カランメソッドとは?DMEメソッドとの違いや効果・ネイティブキャンプの受け方・最新の研究も紹介

はじめに

今回は近年再注目されているカランメソッドについて考えていきます。DMEメソッドとの違いや、英語学習への効果、第二言語習得研究に基づく正しい受け方について解説していきます。まずはカランメソッドの意味や定義について解説し、最新の研究を紹介しながら正しいやり方について説明していきます。最後にカランメソッドを受けられるオンライン英会話を紹介していきます。私もオーストラリアに短期留学していた際にカランメソッドを受講した経験がありますが、正しい受講方法やメソッド自体への理解が欠けていたので、最大限に活かすことができませんでした。挫折してしまった方、退屈だと放棄してしまった方、ぜひもう一度トライしてみてください。

 

↓↓第二言語習得研究に基づく英語学習動画を随時追加しています

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参考文献

 

「英語学習の科学」

 

「外国語を話せるようになるしくみ」

 

「音読で外国語が話せるようになる科学」

カランメソッドとは

カランメソッドとは

カランメソッドの意味

カランメソッド(Callan Method)とは、日本語を介さずに相手の質問に対して反射的に答える訓練を繰り返すトレーニンで、ダイレクトメソッドの一種です。直接英語を使って英語をインプットさせる指導スタイルで、のちほど説明する直接教授法が元になっています。

 

カランメソッド

引用:JET English College

 

The Callan Method is a fast and dynamic approach to language teaching and learning that consists of guided conversations with native speakers. In the lessons, students are encouraged to speak from the moment they enter the classroom. The learners actively practice English during the lesson, speaking the entire time.

引用:Europass Teacher Academy SRL

 

一般的には、上記のようにネイティブスピーカーによる指導と定義されていますが、現在ではカランメソッド指導の訓練を受けたノンネイティブ講師も該当します。オンライン英会話ではフィリピン人の講師が多いのが現状です。

カランメソッドの歴史

カランメソッドは名前にある通り、ロビン・カラン氏によって考案されました。彼は20代の若さでイギリスから単身でイタリアに渡り、語学学校で英語講師としてキャリアをスタートします。しかし、学校の指導法に疑問を感じ独学で言語教授法の研究を進めます。当時の主流であった文法訳読法(グラマートランスレーションメソッド)に異議を唱え、英語を英語のまま理解するメソッドを作れないか考えました。

 

直接教授法の歴史

 

その後10年以上の経験と研究を積み、カランメソッドを考案します。広まったのは1960年代と言われ、教授法の歴史的に言えば、直接教授法がやや停滞していた後の、オーディオリンガルメソッド最盛期頃と言えます。

 

オーディオリンガルメソッドや英語教授方の歴史↓↓

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カラン氏はイタリアの語学学校でメソッドの実証結果を得た後、イギリスへ戻りカランスクールを開校しました。今では世界30カ国、500校の語学学校でカランメソッドが導入されています。

直接教授法(Direct method)

さきほども説明しましたが、直接教授法はカランメソッドの原型となった英語教授法です。直接教授法は、文法・訳読法の反動として誕生した教授法で、第一言語を使わずに、授業のすべてを第二言語でおこなうことが原則となってます。そのため、ネイティブかそれに近い能力を持った人が授業をおこなうことが望ましいとされています。講師がジェスチャーを使う、質問の回答のパターンを重視する点がカランメソッドに受け継がれています。

 

直接教授法の特徴

直接教授法は特に、Listening Comprehension(リスニング理解)、Speaking Capability(話す能力)を伸ばすことに長けていると言われています。一方で、読み書きの力には重点が置かれていません。

 

ダイレクトメソッド

引用:ALTA Language Services

 

1880年代から1930年代に広まったのだが、2000年代に再度注目を集めるようになりました。直接教授法は学生の注意力と参加を促進させる、あるいは語彙力が向上させるという研究が数多く報告されています。

DMEメソッドの違い

DMEメソッドはカランメソッドの要素を取り入れつつ、より文法的な学習をとりいれ、インタラクティブな内容になっています。カランメソッドを長年教えた先生たちが2000年初めから開発を始めて完成させたようでイングリッシュベル などがこのメソッドを導入しています。

 

DMEメソッド

引用:ENGLISH-BELL

 

テキストの内容が2〜3年に一度更新されるので、学ぶ内容も比較的新しい内容になっています。上記のように文法理解をチェックさせる問題が含まれているのが特徴です。但し、全体の内容的には、カランメソッドと大きな相違点はないと言えます。

カランメソッドの効果は?

カランメソッドの効果とは

TOEICへの効果

QQEnglishはカランメソッドが本当に効果があるのか、明治大学「文明とマネジメント研究所」と提携して実証研究を行いました。大学生21名にマンツーマンのカランメソッドの授業を80時間受講させてTOEICで結果を測定しました。その結果、最高250点アップ、平均110点アップとなりました。

 

カランメソッドの学習効果

引用:QQEnglish

 

但し、他の学習メソッドを受講したグループとの比較なしに、カランメソッドの効果が高いとは言い切れないのが実情です。今後はより詳細な実証研究の取り組みに期待したいと思います。

英語脳を作る

日本語を母国語とする者が英語を話す際、調音器官を含む脳の広範囲を使用しなければいけない事が科学的に証明されているようです。ですが日本の英語教育では、ボキャブラリーと文の構成を司る部分の訓練が重視されがちです。

カランメソッド 脳

引用:QQEnglish

 

英語を話すため必要な反射神経と、発音・発話を司る調音器官のトレーニングが不足しているのが現状で、カランメソッドの訓練は調音器官を効果的に訓練することができると言われています。そのため、調音器官が効果的に鍛えられ、脳全体が活性化して、英語脳に切り替わると言われています。

 

私なりの英語脳の作り方を考えています↓↓

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講師の評価(メリット・デメリット)

次はカランメソッドに対する講師の評価を見ていきましょう。英語教授法の認定資格を受けたTEFL(Teaching English as a Foreign Language)の団体が以下のような見解を出しています。

 

TEFL

引用:i-to-i TEFL, COMPARING DIFFERENT TEACHING TECHNIQUES

 

上記によれば、カランメソッドは綿密に設計された教材とシンプルなレッスン構造によって学習者を引き付け、英語を話す力を伸ばすといわれています。数多くのメリットが示されています。但し、講師側のメリットは受講側のデメリットでもあります。カランメソッドは経験の浅い講師でも務まるということは、逆に言えば講師の質が良くないケースもあるので、受講する側は注意する必要があります。

 

カランメソッドのメリット

  • 講師の計画と準備が不要
  • 経験の浅い教師に最適
  • レッスンが経済的
  • 初学者に最適
  • 基本2,000単語を効率よく習得

 

一方でデメリットとして、レベルの高い生徒にとっては退屈で物足りない内容に陥ってしまう可能性があることが言及されています。これらのデメリットも逆に言えば初心者にとっては最適だとも言えますし、創造的な思考を排除=日本語での思考をストップさせるという良い面でもあります。

 

カランメソッドのデメリット

  • ハイレベルなレベルを提供できない
  • 創造的な思考(柔軟性)を排除

第二言語習得研究から期待される効果

カランメソッドの効果

音声と理解の一致

英語が聞き取れない原因の一つにリスニングとリーディングの乖離が挙げられます。下記のように文字情報だけに頼って発音をしてしまうと、いざ音声を聞いても聞き取れない事が起こってしまいます。読解力中心の学習に力を入れてしまったり、英単語を正しい発音と一緒に学習しないと乖離の状態に陥ってしまいます。

 

音声と理解の一致

引用:音読で外国語が話せるようになる科学, p15

 

それを防ぐためには文字情報を頼らずに音声だけを使った発話のトレーニングが求められます。実はカランメソッドでは授業中に教材を見るのは禁止されているので、音声から理解する状態が作られます。さらに、講師は発音を矯正するので正しい音韻表象も作り出すことができます。

リピーティングで意味理解促進と記憶力向上

リスニングの際は、頭の中で音声知覚と意味理解の2つのプロセスを経てインプットされます。とくに音声知覚はこれまでもブログでも紹介してきましたがシャドーイングなどによって高められると言われています。一方で、リピーティングによって短い意味の塊や文章ごとにポーズを置くことによって、語彙・文法の処理操作の時間的余裕が生まれ、意味理解が促進されます。

 

リスニング

さらに、リピーティングは聞いたものをその場で覚えて口に出さないといけないため、短期記憶力の向上という効果があります。 また何度も同じ文章を繰り返して練習することで、単語やフレーズがしっかりと根付き、長い期間記憶することが可能となります。 リピーティングによって培われた記憶力は、日常のほかの場面でも役立てることができるでしょう

カランメソッドの正しいやり方・復習方法

カランメソッドの正しいやり方

レベルチェック

カランメソッドはCEFRの基準によって1〜12のレベルに分かれています。初心者の形でも一つ一つレベルを上げていく事が可能です。カランメソッドを始める前には、必ずレベルチェック診断をしましょう。自分のレベルに合わない教材を選択してしまうと、英語習得へ悪影響が出てしまいます。

 

カランメソッドのレベル

引用:Callan School of English

 

レベル診断が出た後に「こんなに低いレベルから始めるの?」と不満を持つことがあるかもしれません。実はカランメソッドでは、英語を瞬間的に反応する事が求められます。頭で理解できても発話できない状況であれば、A1〜A2レベルから始めるのがおすすめです。

英語の化石化を防ぐ

ある特定の言語項目や規則が誤って習得され、その誤用がそのまま定着してしまうと化石化(fossilization)が起こってしまうと言われています。例えば、英語が得意ではない状態で、カタコトの英語を話して相手が理解してしまったら、その表現をずっと使ってしまう恐れがあります。カランメソッドでは、それを防ぐためにレッスン中に行われます。

 

↓↓英語の化石化についてはこちらで解説

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また、第二言語習得研究者であるスウェイン氏は間違いの指摘は学習者のアウトプットを促進させると同時に、自分の中間言語に 「穴」 があることに気づかせることができると主張しています。(Swain, 1995, 2000)

ついていけない時の解決策

英語学習の最も重要な原則の一つは簡単すぎるぐらいのスモールステップを貫くことです。背伸びしてしまったり、なんとなく理解してしまうのは良くありません。簡単なタスクを一つ一つクリアしていく事で達成感が得ることができますので、もしもついていけないと感じたらレベルを下げてトレーニングを再開しましょう。

 

↓↓インプットの質を高める方法はこちらで解説

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そもそも言語習得は、理解可能(comprehensible)なインプットによって起こると言われています。言語学者のクラッシェン氏は現在の能力よりほんの少しだけ難しめ(1+i)のインプットが望ましいと主張しています。インプットが難しすぎると、第二言語習得のプロセスを促進できなかったり、気づきが生まれません。

受講する際の注意点

カランメソッドが欧州圏で瞬く間に広まったのは欧州圏の例えば、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語などが英語と語順が一緒だからという意見もあります。日本語と英語は語順が異なる言語なので注意が必要です。基本的な英文法を理解していない状態でカランメソッドを受講してしまうとレッスンそのものの意味がなくなってしまいます。必ず受講前に基本的な英文法をマスターしておきましょう。

 

↓↓英文法の学習はこちらから

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カランメソッドが学べるオンライン英会話

カランメソッドが学べる英会話

ネイティブキャンプ

ネイティブキャンプはレッスン回数無制限でレッスンを受講できるため、英語に多く触れることができます。「25分のレッスンでは物足りない」「時間がある時にはもっとレッスンを受けたい」といった方も料金を気にすることなく、何度でもレッスンを受講することができるのが特徴です。

 

↓↓カランメソッドステージ1の様子です。

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ネイティブキャンプ公式サイト によればアメリカ・イギリスなどのネイティブスピーカーや、英会話講師歴が豊富なフィリピン・セルビアなど世界130ヵ国以上の講師が在籍しているようです、それぞれの特性を活かした、バラエティ豊かなマンツーマンレッスンが受講できます。

QQ English

月会費2,980円からとお手軽に始められるのが特徴で、コスパ重視のコースが豊富に揃っています。また、高速回線のオフィスからレッスン提供しているので、小学校など教育機関にも多数選ばれているようです。

 

↓↓カランメソッドの全体像がわかります。

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QQ English公式サイト によれば、講師全員に国際資格のTESOLの取得を義務付けており、採用後も時間をかけトレーニングを続けてさせているようです。全員正社員でレッスン品質を売りにしています。

 

参考

Callan Method Organisation | The Callan Method is the fast, fun and effective way to master a language

Europass Teacher Academy SRL | Speak English Confidently with the Callan Method

JET English College | What is the Callan Method ?

TJ Taylor Language Training | Language Teaching Methods: An Overview

ALTA Language Services | What Is The Best Language Teaching Method?

ENGLISH-BELL | DMEのテキストブックについて

i-to-i TEFL | COMPARING DIFFERENT TEACHING TECHNIQUES

Callan School of English | Callan Method levels 

ResearchGate | TEACHING VOCABULARY USING DIRECT METHOD AT SEVENTH GRADE OF JUNIOR HIGH SCHOOL

ResearchGate | THE EFFECT OF USING DIRECT METHOD IN TEACHING SPEAKING SKILL AT THE SECOND YEAR OF SMK NEGERI 1 BENER MERIAH-ACEH

宮崎公立大学人文学部紀要 第 24 巻 第 1 | 日本人英語学習者に適した英語教授法・指導法