元国語教師が「言語」と「英語」を考えるブログ

私の「言葉」との向き合い方、 IELTS対策の参考書、英語学習のテキストなどを紹介しています!

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洋書で考える The art of making sense

 

はじめに

本書は理解することとはどういうことなのかを教えてくくれます。論理学について触れていますが、難解な公式や概念はでてきません。それよりも、むしろ自己啓発本のようにすらすらと読めてしまいます。「理解することはどういうことなのか」を丁寧に解説してくくれます。考え方が明確で、議論が整理されている人の文章はとても読みやすいと感じました。

 

英語の初学者でも、丁寧に議論の流れをおっていけば必ず読破できると思います。私は本書を読んで、二つの定理に勇気付けられました。この二つの定理は私の大きな心の支えにもなっています。「すべての人は考え方をすでに知っている」「すべての人は論理的に物事を考えることができる」

 

 

すべての人は考え方をすでに知っている

ある人は頭が良くて論理的に考えることができる。また、ある人は頭が悪くて物事を論理的に考えることができない。勉強が上手くいかない時や、誰かの話を全く理解できない時、やはり「私は頭が悪い」から、論理的に考えることができないのでは。ついつい思ってしまいがちです。本書によると、実は両者の違いはシンプルだと断言します。

 

ある人が、他の人より論理的であるとか、良識をもっているということではない。

ある人が、ただ違った思考で目的に向かってしまうからだ。

今やっていることに、正しく意識を向ける。

 

論理的に考えることはとてもシンプルなはずなのに感情が邪魔をしてしまう。そのためには、筋道を立てて考える時は、次の4つのステップを踏んで考えるべきとのことです。

 

 

 if you do not clearly know that something is true, do not believe it.

 

私たちは自分が信じたいものを信じてしまう。

時に感情的な議論が、説得力をもってしまう。

 

私たちはなにかの情報を見つけたとき、自然と自分が信じたいものを信じてしまいがちです。客観的に正しい情報や、科学的に検証されたデータよりも、都合よい議論にしがみつきたくなります

 

そして、その議論を同じように誰かに押し付けてしまうこともあるでしょう。そうやっていくうちに、論理的に考えることは端っこのほうに追いやられて、結果的に感情が論理を支配してしまいます。

 

私も新しいことを学習する時は、ついつい自分が都合の良いように理解しようとしがちかと思います。この定理は納得できないとか、この仮説は実態を捉えていないはずだとか。

 

プライドや恐怖は意識や思考を妨げる。そのような感情をすべて抑えることができる人はいない。感情は、論理的な思考が要するときには無力であることを自覚するべき。私たちは、感情に基づく個人的な考えを取り除くことに努めるべきである。ロジックは、感情に基づく非合理な考えを改めてくれる

 

 

Divide every problem into many smaller parts

私たちはある問題を見つけたら、すぐにそれを取り除きたくなると思います。問題や実態を把握するという態度よりも、解決することを優先しがちです。それを理解するというよりは、まずは解決しようとする。そのような態度は間違ってはいないかもしれませんが、必ずしも順調に問題を解決することはできないのではないでしょうか。

 

その問題は実は思っている以上に複雑かもしれません。あるいは、いろんな複数の要素が複雑に関係しあっているかもしれません。いやいや、問題だと思っていましたが、実は大した問題ではなかったかもしれません。恐怖心がそれを問題として写しだしていたのかもしれません。

 

問題を見つけたら、細かく分ける作業は最初に実践するべきです。本書によると、焦り、恐怖、焦燥、怒り、興奮という感情を押し殺して、冷静になることが大切です。

 

 

Begin with the things that are simplest and easier to understand, and then continue with more difficult ones

問題を細かく分けたら、それらを一つずつランダムに解決していくのは理にかなっていません。学習する時も、自然と初級、中級、上級と少しずつ理解を深めていくでしょう。問題を解決するには同じような手順が必要です。問題の中には、簡単なこともあれば、ある一定の前提が必要になっていることもあるでしょう。

 

最終的な上級を目指すためには、この問題にある、初級はどのパートにあたるのか、それを踏まえた中級はどこに存在するのか。そのようなレベル分けも必要な作業ではないでしょうか。それら把握したうえで、一つずつ理解していくことが、実は問題を解決する早道なのでしょうか。

 

 

when you list the elements of a problem, make sure that the list is complete, and that nothing has been omitted.

まさしく、これはビジネスで必須のMECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)そのものです。互いに重複せず、全体を通して漏れがないという状況を作れば、問題に正しく向き合うことができます。

 

ja.wikipedia.org

 

 

最後に

実は、本書は私が10年以上前から大切にしている本です。何度読み返しても、そのたびに新しい発見があります。やはり、シンプルに考えることがいかに難しいことが考えさせられます。

 

知識を得て自信をつけた時、ついつい冷静さを失ってしまいます。権威が高まると、自分が客観的に正しい議論をしているのかを確認することを怠ってしまいます。あるいは、気心が合う人とずっと一緒にいると、論理よりも感情を優先してしまいます。

 

そのような態度を調整してくれるのが、本書でした。数年に一度読むことで、自分を律してくれる気がします。それと同時に文章を分かりやすく書くことの難しさも実感します。