしょうか。アメリカのブリガムヤング大学の研究によれば、頻出の1,000の単語でOral(会話)の87.8%をカバーできるそうです。小説やノンフィクションの記事に比べて、口語的な会話では頻出の言葉が集中的に使われている傾向が出ています。
Non-fiction | Fiction | Oral | |
---|---|---|---|
1st thousand | 76.0 | 79.6 | 87.8 |
2nd thousand | 8.0 | 6.5 | 4.9 |
3nd thousand | 4.2 | 3.5 | 2.3 |
FIRST 3000 | 88.2 | 89.6 | 94.0 |
引用:Vocabulary Range and Text Coverage, 2005
Oralに限って言えば、スペイン語は英語やドイツ語に比べて最初の1,000語のカバー率が高い結果が出ています。スペイン語は頻出の1,000語の威力が高いと言えます。
引用:Vocabulary Range and Text Coverage, 2005
文法
スペイン語を話せるようになるためには、文法をどれぐれい学習すれば良いでしょうか?スペイン語検定では文法事項が以下のように分けられていますが、今回私が紹介する方法では、5級までの内容を終えていれば大丈夫です。
語彙数 | 文法事項 | |
---|---|---|
6級 | 500 | 直説法現在(ser、estar、haber [hay]、最頻出の規則動詞と不規則動詞)、所有詞(前置形)、指示詞 |
5級 | 1,000 | 直説法現在不規則、直説法過去(点過去・線過去)、直説法現在完了、過去分詞、現在分詞、再帰動詞、gustar型動詞 |
4級 | 1,500 | 過去完了、未来、未来完了、過去未来、接続法現在、命令、受け身 |
3級 | 2,500 | 過去未来完了、接続法現在完了、接続法過去、接続法過去完了 |
2級 | 3,500 | - |
1級 | 3,500〜 | - |
引用:新スペイン語技能検定について
今回は1人称と2人称に限定して、3つの時制を使って会話をするトレーニング方法を紹介するので、具体的には6級の文法事項+5級の点過去を習得するだけで大丈夫です。
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スペイン語を習得するための独学トレーニング
私と君の世界でトレーニング
人称変化の負担を抑えるために、まずは「私」と「君」の状況でスペイン語を話すトレーニングをすることをおすすめします。一度に全ての人称を使い分けようとすると、頭の中で文構築をするのに時間がかかってしまいます。対面している相手の「君」だけに集中しては、3人称や複数の世界は一度忘れてしまいましょう。
「私」と「君」の世界のトレーニングはスピード感がある会話を続けることが可能になるだけではなく、スペイン語会話の自信を付けることができます。相手と繋がれたという満足感を得られます。この練習を続けると、「私は〜です」「君は〜ですか?」とセットで表現を覚えようという習慣も自然と身につきます。
現在・過去・予定の3つの時制でトレーニング
スペイン語の時制には、線過去・点過去・現在完了・現在形・未来形などたくさんの時制が存在していて、一度に使い分けるのは難しいです。まずは現在・過去・予定の3つの時制をは使いこなせるようになりましょう。
私は上記のような表を頭に浮かべて実際の会話をしています。頭の後方に過去の出来事と照らし合わせて動詞を活用(1人称では語尾が-é/i)、現在は頭の上に活用表をイメージさせています。未来の出来事は未来形を使わずに後ほど説明する運用能力の高い動詞のirを使って予定の表現で代用します。
スペイン語では過去の出来事は線過去と点過去に区別されます。線過去は上記の図の上側にあるように継続的な状況を述べる時に使います。2つの文法事項を両方使いこなせるようになるには慣れが必要です。初学者は、「点過去」だけを使って瞬間的な出来事を相手に伝える方が良いと思います。
マインドマップトレーニング
1人称で簡単に自分を紹介する際はマインドマップを使うことをおすすめします。自分の出身、年齢、仕事、スペイン語学習について効率的に整理することができます。大情報→中情報→小情報のようにまとめることができるので、話す順番をあらかじめ決めることができます。
私は無料で使える「xmind」というアプリを使って自己紹介や自分の話したいテーマを整理していました。スペイン語を話せるようになるだけではなく、思考が整理されたり自己分析にも活用できます。
頻出の5つの動詞を攻略
引用:A Frequency Dictionary of Spanish: Core Vocabulary for Learners (Routledge Frequency Dictionaries) 1st Edition
A Frequency Dictionary of Spanishでは、頻出の不規則動詞と規則動詞が紹介されています。今回はその中でも運用能力の高い5つの動詞を紹介していきます。スペイン語を話せるようになるにはこの5つの動詞は必要不可欠です。
頻出の5つの動詞
- ser動詞:〜である(永続的な状態)
- estar動詞:〜である(一時的な状態)
- tener動詞:〜をもつ
- hacer動詞:〜する、〜をつくる
- ir動詞:〜に行く
Ser動詞(永続的)
Ser動詞は基本的に永続的な状態を表す動詞です。例えば、「私は日本人です」と表現するときのSer動詞は、今日も明日も一年後も日本人ですという永続的な意味を示しています。出身や性格もSer動詞を使って表現することができます。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | soy | somos |
2人称 | eres | sois |
3人称 | es | son |
- Tu eres estudiante? Sí, soy estudinate.(君は学生で?私は学生です)
- ¿De dónde eres? Soy de japon.(きみの出身は? 日本出身です)
- Yo soy soltero(私は独身です)
- Yo soy muy timido(私はとても恥ずかしがり屋です)
- No soy sociable(私はあまり社交的ではありません)
- Soy muy tranquilo(私はとてものんびり屋です)
Estar動詞(一時的)
Estar動詞は基本的に一時的な状態を示します。その時の気分や体調を聞いたり、挨拶でも活躍する動詞です。
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | estoy | estamos |
2人称 | estás | estáis |
3人称 | está | están |
- ¿Cómo estás? 元気ですか?
- Estoy bien. 元気ですよ
- Yo estoy un poco cansado.(私は少し疲れています)
- Esoty satisfesho.(私は満足しています)
- Esoty in la cama.(私はベッドにいます ※一時的)
- Estoy mal(私は調子が悪い)
Ser動詞 とestar動詞は両方とも英語のBe動詞の役割を担っています。形容詞と使うと相性の良い動詞で、Ser動詞は性格、estar動詞は気分を表現することができます。
- ser alegre(明るい性格な人)⇔estar alegre(喜んでいる)
- ser nervioso(神経質な性格な人)⇔estar nervioso(緊張している)
TENER動詞
tenerは「持つ」という意味の動詞です。「持つ」という意味から派生して、様々な場面で使用される頻出の動詞です。
tenerの主な用法
- 家族、友人等の数を表す:Tengo tres hermanos.(兄弟が3人います)
- 年齢を表す:Tengo ocho años.(私は8才です)
- 感覚を表す:Tengo frío.(私は寒い)
TENER動詞の活用
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | tengo | tenemos |
2人称 | tienes | tenéis |
3人称 | tiene | tienen |
IR動詞
ir動詞は「行く」という意味を表します。近い将来の行動や予定を表したり、勧誘を表すことができる便利な動詞です。
irの主な用法
- 〜へ行く(ir a + 場所):Voy a México.(メキシコに行く)
- 〜するつもり(ir a + 不定詞):Voy a viajar a Londres.(ロンドンに行く予定)
- 〜しましょう(Vamos): Vamos a trabajar.(仕事をしましょう)
IR動詞の活用
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | vay | vamos |
2人称 | vas | vais |
3人称 | va | van |
HACER動詞
Hacerは「作る」や「する」という意味があります。その他にも天気や時間を表すこともできます。天候を表す時は、必ず3人称単数になります。
Hacerの主な用法
- 「作る・する」:Hago mis deberes(私は宿題をする)
- 天気を表す:Hace buen tiempo(いい天気です)
Hacer動詞の活用
単数 | 複数 | |
---|---|---|
1人称 | hago | hacemos |
2人称 | haces | hacéis |
3人称 | hace | hacen |
スペイン語を話すためには独学でも十分トレーニング可能ですが、実際にネイティブの人と話すとより効果が高まります。オンラインレッスンなどで使って上記のトレーニングを実践すれば、より効率的に練習をすることができます。その際におすすめなのがDMM英会話では、英語だけではなくスペイン語のレッスンもできます。
実はDMM英会話には多数の南米の先生が在籍をしているので、選択画面でスペイン語圏の国々(公用語)をソートするとたくさんの講師の方が出てきます。
授業を予約する際には、その他の希望に「スペイン語を練習したいです」と書き込むだけで大丈夫です。授業が始まる時は、挨拶からスペイン語で言っていただける講師の方や、英語で「スペイン語を話したいですか?」と確認してくる講師の方もいます。私はこれまで何度もスペイン語でレッスンをやってもらいましたが、断られたことはありません。スペイン語を練習したい方はぜひ試してみてください。
参考
langland | スペイン語は英語の似ている単語から学ぼう
Lextutor | How Large a Vocabulary Is Needed for Reading
公益財団法人日本スペイン協会公益財団法人日本スペイン協会|新スペイン語技能検定について
Spanish Linguist | The most frequent Spanish verbs are irregular