元国語教師が「言語」と「英語」を考えるブログ

私の「言葉」との向き合い方、 IELTS対策の参考書、英語学習のテキストなどを紹介しています!

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洋書で考える THE CULTURE MAP

 

個人の違いに自覚的なだけでは十分ではない

“Being open to individual differences is not enough”という筆者の言葉を聞いて、私は少しこれまでの考え方を改める必要があると思いました。私は教員として一人一人の個性を大切にして、個人としっかり向き合おうと心がけてきました。個性を尊重しようとする意識は、固有の文化の中では大切かもしれません。ただ、多文化の中で協同する際には弊害が出てくるかもしれないと。

 

日本人は、人間関係や文化を科学として捉えるのが苦手だと思います。日本人は変わっている。島国日本は外国人には理解しがたい固有の文化や習慣があり、外国人は理解できない。私自身も海外留学生活を送るなかで、日本人はちょっと変わっていて、他国の人には私たちの固有の考えは理解できないという自負感。心の隅に、日本の文化は神秘的で、崇高という奢りをもっていたと反省しています。

 

本書では、個人の違いを意識するだけでは個人を攻撃する可能性があると警鐘しています。例えば、上司が部下に商談を頼み、結果的に破談になってしまいました。口数が少ない部下を「お前が内気で口数が少ないから、商談が破断した!」

 

結果が出ない時は、文化の違いを無視して個人を攻撃してしまう恐れがあるのです。ではどうすれば、よいでしょうか。本書では指摘がありませんでしたが想像はできるでしょう。「商談は相手の話を聞いて進める文化」を持つ部下を正しく理解していれば、個人を攻撃することはなかったでしょう。あるいは、口数が少ないことがマイナス要因になる商談に、その部下をまかせることはしなかったでしょう。

 

 

感覚の違い

特に8章の時間の感覚の違いは私自身すごく共感できる内容でした。日本人は時間にはかなり正確で、待ち合わせやミーティングには五分前には集合するでしょう。しかし、ある国では、時間はもっと柔軟に考えるべきで、固定できではないと考えます。なにかの事情がある場合や、他の優先事項があれば、時間は変更されるべきであると。そこでは、時間にルーズだという表現は生まれてきません。

 

みなさんは、「少し遅れる」と言えば、何分ぐらいを想像するでしょうか?5分?、10分あるいは15分まで許せるでしょうか? 「今向かっている」はもう道の半分を超えているでしょうか、あるいは出発したばかりでしょうか?「もうすぐ着く」は、どれくらいをイメージするでしょうか?言葉の背後には文化があるという事実は、他国の人と時間を共有することで見えてくるかもしれません。

 

 

信頼はTask-basedか?Relationship-basedか?

ところで、日本人は職場でどうやって人と信頼を築いていくでしょうか?やはり、本書が指摘するように人間関係を深めることによって信頼を深めていくのが一般的でしょう。Task-based的な仕事感では、仕事の成績を通して、人の信頼を勝ち取っていきます。仕事の内容によっては異なりますが、日本人は長期的な視野で、一緒に長く時間を過ごすことをお互いを理解しようと努めるでしょう。

 

BRICSの国、ブラジル、ロシア、インドあるいは中国は今後、経済的な重要国となると本書は指摘していいます。グローバル化を推進する際には、彼らの存在を無視することはできません。幸運なことに、それらの国々は日本と同じようにRelationship-basedの文化をもっています。日本人と同じ感覚で信頼を築くことができる点は、日本にとっては明るい材料なのではないでしょうか。